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[2016年第4週]IoT実用に向けたサービスや製品が続々、MVNOの向かう先は?

2016.01.25

Updated by Naohisa Iwamoto on January 25, 2016, 15:50 pm JST

IoT関連のトピックが多くあった一週間だった。ソリューションを実現するための製品やサービスが相次いで発表されたほか、IoTのセキュリティを担保できるようにする技術の開発、日米企業の協業のニュースもあった。MVNO関連のニュースも引き続き多く流れてきた。

サービス/製品から新技術まで盛りだくさんのIoT

まず、IoT関連の話題から。フィールドサービス支援の事業を展開する米サービスマックスの日本法人サービスマックスは、IoTプラットフォームとモバイル端末を接続して情報共有できる「コネクテッド・フィールドサービス」を発表した。リアルタイムなマシンデータの稼働情報を、クラウドを経由して保守サービス要員が携行するモバイル端末から確認できるようにするもの。米PTCの「ThingWorx」と呼ぶIoTプラットフォームを利用し、マシンデータのリアルタイムな稼働状況と過去のサービス対応履歴の情報共有を可能にした(報道発表資料:業界初のIoTソリューション「コネクテッド・フィールドサービス」をリリース)。

アプリックスIPホールディングス(以下、アプリックス)は、同社の浄水器用IoT技術がスイスのキッチンシンクメーカーであるフランケに採用されたと発表した。キッチン・バス業界の見本市「Kitchen & Bath Industry Show 2016(KBIS)」で浄水器用IoT技術を搭載した製品をフランケが発表した。浄化した水の量を自動的に計測し、フィルターの交換が必要になったタイミングでユーザーに通知、さらに通知から簡単にインターネット通販でフィルターを購入できるようになる(関連記事:アプリックスの浄水器用IoTを世界大手キッチンシンクメーカーが採用、既存製品への後付けも可能)。

通信機能を備えたデジタルサイネージを手軽に実現。デジタルサイネージ向けクラウドサービスを提供するデジタルクルーズは、3Gモバイルデータ通信に対応したデジタルサイネージ向けのボックス型セットトップボックス(STB)を発売した。OSにはAndroidを採用、これまでAndroidを使ったSTBでは難しかったコンテンツ間のシームレスな切替えを実現できる専用プレイヤーソフトを搭載している。同社のデジタルサイネージサービス「admint」と併用すると、場所を選ばずにデジタルサイネージの展開が可能になる(報道発表資料:3G 通信対応 Android 搭載「ボックス型 STB」が「admint」ラインナップに追加)。

処理能力が低いIoT機器でもパソコンなどと同等の暗号通信向け認証処理を短時間で実現する新しい認証技術を開発したニュース。富士通研究所と東京大学、東邦大学が共同で開発したものだ。同等の暗号強度を持つ従来方式と比べて、認証処理時間を約5分の1に抑えることができる。開発した技術では、インターネットで標準的に用いられる認証・暗号通信方式である「TLS」(Transport Layer Security)を、パソコンやスマートフォンに比べて処理能力が低いIoT機器でも利用できるようにする(関連記事:IoT機器向け暗号認証の処理時間を5分の1に、富士通研究所などが技術を開発)。

協業の話題。IoT 機器で必要となるサーバー側の仕組みをクラウドで提供する「kii Cloud」を手掛けるKiiは、米シスコシステムズ(シスコ)の出資を受け入れたとアナウンスした。シスコとKiiは、IoTの先進ソリューションの日本での展開とKiiのプラットフォームの市場浸透を目論み、協業してソリューションの提供を行う。両社は国内外の企業に向けたモビリティソリューションの提供やIoT事業の拡大を目指す(報道発表資料:Kii、IoT事業拡大のためシスコシステムズ社より出資を受け入れ)。

IIJのMVNOが100万回線超え、日本通信は「黒子」へ

MVNOに関連したニュースを見ていこう。インターネットイニシアティブ(IIJ)は、同社がMVNO事業として提供しているモバイルサービスの総回線数が、100万回線を超えたことをアナウンスした。IIJはMVNOとして2008年に法人向けサービスを、2012年には個人向けサービスを開始。2015年12月末日時点で107万3000回線に達した(報道発表資料:MVNO事業におけるモバイルサービスの総回線数が100万回線を突破)。

一方、MVNOの老舗の日本通信は、事業戦略発表会で今後の事業の方向性をモバイルソリューションの「黒子」へとシフトする戦略を公表した。これまで、MVNOの「モデル事業」者として直接サービスを提供してきたが、今後の主軸はMVNOやその他の多くの事業主体がモバイルソリューションを実現するための「MSEnabler」(モバイルソリューションイネイブラー)に移行する。

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その上で、規制緩和で期待されるHLR/HSS接続によるサービスは、2016年内にサービスインしたいという日程感を明らかにした(関連記事:日本通信、MVNO規制緩和で事業をモバイルソリューションの「黒子」へシフト)。

Wi-Fiサービスを拡充するMVNOもある。ビッグローブは、現在提供しているWi-Fiサービス「Wi-Fiスポット」を強化し、利用できる対象者を拡大した公衆無線LANサービス「BIGLOBE Wi-Fi」を2月1日から提供すると発表した。既存の「Wi-Fiスポット」は、同社のモバイル通信サービス「BIGLOBE SIM」のユーザーだけが対象だったが、新サービスの「BIGLOBE Wi-Fi」はライセンスを取得した利用者ならば誰でも利用できる。料金は月額250円(BIGLOBE SIMの一部のプランではライセンスが付与されるため無料)で、全国約8万カ所のアクセスポイントを利用できる(関連記事:ビッグローブ、対象者を拡大したWi-Fiサービス「BIGLOBE Wi-Fi」を2月1日に提供開始)。

誤入力補正する文字入力アプリ、Pepperがいつでも買える

このほか、一週間のトピックを紹介する。KDDI研究所は2、米Fleksyと共同でスマートフォン向け文字入力アプリ「Fleksy」(フレクシィー)の日本語版を開発した。Fleksy独自の「ジェスチャー操作UI」により、誤入力があった場合に画面をスワイプするだけで自動的に補正してくれる。入力の間違いのストレスを減らして日本語文字入力ができ、スマートフォンの文字入力に自信のない人や視覚に障害がある人の文字入力をサポートできる。日本語版FleksyはGoogle Playストアで公開済み。利用は無料。対象機種はAndroid 4.1以上のOSを搭載したスマートフォン(関連記事:スワイプするだけで誤入力を自動的に修正、KDDI研がスマホ文字入力アプリ)。

ソフトバンクロボティクスとソフトバンクは、2016年1月28日から約100店舗のソフトバンクショップとWebサイトでパーソナルロボット「Pepper」の販売を開始する。これまでPepperの一般販売モデルは毎月1000台をWebサイトで販売していたが、毎月1分で受け付けが終わる状況だった。1月28日以降はPepperの申し込みがいつでも可能になる。一般販売モデルを販売する店舗では、「Pepper」の法人モデル「Pepper for Biz」の予約も受け付ける(報道発表資料:ソフトバンクショップでPepperを販売開始)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。