小保方晴子の告白と日本の憂鬱

Confession of STAP girl and Japanese melancholia

2016.01.29

Updated by Mayumi Tanimoto on 1月 29, 2016, 11:56 am JST

久々に小保方女史がメディアに登場しました。講談社から告白本を出されたそうですが、タイトルがラノベなんだから表紙を萌えキャラにしなかったことが悔やまれます。ところで、小保方女史は告白本を書く暇はあっても博士論文を直す暇はなかったようです。

同書の内容を一言で言うと「私は悪くない」だそうですが、公的なプロセスの中で弁明しなければ意味がないので、本をだして一体何がしたいのかよくわかりませんが、講談社はコンテンツとして消費できればよいのでしょう。日本で紙の本が売れなくなる理由がよくわかります。

こういう本が出て売れてしまう、という所に絶望感があります。

研究や論文の執筆にはルールがあります。ルールを守るかどうかは、男か女か、頭が強いか弱いか、ワキ臭かどうかは関係ありません。

ルールはルールであり、その人の「属性」によってそれを曲げることは、ルールが機能しないということであり、ゲームそのものが成り立たないということです。成り立たないゲームの中で頑張ろうという人は多くはありません。

小保方女史は、博士論文の間違った版を提出してしまったといっていますが、最終版はどこにもなく、その間違った版は、大学の錚々たる人々によりピアレビュー(査読)されたはずなのに内容はいい加減でした。ルールでは嘘をついた人には学位を上げませんと書いてあるのに、適当な言い訳は受け入れられ、直す猶予が与えられました。

つまり、親父殺しがうまく、感情に訴えかけることができれば、日本ではルールを曲げることはいくらでも可能だ、ということであり、モノをいうのは、技術力や知性ではなく、コミュニケーション能力なのだということが、こういう告白本が出ることからもよくわかります。

これを見ていると、なぜ日本では年収500万円に満たないプログラマが一日18時間働く一方で、ロンドンやニューヨークの年収1300万円のプログラマは一日7時間しか働かなくて済むという理由がわかります。親父殺しが下手で、情に訴えるようなことをしない人は、いくら技術や知性があっても稼げないのです。

チェックのシャツを着た39歳非常勤研究者の男性は、ゆとり教育にそってコミュニケーション能力を磨き、居酒屋でお酌する術を身につけるべきだったのかもしれません。

 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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