20160212-rikkyo-univ-eyecatch

陸前高田市:岩手大学、立教大学と提携して地域創生、人材育成へ

2016.02.12

Updated by Hitoshi Sato on 2月 12, 2016, 07:26 am JST

陸前高田市と岩手大学、立教大学は2016年1月19日、『地域創生・人材育成等の推進に関する相互協力及び連携協定』を締結した。三者は陸前高田市及び三陸沿岸地域全体の復興と地域創生、またその地域創生を担う人材育成の推進に寄与することを目的として協議会を立ち上げる予定。今後は陸前高田市内空き校舎の教育拠点としての活用や、シンポジウムや教育プログラムの協同実施の可能性などについて検討を行っていく。

震災前から陸前高田市と深い交流がある立教大学:スポーツからボランティアまで

立教大学は、2003年度に矢作(やはぎ)町生出(おいで)地区において正課外教育の一環として「林業体験プログラム」をスタートし、陸前高田市との交流が始まった。東日本大震災の発生を受けて2011年4月には「東日本大震災復興支援本部」を設置し、同5月には、同市を重点支援地域に指定。2012年に同市と連携・交流協定を締結した。

これまでに学生ボランティアに加え、スポーツ分野での交流プログラム、学部や留学生による復興支援プログラム等、のべ1,000名を超える立教の学生が陸前高田市を訪問している。例えばバレーボール教室を開催したり、長嶋茂雄監督の出身でもお馴染みの立教大学野球部は陸前高田市で野球教室を既に3回も開催して交流を図っている。

他にも2012年12月には経営学部の専門科目『Small Group Communication (SGC)』の受講生有志による英語・国際交流ボランティア活動が実施された。アメリカ、イギリス、韓国、デンマーク、ニュージーランドからの留学生9名を含む12名のSGC受講生有志が陸前高田市を訪れ、気仙沼地域を含む現地視察とともに、地元の中学生たちと英語を使いながら触れ合うボランティア活動を行った。

2011年3月11日の東日本大震災以降、多くのNPOや企業、大学などが東北支援を始めたが、立教大学は大震災よりもずっと前の2003年から陸前高田市と交流をしており、10年以上の積み重ねがある。2015年10月に立教大学が発表した中長期ビジョン「RIKKYO VISION 2024」では、3つの「バリュー(行動指針)」の一つである「Lead for Learning(自分を拓く)」のアクションプランとして「陸前高田サテライトキャンパス」の開設を掲げ、息の長い交流を支える拠点の整備を構想した。

ネット時代だからこそ重要な「人との交流」

一方で、これまで岩手県全域で復興支援活動を展開してきた岩手大学は、平成25(2013)年度に文部科学省「地(知)の拠点整備事業(COC)」、さらに平成27(2015)年度には文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」に採択され、陸前高田市内に新たに「地域復興創生センター(仮称)」を開設する構想を掲げている。共に陸前高田市に拠点を起き復興を支援する2つの大学と自治体が協力して、地方創生と人材育成に取り組むことになった。

東日本大震災の様子はネットでもテレビでも写真でも、あらゆる媒体で世界中のどこにいても見ることができるようになったが、世界中の情報が簡単に入手できるような時代であっても人との交流は「その場」で人と人が交わらないとできない。

どれだけ情報通信技術が発達し、ツールが充実しても、それら技術は情報を媒介するだけだ。ネットでどれだけバレーや野球のサイトを見ても、ルールは覚えられても、プレーヤーとしてコートや野球場に立つことはできない。

地方創生と人材育成は時間がかかるものだ。スマホでもPCでもあらゆる情報が瞬時に入手できる時代だからこそ、人材育成にとって「人との交流」は重要になる。結局、人を育てることができるのは人なのだ。そしてそれらを通じて育った人材が地方創生の礎となるのだろう。

そして人材育成も地方創生も「どこまで達成したら終了」という、終わりがないもので、息長く続ける必要がある事業だ。これからも立教大学や岩手大学だけでなく、多くの大学やNPOなどが人材育成や地方創生の分野で積極的な取組みが期待される。

【参照情報】
陸前高田市、岩手大学、立教大学が地域創生、人材育成等の推進に関する協定を締結

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。