original image: © akiyoko - Fotolia.com
[2016年第7週]音波測位など新技術、IoTの普及促進、進むWi-Fi環境整備
2016.02.17
Updated by Naohisa Iwamoto on February 17, 2016, 14:51 pm JST
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2016.02.17
Updated by Naohisa Iwamoto on February 17, 2016, 14:51 pm JST
音波と無線LANを組み合わせた屋内位置検出システムの開発や、メタルケーブルを利用したギガビット高速通信の商用展開という新しい技術のトピックに注目。IoT関連では日本マイクロソフトなどがIoTプロジェクトの共同検証を行う「IoTビジネス共創ラボ」を設立したほか、プラットフォームサービス提供のニュースもあった。
新しい技術の適用の話題から見ていこう。三菱電気は、音波による測位を無線LANと組み合わせた屋内位置検出システムを開発した。誤差1m以内で位置を検出できるため、GPS電波の届かない屋内での高精度な位置検出に活用できる。無線LAN基地局に専用装置を取り付けるだけと比較的容易に実現できるのがポイント。三菱電気では地下駐車場の駐車位置ナビゲーションシステムや、倉庫の物流管理などへの応用を想定している(関連記事:屋内で誤差1m以内の位置検出システム、無線LANと音波を使って三菱電気が開発)。
中国電力系列の情報通信事業者であるエネルギア・コミュニケーションズ(以下エネコム)は、電話回線に用いられるメタルケーブルを用いたギガビット高速通信規格G.fast技術の商用展開を2016年6月から開始する。G.fastの商用展開は日本初。既存や新規のDSL方式によるインターネット接続の集合住宅に対し、1Gbpsサービスの提供を開始する。提供条件は、光ファイバー接続サービス「メガ・エッグ 光ネット[マンション] 」と同等となる予定だ(関連記事:エネコム、G.fast採用によりメタル回線での集合住宅向け1Gbpsサービスを開始)。
IoT関連の動きもあった。東京エレクトロンデバイスと日本マイクロソフトは、Microsoft Azureを活用したIoTプロジェクトの共同検証を行う「IoTビジネス共創ラボ」(共創ラボ)を発足させたことを発表した。発足時点で両社を含めて10社が共創ラボに参加し、日本市場でのIoTの普及とビジネス機会の拡大を目指す。
共創ラボでは、『IoT as a Service』の実現を目指して、1年以内にパートナーを現在の合計10社から、100社に拡大することを目標としている(関連記事:東京エレクトロンデバイスと日本MS、Azureを活用したIoTの導入促進へ「共創ラボ」を発足)。
IoTプラットフォームの新サービス提供のニュース。さくらインターネットは、「さくらのIoT Platform」を2016年度中に提供開始する。通信環境から、データの保存や処理のシステムまでを一体型で提供する。IoT機器とデータをやり取りするモバイル通信環境に加えて、ストレージ、データベースなどのバックエンド、外部のクラウドサービスなど連携できるAPIを組み合わせて、垂直統合型で提供する(関連記事:さくらインターネット、通信環境まで垂直統合したIoTプラットフォームを16年度内に提供)。
ACCESSは、同社のO2Oサービス向けIoT統合ソリューションが共同印刷の販売促進ソリューションに採用されたとアナウンスした。具体的には、ACCESSの「ACCESS Connect O2O Profile」のBeacon機器、スマートフォンアプリSDKとクラウド機能を、共同印刷の「MY SHOPPING CONCIERGE」に提供する。MY SHOPPING CONCIERGEは、タッチパネル型のデジタルサイネージとスマートフォンアプリを連動させた、多言語・オムニチャネル対応の販売促進ソリューション。実店舗に設置するタッチパネル型のデジタルサイネージとスマートフォン用アプリを、ECシステムや販売促進システムと連動させて新しい売り場や売り方を実現するという(報道発表資料:共同印刷の「MY SHOPPING CONCIERGETM」に IoT統合ソリューション「ACCESS Connect O2O Profile」を提供)。
Wi-Fiサービスのトピックを2つ紹介する。KDDIは、プリンスホテルが運営する日本全国の「プリンスホテル」でWi-Fi環境を提供し、客室やロビー、宴会場で、顧客が安全で快適なWi-Fiサービスを利用できるようにする。セキュリティ面は、KDDIのデータセンター「TELEHOUSE」に設置し認証機器で一元的に管理するほか、暗号化やアクセス制限などに対策を施す。また、プリンスホテルや関連施設間のWi-Fiを1度の認証で継続して利用できる「Wi-Fiローミング」、訪日外国人の顧客も対象として「多言語ヘルプデスク」などで、利便性の高いWi-Fi環境を整備する(報道発表資料:日本全国の「プリンスホテル」で快適で安心なWi-Fi環境を提供)。
もう1つは屋外の商店街のWi-Fi化。横浜中華街発展会協同組合は、NTT東日本神奈川事業部と協力して、横浜中華街の中華街大通りでフリーWi-Fi環境を整備する。神奈川県内では初の、商店街の屋外向けWi-Fiとなるという。名称は、「YOKOHAMA CHINATOWN Wi-Fi(仮称)」で、2016年度の開始を計画している。国内外から集まる観光客に「観光・交通情報の取得」「観光アプリ・Webサイトの活用」「SNSを活用した情報発信」を無料で利用してもらうことで、横浜中華街の魅力を高める。さらに災害時のライフライン確保の目的も兼ね備える(報道発表資料:横浜中華街「中華街大通り」へのフリーWi-Fi環境の整備)。
このほかのトピックを見ていこう。GfKジャパンは、全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データなどを基にして分析した2015年の家電・IT市場の販売動向を発表した。「テレコム市場」では携帯電話の販売が前年比6%減少だったのに対して、ウエアラブル端末が同95%増加と倍増した。一方、「IT・オフィス市場」では、パソコンが前年比30%減の1110万台と大幅に販売数量を落とす中、タブレット端末(iOS、Android)の販売は同16%増の730万台になった(関連記事:2015年スマホ販売は前年比1%減、ウエアラブルは倍増--GfKジャパン調査)。
NTTドコモの携帯電話の契約数が7000万を突破した。2016年2月10日に達成したもの。5000万から6000万の1000万の増加には6年4カ月かかったが、6000万から7000万は3年11カ月で達成した。2代目需要の創出や法人向けのIoTビジネス関連モジュールなどの提供促進などが奏功している(報道発表資料:ドコモの携帯電話契約数が7,000万を突破)。
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