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[2015年第31週]IoTからWatsonまでソフトバンクが施策続々、LINEのChrome版、ZenFone新版登場

Weekly Report: Week 31 2015

2015.08.04

Updated by Naohisa Iwamoto on August 4, 2015, 11:17 am JST

ソフトバンクグループが各方面で施策を矢継ぎ早に発表した。IoTソリューションやIBMのWatsonの展開、Pepperの法人向け提供などのほか、新しいソリューションを世界に求めるイノベーションプログラムも実施する。LINEもChrome版をリリースするほか、多方面に施策を展開する。

IoTも人工知能もロボットもソフトバンクで

まずソフトバンクグループのトピックから。ソフトバンクは、「グローバルIoT/M2Mマネジメントサービス」の提供を今秋に開始する。IoT/M2Mソリューションの活用やビジネスでの展開を進める際の課題である、運用管理負荷の増大、コストの増加、グローバル展開した際の管理の煩雑さに対して、ソリューションを提供。モバイル回線の管理機能、機器障害の簡易診断機能で管理負荷を軽減するほか、管理業務の自動化によるコスト削減、グローバル展開時の単一プラットフォームによる容易な管理などを実現する(報道発表資料:企業のIoTビジネスのグローバル展開を強力に支援するIoT/M2Mマネジメントサービスの提供について)。

IoTではヤフー(以下、Yahoo! JAPAN)も施策を発表している。IoT時代に向けた事業者向けプラットフォームサービスとして「myThingsプラットフォーム」の提供を開始する。プラットフォーム上で公開するAPIを使い、新製品、新サービスの開発などが可能になる。また、このプラットフォームを活用して開発したユーザー向けスマートフォンアプリ「myThings」も公開した(報道発表資料:Yahoo! JAPAN、IoT時代に向けた事業者向けプラットフォーム構想を発表 新たな体験を提供するユーザー向けスマホアプリ「myThings」も公開)。

またソフトバンクは、日本IBMと共同で、情報から学び、経験から学習するコグニティブコンピューター「IBM Watson」(以下、Watson)を活用した新しいビジネスアイデアを展開するためのエコシステムプログラムを構築・提供する。2015年10月1日から各業界のパートナーの正式募集を開始する。パートナーの正式募集に先駆けて、ソフトバンクは初期エコシステムパートナーとして9社を選定した。これらの施策により、Watson向けのアプリケーションを開発する日本のエコシステムの確立と日本市場での導入拡大を推進する(報道発表資料:IBM Watsonエコシステムプログラムを提供)。

ソフトバンクロボティクスとソフトバンクは、人型ロボット「Pepper」の法人向けモデル「Pepper for Biz」を提供する。10月1日から申し込みの受付を開始する。Pepper for Bizは、一般に販売しているPepperをベースにして、「声かけ」や「受付」などの法人向けアプリケーションを標準搭載したモデル。ビジネスでカスタマイズやデータ活用をするするための「Pepper for Bizプラットフォーム」を提供することも特徴の1つだ。レンタルプランのみの提供で、料金は月額5万5000円(関連記事:「Pepper」に法人向けモデル、ビジネス活用支援サービス込みで月額5万5000円)。

新しいアイデアを世界から募る動きも。ソフトバンクは革新的なソリューションや技術を世界から募集し、ソフトバンクと共同で商用化の検討・実現を目指すプログラム「SoftBank Innovation Program」を開始した。審査・選考で選ばれた案件をソフトバンクのリソースを組み合わせることで、新しい価値の創出を目指す。最終選考を通過した案件には、ソフトバンクの販路を使って商品を提供する機会が与えられる(関連記事:ソフトバンク、世界から「新しい価値」の源泉を募集するイノベーションプログラム)。

