レンジャーシステムズ代表取締役 相原 淳嗣氏

異業種からのMVNO参入で進む通信サービスの多様化(前編)

2015.12.11

Updated by 特集:トラフィック可視化で変わるネットワークの姿 on 12月 11, 2015, 17:07 pm JST Sponsored by プロセラネットワークス ジャパン

今、日本のMVNOには、通信業界以外のさまざまな業界から参入が始まっています。「MVNO業界における唯一の専業ベンダー」としてプロセラネットワークス製品を活用してさまざまなサービスプランをご提案いただいているレンジャーシステムズ代表取締役の相原 淳嗣氏に、MVNOの多様化についてお話をうかがいました。

レンジャーシステムズ代表取締役 相原 淳嗣氏
レンジャーシステムズ株式会社 代表取締役 相原 淳嗣氏

30年に一度の大転換期、異業種からも注目される「MVNO」という業態

菅野:いつもお世話になっております。私はよく存じ上げていますが(笑)まずは最初に読者の皆さんに、相原さんご自身と御社のご紹介を簡単にお願いします。

相原:よろしくお願いします。私は前職では大手の固定系ブロードバンドインターネットサービス事業者におりまして、シスコのIPネットワーク製品の設計構築業務に携わっていました。その経験を活かして2007年に独立起業して、レンジャーシステムズを創業いたしました。

当初はネットワーク設計構築の受託を主要事業としていたのですが、とあるお客様との出会いがきっかけでモバイル業界にかかわることになりました。現在はMVNO向け通信設備を核として、システム構築・24時間365日の運用保守・サービス企画サポートなどMVNO関連事業で売上の95%を占めています。なので、自社を一言で紹介するときには、「MVNO業界における唯一の専業ベンダー」と言っています。

日本のMVNO業界を取り巻く状況としては、2014年度にMNOの帯域使用料が大幅に値下げされました。2008年度時点での10Mbpsあたりの帯域費用が約1267万円だったのが、2014年度には約94万円に下がりました。これで、通信事業者以外のあらゆる事業者が独自の通信サービスを提供できる環境となり、火がついたと認識しています。

独自通信サービスのためにはパケット交換機などのLTEコアネットワークの設備を自前で持ち、MNOとL2接続を行う必要があります。弊社は、ベストな構成のシステムを、適切な価格で納品し、製品を売るだけでなく事業の側面からお客様のビジネスアセットを考慮して技術屋目線でサービスプランを進言します。

今、日本の通信業界は30年に一度の大転換期と言われております。誰もが携帯電話を持つようになってからまだ20年も経っていません。さらにその中でMVNOというのははしりの業態です。高額な機器の納品だけやって運用やサービス設計はお客様にお任せというベンダーが多い中、弊社は日々の運用から新たなサービスの提案までワンストップでサポートします。お客様の指示待ちをするのではなく、過渡期だからこそ魅力的な通信サービスを創出して、お客様のビジネス成功に寄与することに情熱をかけています。

菅野:プロセラネットワークスのDPI製品も、サービス企画を多様化するためのラインナップとして位置づけていただいているんですよね。

相原:そうです。MVNO、MVNEの施策を実現するのは結局ポリシー制御なので、お客様の多様化したニーズに合わせて的確なプランをご提供できることを弊社としては訴求したくて、そのために、プロセラネットワークスの製品が必要です。

プロセラネットワークスの製品をコンポーネントとして組み込むことで、決まったデータ量を使い切ったら低速に切り替わるようなシンプルな制御から、DPIを組み込んで特定アプリやプロトコルの通信、あるいは特定のウェブサイトへのアクセスに対しては課金しない(ゼロ課金)サービスまで、さまざまなサービスを提供できます。

注目分野は「動画」と「訪日外国人」

相原:今後MVNOで重要になってくるのが、一つは動画の扱いですね。2013年から2018年の5年間でモバイルトラフィックは9倍になるとか、あるいは2010年に比べて2020年になると1000倍になるといった試算もあります。その原因は、ビデオトラフィックの増加とデバイス数が増えることです。その中で動画に対する課金については工夫が求められています。

例えばこれはMNOですが、米国のT-MobileはNetflixとケーブルネットワークのHBOの動画についてはゼロ課金で高速ストリームを楽しめるようなサービスを発表しています。日本でも一部のMVNOが、自社のサービスや特定アプリの利用時にはゼロ課金というサービスを少しずつ始めてきましたね

菅野:他に、これからのMVNOに求められるサービスとしてはどのようなものがあるとお考えですか?

相原:例えば加入者にマッチしたコンテンツをおすすめするようなサービスが考えられると思います。パケット交換機設備を持つMVNOであれば、加入者情報がIPアドレスではなく電話番号でわかりますから、それと位置情報を合わせて、プロセラネットワークス製品とコンテンツサーバーを連動させることで、場所に応じてその人に合ったコンテンツをご提供することが可能になります。

位置情報も、現時点でMVNOはアプリ上のGPSを利用した位置情報の取得しかできませんが、MNOが基地局にもとづく位置情報をMVNOにも開放すれば、お店単位でのお得な情報や緊急情報に利用者を誘導することもできますね。もちろん、事前の同意を得ることは前提となります。

あと、これから市場が大きくなりそうなのは、訪日外国人向けのサービスです。2020年には2000万人以上の訪日外国人を見込んでいますが、彼らが不便と不満を感じているものの上位にあげられるのがWi-Fi接続をはじめたとした通信環境です。プリペイドSIMを提供しているMVNO事業者は多いけれども、購入場所がわからない、サポートが十分でないなど、戦略性に乏しく、訪日外国人に向けて十分に訴求できていると思えません。

