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最先端のアートから見えるシンプルな想像性とは ーSimplicity the art of complexity 複雑な世界の物語展ー

Everything should be simple even art

2015.06.01

Updated by Yuko Nonoshita on 6月 1, 2015, 06:30 am JST

大量の情報やモノに囲まれた現代の社会生活の中から、緻密な引き算によって削ぎ落とされた物語を作り上げる「Simplicity(シンプリシティ)」をテーマにしたアートイベント「Simplicity the art of complexity 複雑な世界の物語展」が5月21日から7月26日まで大阪で開催される。

本イベントは、グランフロント大阪を拠点とするナレッジキャピタルとオーストリアのリンツを拠点とするクリエイティブ機関アルスエレクトロニカによるコラボレーション企画の第3弾。様々なデジタルアートや最新のテクノロジーを体験できるショールーム「The Lab.」の特設エリアにおいて、国内外で活躍する2組のアーティストの作品が展示され、一部の作品はさわって楽しめるインタラクティブアートになっている。

▼ナレッジキャピタルとルスエレクトロニカのコラボ企画第3弾はシンプリシティがテーマ。今回はさわれるインタラクティブアートが展示されている。
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前回のバイオ、前々回のデータをテーマにした時に比べ、今回の展示はわかりやすく見えるが、そこに意図するものはやや難解だ。

建築家であり、エンジニアであり、リサーチャーでアーティストでもあるCarlo Ratti氏は、数多い発表作品の中から、現在ディレクターを務めるMIT SENSEable City Labの作品を展示。2008年に発表したセンサーをつけたゴミがどう移動するかをデータビジュアライズして注目を集めたプロジェクト「Trash | Track」をはじめ、ニューヨークを走るタクシー1.7億台分の移動データを集積した「HubCab」、ゴルフのマスターズトーナメント開催中のソーシャルメディア上の反応を分析した「Tweet Bursts」など、同ラボの世界を可視化する研究が紹介されている。これらは実際の都市計画やビジネスにも活用されており、たとえば「HubCab」のデータはUberのサービス開発にも使用されているという。

▼建築家として世界で高い評価を得ていたRatti氏は、MITのプロジェクトでさらに注目を集め、2011年のTEDに登壇(TED Talks)。WIREの世界を変える50人(SmartList2012)にも選ばれ、現在開催中のミラノ万博で、Future Food Districtパビリオンのキュレーターを務めている。
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▼会場では「Trash | Track」プロジェクトで使われたセンサータグと追跡したゴミのサンプルも展示されている。
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最新のテクノロジーを使いながら、人と自然をつなぐ詩的であたたかなインタラクティブアート作品で注目を集めるアート・ユニットplaplaxの作品「イマジネイチャー」シリーズは、ある意味、Ratti氏の作品と真逆の内容といえるものになっている。展示された石に触れるとそこから様々なアニメーションが飛び出したり、テーブルの上の石ころが自然に転がるといったものだ。シンプルで誰もがくすりとさせられるユーモアも感じさせる作品だが、その中にある物語には深みがあり、想像力をかきたてられる。

▼近森基、久納鏡子、筧康明、小原藍によるアート・ユニットplaplaxはシンプリシティをテーマにしたワークショップも行った。(写真左・近森氏、右・久納氏)
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▼石にさわるとアニメーションが飛び出す作品は、アメリカインディアンのホピ族が信仰する精霊から発想を得ている。
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ナレッジキャピタルとアルスエレクトロニカのコラボ企画では、毎回2組のアーティストによる作品を展示しているが、前回のバイオ、前々回のデータでは、両作品にそれぞれ共通する点が多く、わかりやすかった。ただし今回の展示作品は共通点がありそうで、全く無いようにも見え、それこそが今回の狙いの一つだと、キュレーションを担当したプリ・アルスエレクトロニカの小川絵美子氏は説明する。

「今回はあえて異なる作品を展示しており、そこに共通点があるとしたら、いずれも複雑なものをシンプルなカタチにするため考え抜かれた作品であるということ。ただしそれは正解ではなく、いろいろな見方があると思う。アートがもたらす役目はまさしくそこで、作品から物語性を感じとったり、自分の中にある想像性をかき立ててもらうことが、ナレッジを高める機会になると考えています」

▼作品のキュレーションを担当したプリ・アルスエレクトロニカの小川絵美子氏は「複雑な要素を注意深く削ぎ落とした結果として表現されるシンプルさの意味を作品を通じて感じ取ってほしい」と語る。
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また、これまでの社会では、人工物と自然、デジタルとアナログは二律背反する存在であり、どちらかを優先するのかで議論が進められることが少なくなかった。しかし、今や両者の境界はテクノロジーの進化やイノベーティブなアイデアによって、両立できるようになり、その橋渡しをするのがアートではないかとしている。

開催期間中は10時から21時まで無料で入場でき、会社帰りや休日にふらりと立ち寄れる。注目を集める最先端のアート作品に気軽にふれられるようにしているのも、ナレッジの機会を拡げるためで、開催に合わせて来阪した2組のアーティストも、このような場所で自身の作品がどのように見られるのか楽しみにしており、ぜひ都市のあり方やこれからの未来について考えるきっかけにしてほしいとコメントしている。

とにかく展示されている作品は、見て楽しめるものになっているので、いろいろ考えるよりはまずは一度、会場を訪れてみてほしい。

▼ほかにも会場ではアルスエレクトロニカが制作した自分が注目した作品やポイントを専用のスマートフォンアプリで撮影し、シェアできるプログラム「focus」が紹介された。アプリは無料でダウンロードでき、撮影した写真はカンバッチとして持ち帰れる体験も予定している。(土・日のみ)
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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。

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