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ドコモ、マルチベンダー環境のネットワーク仮想化技術を開発完了 2016年3月に商用化

2016.02.19

Updated by Asako Itagaki on February 19, 2016, 18:05 pm JST

NTTドコモは、複数ベンダーのEPCのソフトウェアを動作可能なネットワーク仮想化技術の開発を完了した。既にネットワーク仮想化技術を適用した商用ネットワークでの通信に成功しており、2016年3月から運用を開始する。

この技術は2015年3月に「通信混雑時における通信のつながりやすさを向上させるネットワーク仮想化技術」として、エリクソン、日本電気(以下NEC)、富士通の3社をパートナーとして開発着手を発表していたもの(報道発表資料)。エリクソンが仮想的なハードウェアを制御するシステムを構成し、NECと富士通が2社がそれぞれネットワーク仮想化技術を適用したEPC のソフトウェアを構成することにより、異なるベンダーのソフトウェアと仮想的なハードウェアを組み合わせてシステムを構築した。

▼2015年のMobile World Congressのドコモブースで展示されていたマルチベンダー環境の仮想化技術のデモンストレーション(参考記事
EPC-20150304_docomo002

▼システム構成イメージ(2015年3月報道発表資料より
20160219-docomo-nfv

本技術の導入により、災害等を原因とした通信混雑時における通信のつながりやすさ向上や、設備故障時における通信の継続提供をより確実とする。加えて、新たなサービスを迅速に提供できるほか、設備投資の効率化も見込める。

今回開発したマルチベンダー環境の仮想化技術は、ETSI NFV ISGで制定された規格に準拠しており、複数ベンダーのソフトウェアとハードウェアの組合せを容易とするオープンな環境を実現している。複数ベンダーのEPCソフトウェアが共通のハードウェアで使用でき、通信設備の利用効率を最大化することが可能となる。また、各社専用のハードウェアを前提としないシステム構成が可能となることで、ソフトウェアの選択肢が広がり、新たなサービスが生み出されることが期待される。

また、ドコモはネットワーク仮想化技術の導入と併せてIPネットワークを柔軟に切り替えることができるSDN技術を導入することで、導入効果の最大化を図る。本技術の適用範囲を段階的に広げるとともに、将来的にはネットワーク全体の仮想化を目指す。

【報道発表資料】
世界初、複数ベンダーのEPCソフトウェアを動作可能なネットワーク仮想化技術を開発 -2016年3月から商用ネットワークでの運用を開始-

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。