LINE、青少年のネット利用実態を調査へ

line-mangaLINEのニュースも多くあった。LINEは2015年9月より青少年におけるネット利用実態把握を目的として、全国の小中高校の児童・生徒を対象とした10万人規模の全国調査を実施する。また、小中学生のネットリテラシーの啓発活動の一環として、開発したマンガ教材とワークショップ教材を8月末から9月にかけて公開する。LINEでは、実態調査の結果をもとに、ネット上のトラブル発生原因・過程をより詳しく広範に把握し、根本的な抑制対策を行うとしている(関連記事:LINE、全国の小中高生を対象に10万人規模のネット利用把握調査を実施)。

コミュニケーションアプリ「LINE」向けには、Google Chromeブラウザで利用できるGoogle Chrome版LINEを公開した。対応OSはChrome、Windows、Mac、Linuxでいずれも無料。PC版LINEとは異なり、Google Chrome版LINEは一度インストールしてしまえば、同一Googleアカウントで追加インストール不要で複数デバイスからLINEを利用できる(報道発表資料:LINE、Google Chrome向けウェブアプリを公開)。

国外では、KDDIのグループ会社であるKDDI Summit Global Myanmar(KSGM)は、ミャンマーで同社と共同で通信事業を展開するミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)が、LINEとの共同キャンペーンを実施することをアナウンスした。MPTとLINEが実施する共同キャンペーンでは、コミュニケーションアプリの「LINE」のダウンロードと主な機能を、期間限定でデータ通信料がかからずに楽しめるようにする(関連記事:ミャンマーで「LINE」のデータ通信料無料キャンペーン、KDDIグループ会社など)。

ピント素早いZenFone新版、OCNモバイルONEに「カウントフリー」

その他のニュースをまとめて紹介する。ASUS JAPANは、焦点を短時間で合わせられるレーザーオートフォーカス機能を搭載したSIMロックフリースマートフォン「ZenFone 2 Laser (ZE500KL)」を国内向けに発売する。「ZenFone 5 (A500KL)」の後継機種との位置付け。5インチHD IPS液晶に、クアルコムのSnapdragon 410、2GBのメインメモリ、アウトカメラに1300万画素、インカメラに500万画素を搭載し、先代モデルより大幅な性能向上を実現した(報道発表資料:UNLOCK THE FUTURE 〜SIMフリースマートフォンのさらなる新境地〜レーザーオートフォーカス、5インチ HD IPS液晶搭載「ZenFone 2 Laser (ZE500KL)」を発表)。

NTTコミュニケーションズは、いわゆる格安SIMの「OCNモバイルONE」で規定されている月間、1日ごとといった通信容量上限に、特定のアプリのデータ通信量を含めない「カウントフリー機能」を提供すると発表した。対象となるアプリは「050 plus」、「マイポケット」、「OCNモバイルONEアプリ」。カウントフリー機能の提供により、050 plusの長時間の通話や、マイポケットへの大量の写真の自動アップロードなどが、通信容量制限を気にせずに利用できるようになる(関連記事:OCNモバイルONEに「カウントフリー機能」、050通話やクラウドへのアップが容量カウント外に)。

気象庁は、2015年8月4日14時から「噴火速報」の発表を開始する。火山噴火予知連絡会の検討会における、2014年9月27日の御嶽山の噴火災害を踏まえた提言を受けたもの。気象庁ホームページのほか、テレビやラジオ、防災行政無線や携帯端末を通して情報を提供する。対象は気象庁が常時観測対象としている47火山(関連記事:気象庁、「噴火速報」の発表を開始)。

ニールセンは、同社が毎月行っているニールセン インターネット基礎調査の結果を元に分析した最新のインターネット利用状況の調査結果を公表した。

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それによると、ほぼ毎日利用する人をデバイス別で見ると、「家庭のPC」が2165万人だったのに対して、「スマートフォン」は3996万人と大きな差がついた。PCに対して2倍近い人口がスマートフォンでインターネットを利用していることになる(関連記事:スマホで毎日ネットを利用する人は約4000万人、PCの2倍近くに--ニールセン)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。