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植物のパワーで電力供給の可能性を探る

2015.03.18

Updated by Kenji Nobukuni on March 18, 2015, 15:00 pm UTC

Plant-e
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オランダのPlant-e社は2007年にヴァーヘニンゲン大学で開発された特許技術をベースに、植物による発電システムを開発している。光合成により生成される有機物は植物の成長に使われるのだが、多くは根を通じて土壌に排出されてしまう。根の周囲には微生物がいて、有機物を分解してエネルギー源としているが、この過程で電子が放出されるそうだ。土壌を入れた容器側に陽極を、並置した水を入れた容器側に陰極を入れておけば、電位差が生じて電力を取り出すことができるという。

1メートル四方の「植物発電機」は年間28kWhの発電能力があるそうだ。アメリカの平均的な家庭の電力消費は年間10,837kWhらしく、これを支えるには20メートル四方ほどのガーデンが必要。しかしオランダの家庭となると年間3,500kWh程度なので、アメリカの3分の1程度の広さでまかなえるかも知れないし、家庭用としては難しくても、公園のLED照明や、Wi-Fiホットスポットなどに給電するには良いかもしれない。また、途上国で電力網が届いていないエリアには大変役に立つのではないだろうか。土壌が凍るような寒さでは動作しないようだが、植物が育つ地域なら暑くても寒くても発電は可能のようだ。

現在の製品はモジュール型で、プランターのようなモジュールを並べて構成する。四角い植木鉢が並んでいるような景観になる。すでに2014年には同社の本社近くでLED照明を点灯させることに成功しているし、Wi-Fiホットスポット用、ラウンドアバウト(円形交差点)用などが製品化されている。

モジュール型のシステムは運搬が簡単だが、スケールアップが難しいそうで、チューブ型にできれば、すでに植わっている植物を活用することができるという。チューブ型の商品かにはさらに数年が必要とのこと。

これとは別の話だが、ジャガイモに銅と亜鉛の電極を挿すと電力が生まれる子供向け科学実験を2010年にイスラエルの大学が真面目に行ったところ、茹でたジャガイモは生よりも10倍もパワフルに発電し、4分の1にスライスしたジャガイモがLED電球に40日間もの長きに渡って給電したそうだ。植物のパワーが電力供給に(少なくとも部分的には)役立ってくれることは間違いないと思われる。

【参照情報】
Plant-eのウェブサイト
Dutch Company Utilizes Plants To Power Streetlights, Wi-Fi, And Cell Phones
Could we power our streetlights with living plants?
Make a Battery from Potato
A Potato Battery Can Light Up a Room For Over a Month

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来