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「リアルショップ+ネット」の中に未来がある-東京ソラマチで試せる、URのバーチャル試着端末

Try-on tons of fashion items in a minute

2015.04.02

Updated by Asako Itagaki on April 2, 2015, 17:30 pm JST

WirelessWire Newsのリニューアルもようやく一段落した4月1日の夜、自宅近所の東京ソラマチで食事をしようと駅からのエスカレーターを上がっていたら、2階でこんな看板が目に飛び込んできた。

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アーバンリサーチ(以下UR)が開発したバーチャル試着端末「ウェアラブル クロージング バイ アーバンリサーチ」である。商業施設内の店舗区画への設置は日本初だそうだ。

試着対象となる商品はURのオンラインショップで販売しているもので、レディス・メンズどちらにも対応する。日本語、英語、中国語の3か国語に対応(写真左)。利用者の映像はウェブカメラとキネクト2によるモーションキャプチャーを利用して取り込み、60インチの液晶画面上でフィッティングする(写真中)。商品の選択などの操作はジェスチャーで行い、サイズやカラーバリエーションなどは横に置かれたiPadで選択・調整する。写真もフレーム付きで撮影でき、東京ソラマチではソラマチの公式ゆるキャラ「ソラカラちゃん」の限定フレームが選択できる(写真右)。

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試着して気に入ったらそのままカートに入れて購入することも可能だ(写真左)。ジェスチャーで「CART」を選択すると、サイズ調整などのコントローラーに使用されていたiPadにQRコードが表示され、自分のスマホで読み取ってそのまま購入手続きができる(写真右)。スマホが無い人はQRコードを紙で出力することも可能。東京ソラマチにはURもテナントとして入居しており、「お店に持参で20%引き」のクーポンをQRコードと一緒に配布していた。

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ここまでのプロセスは全てセルフサービスで可能。つまり、このバーチャル試着端末は、「服の自動販売機」として機能するというわけだ。この日が稼働初日ということもあってか、開発を担当した株式会社アーバンリサーチの齊藤 悟氏も現地にいたので、話を聞いてみた。

リアルショップとネットの市場をつなぐ売り場づくり

バーチャル試着端末開発の目的は、狭い店でも在庫に制限のないECサイトで取り扱う数多くのラインナップを試着できるようにしたいということ。アニメではなく、リアルな3Dで試着ができるように、ウェブカメラとモーションキャプチャを組み合わせたシステムをインターネット関連企業のワープジャパンと共同開発した。もともとURはネットに力を入れているそうで「販売促進部販売促進課シニアマネージャー」という肩書を持つ齊藤氏自身もエンジニア。セレクトショップでは総売上のうち平均して10%程度がECサイトからというのが通常だが、URの場合は20%程度を占めるのだそうだ。

2013年頃から開発を初めて、2014年6月に最初の端末を発表したが、今回東京ソラマチに設置されているのはエンジンにUnity5、モーションキャプチャにキネクト2を採用した新モデル。センサーの感度が上がり処理が早くなったことで、ユーザーが身体を動かした時の服の動きがよりリアルに表現できるようになった。「たとえば腕を上げた時に脇の下が伸びて裾がひっぱられる様子なども表現できるようになりました」と齊藤氏は語る。

株式会社アーバンリサーチ 事業支援本部販売促進部販売促進課シニアマネージャー齊藤悟氏

株式会社アーバンリサーチ 事業支援本部販売促進部販売促進課シニアマネージャー齊藤悟氏

 

「『リアルショップ+ネット』の中に未来があるのかなと考えています」(齊藤氏)。エキナカのようなトラフィックが多い場所に出店して来店客が増えても、客の立場になれば「欲しいけど大きな荷物を抱えて次の目的地に行くのは嫌だな」と買うのをやめてしまうこともあるだろう。ネットショップの豊富な在庫の中から試着してその場で注文して、商品は自宅に届くとなれば、少々財布のひもが緩むこともあるかもしれない。利用者の反応を聞いてみると、「お友達と一緒にブースに入って、長時間いろいろな服を試着して楽しまれている方が多いですね」とのことだ。私が通りかかった時も、友人同士と思われる3人の女性グループが10分間以上滞在して試着を楽しんでいた。

「ウェアラブル クロージング バイ アーバンリサーチ」は4月1日から3ヶ月間、東京ソラマチイーストヤード2階に設置されている。

 

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【商業施設初】バーチャル試着ができる服の自動販売機を4月1日より東京ソラマチに設置 - News - URBAN RESEARCH アーバンリサーチ

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。