「入り口」をおさえればさまざまな課題が解決する

レンジャーシステムズ代表取締役 相原 淳嗣氏/菅野真一

相原:外国人向けにWi-Fiサービスを提供するコンソーシアムなどでは、協力店でクーポンを配っていますが、そもそもそこにたどりついてもらえない。外国人が必ず立ち寄る家電量販店で配ろうか、SIMを売ろうかと言っても、彼らが量販店で買い物するのは旅行の最終日なんです。初日に来てくれれば日本に滞在中利用してもらえるのにというのは配る側の都合で、旅行者にしてみれば大きな荷物になる買い物は帰国直前にしたいですよね。

いわば池袋のサンシャイン水族館に来てもらうためのサービス券をサンシャインの入り口で配っているようなものですが、それなら池袋駅前で配らないと。つまり、日本の入り口にあたる空港、あるいは飛行機内、自国の旅行代理店で、まずSIMを配ればいい。空港から先は皆それぞれの行き先へ散っていきますから、まず入り口で配ってしまうんです。

日本に到着後、SIMを自分のスマートフォンに装着すると「Welcome to JAPAN!!」という動画メッセージと一緒にアプリダウンロードのご案内をする。アプリをダウンロードしてユーザー登録しないとアクティベーションできないようにしておけば、事業者を悩ませる「アプリダウンロードの壁」は超えられます。あとはそのアプリがプラットフォームになって、パーソナライズされた情報を提供できる。これは全部プロセラネットワークスの製品で実現できます。

インバウンド施策を考えている旅行代理店、官公庁、地方自治体なども、悩んでいます。というのは、たとえば観光地をPRするために高いお金をかけて多言語の案内サイトを作っても、よほど元から有名な観光地でなくてはそもそも検索してもらえません。こうした案内も、アプリを活用したリコメンド情報配信の仕組みに取り入れることで見てもらえる確率は飛躍的に高まります。

また、アプリには、緊急時に医療機関や自国大使館と双方向でアクセスできるような仕組みを入れておくことで、付加価値をつけることもできるかもしれませんね。今、災害や自国でのテロ発生時などに、大使館が自国民に簡易にアクセスする手段がないのです。旅行者が共通して必ず携行しているのはお金とパスポートと携帯電話ですから、SIMにいざという時の安心機能があることは選択の動機になります。

菅野:イギリスの例なのですが、新興国からの移民の方向けに母国との音声通話が定額のプランや、旅行者向けにはホテルにSIMが届くサービスなどもあるそうです。サービス企画は需要があるところに供給するものだと思いますので、事業者様がそれぞれの強みを活かして、エンドユーザー様の話を聞きながら課題を解決するプランを提供していくのかなと思います。

我々の装置はいろいろなことができますが、では何をすればいいのか、というところを、レンジャーシステムズさんには期待しています。形式的に代理店として商流に入っていただくのではなく、さまざまな面白い使い方を考えていただき、一緒におもしろいことを展開して、通信の世界を変えていきたいと思っています。

MVNOは「手段」であり「媒体」であるという考え方

相原:今のMVNO事業者は、もともとISPとして展開していた事業者が多いですよね。私見ですが、彼らは通信サービス提供自体を目的としているように感じます。対して、弊社がご相談を受ける事業者様の場合は、通信は手段であって自社の会員向けサービスや既存サービスへの付加価値としてSIMを活用したいという声が多いです。

例えば店舗への来店頻度を上げていただくために、店頭で端末をかざしていただくと100MBデータ通信量をプレゼントするような施策をすれば、毎日ご来店いただくお客様は月3GB無料で通信できます。でも、事業者様にとっては、毎日来てそれ以上に買い物をしていただけば、SIMなんて無料で配ってもいいよ、とう話にもなります。通信は手段であり、あくまでもお客様に「毎日お店に来てください」と訴求するための媒体なのです。

広告ビジネスをSIMで考えている事業者様もいらっしゃいます。ゼロ課金がキーワードで、最初は低速だった通信が広告動画を視聴すると高速通信が可能になるようなサービスも提供できます。

逆に、超高額で超高速なSIM、というのも考えられますよね。証券とかFXとか、コンマ秒以下のスピードが勝負になるようなものは、ベストエフォートの回線では勝てません。もしも市場に直結した超高速なSIMを提供すれば、証券会社がMVNOになる日が来るかもしれません。

空いている時間を安くする、というサービスも考えられます。菅野さんがイギリスの移民向けの音声定額サービスの話をされていましたが、日本でも南米から働きに来られている方は夜間に故郷の家族とSkypeで接続していたりするんですね。時差があって向こうは昼間なので、夜の間Skypeでずっと音声と映像を流して、月に20GBぐらいパケットを使っているのだそうです。そういう人たち向けに、深夜のパケットについては安く使い放題というサービスも、プロセラなら実現できます。

菅野:時間帯による混雑の差はありますから、ハッピーアワーと称してトラフィックを平準化するプランは海外でもありますね。MVNOの課題は契約帯域をいかに効率よく使うかですから、時間による操作は効果的です。

レンジャーシステムズ代表取締役 相原 淳嗣氏

相原:プロセラネットワークスの製品を利用して、一定の時間帯にはパケットカウントを半分にしてパケット料金を半額にするようなユースケースも出てきています。

菅野:我々の方にもアイデアはあります。例えば音楽配信事業者向けにオーディオアプリのゼロ課金とか、ショッピングに強みがある事業者ならショッピングとの連動とか、特定端末のプロモーションとか、切り口はたくさんありますから、最適なものをお客様と、レンジャーシステムズさんと相談しながらご提供できればと思います。

(後編に続く)

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特集:トラフィック可視化で変わるネットワークの姿

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