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5G実現に欠かせない「NFV運用フロー自動化」

KDDI研究所の技術者に聞く標準化に向けた課題

2015.07.14

Updated by WirelessWire News編集部 on July 14, 2015, 10:00 am JST Sponsored by NOKIA

2015年5月、KDDI研究所はノキアソリューションズ&ネットワークス株式会社(以下ノキア)、日本ヒューレット・パッカード株式会社、シスコシステムズ合同会社、日本電気株式会社、テックマヒンドラリミテッドと協力して、移動体設備と固定系設備を合わせて仮想化したテストベッド上での運用フロー完全自動化に世界で初めて成功したと発表した(関連記事)。6月10日から12日まで開催されたInterop TOKYO 2015会場で、KDDI研究所の黒木圭介氏に話を聞いた。

▼株式会社KDDI研究所統合コアネットワーク制御グループ研究主査 黒木圭介氏
株式会社KDDI研究所統合コアネットワーク制御グループ研究主査 黒木圭介氏

InteropのKDDI研究所ブースで展示されていたのは、6月1日から4日までフランス・ニースで開催された「TM Forum LIVE! 2015」で行われたデモンストレーションの動画と、ネットワーク構成を行うオーケストレーターの動作だ。

デモンストレーションでは、汎用サーバー上に構築された仮想環境上で、OSS(統合監視)が仮想機能の障害を検知した時に復旧指示を出し、オーケストレーターが最適な構築を行うことで自動復旧させる様子が示されていた。

▼デモンストレーションの様子。仮想NICの故障を検知してから当該機能を立ち上げ直し、自動復旧後に通常運用に回復する様子が示されている。
デモンストレーションの様子。仮想NICの故障を検知してから当該機能を立ち上げ直し、自動復旧後に通常運用に回復する様子が示されている。

デモンストレーションの様子。仮想NICの故障を検知してから当該機能を立ち上げ直し、自動復旧後に通常運用に回復する様子が示されている。

デモンストレーションの様子。仮想NICの故障を検知してから当該機能を立ち上げ直し、自動復旧後に通常運用に回復する様子が示されている。

デモンストレーションの様子。仮想NICの故障を検知してから当該機能を立ち上げ直し、自動復旧後に通常運用に回復する様子が示されている。

KDDI研究所がオーケストレーターと運用フロー自動化に取り組んできた理由は、黒木氏によれば「運用を極力シンプルにすること」だという。その背景には、設備の機能がソフトウェア化することによる異常箇所や影響範囲の特定の困難化、従来は縦割りに管理されていた固定系設備と移動体設備などの様々な設備を横断的に仮想化する手法が確立されていない、基盤となる汎用サーバーの信頼性がキャリアグレードに達していないケースがあることなどがある。「NFVは便利だが、マルチベンダー・マルチネットワーク環境になれば運用が大変になるはず。コスト削減効果を出すためには、サービスリソースの最適化と運用のシンプル化が必要になります」(黒木氏)

デモンストレーションされたオーケストレーターによるネットワーク構成は、テンプレートを読み込んで「BCP(事業継続計画)最適」「遅延最適」などのユーザーポリシーを設定するだけで、実際の場所も含めて自動的に構成される。データがどのノードを通るかを指定する「フロー構成モード」で構築すれば、ユーザーが各機能の設定を触ることなく最適なネットワークが仮想化環境上に構築される仕掛けだ。

▼コンポーネントを選んで配置するだけで最適なネットワークが設計され、承認することで仮想化環境上に展開される。
コンポーネントを選んで配置するだけで最適なネットワークが設計され、承認することで仮想化環境上に展開される。

実際の設定は、オーケストレーターから指令を受けた各社が提供するVirtualized Network Function Manager(VNFM)によって行われる。ノキアは基地局とコアネットワークを接続する機能である仮想EPCネットワークとVNFMを提供した。

構築にあたって苦労した点は大きく2つあるという。一つは、NFVの標準仕様はまだ策定途中であり、各社のVNFMに引き渡す情報エレメントが異なったこと。もう一つは、どのベンダーのVNFMも、設定の自動化という点では作りこまれているが、物理的な「場所」を理解できるインターフェイスが無かったことだという。「低遅延やBCPといったユーザーポリシーに従ったネットワーク構成をするためには、仮想化基盤上といえども物理的な場所の問題は大変重要なのです」(黒木氏)。通常最適な構成を施したい場合は、OpenStack上で実際の配置を見て、必要に応じて手作業で場所を移動する必要がある。

NFVの標準化に取り組むETSIのワーキンググループは、2016年にドラフトを出す予定となっている。「ノキアとはフィンランドの技術者とも情報交換を重ねて、我々のやりたいことを理解していただいています。現在の課題解決に向け、標準化等も活用しながら、引き続き協力して取り組んでいきたいと考えています」(黒木氏)

NFVの利点は、障害発生時に「問題がある機能を立上げ直す」ことでネットワークが復旧でき、ダウンタイムが最小化できることだ。しかしその「立上げ直し」の部分が自動化されていなくては意味が半減してしまう。自動復旧が実現することで、運用者はネットワーク監視や設定に時間を取られることがなくなり、サービス監視に注力できるようになる。ネットワークについては定期保守型運用が実現可能になることで、運用コストの大幅な削減が実現される。今回の実証実験の成功は、サービス要件が多様化する5Gの実現に向けた大きな一歩となる。

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