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[2016年第12週]解除料不要の新プランはメリットが少ない? ウサギ島で観光Wi-Fi実験

2016.03.23

Updated by Naohisa Iwamoto on 3月 23, 2016, 14:01 pm JST

スマートフォンなどの2年契約プランを契約すると解約時にかかる契約解除料について、ソフトバンク、KDDIが新しいプランによる施策を発表した。この週も法人向けのサービスのトピックが多くあった。また、観光客が増加する「ウサギ島」のWi-Fi環境を充実させるため、対岸から無線で通信する実験が行われた。

契約解除料不要の料金プランなど新施策

まず、料金関連のトピックから。ソフトバンクは、2年契約プランで契約更新期間以外に解約した場合にかかる契約解除料(9500円)が不要になる新料金プランを発表した。6月1日に提供を開始する。新しい2年契約プランは、「スマ放題」「スマ放題ライト」の基本プランに対応するもの。加入から3年目以降(25カ月目以降)はいつ解約しても契約解除料がかからない。月額料金はいずれも、現行の2年契約プランの月額料金に300円を加算した金額となる(関連記事:ソフトバンク、3年目以降の契約解除料が不要な新プランを月300円増しで提供)。

ソフトバンクに続きKDDIも、同様の施策を打ち出した。2016年6月から、契約から3年目 (25カ月目) 以降に解約した場合に、9500円の契約解除料が発生しない「新2年契約」の料金プランを提供する。料金は通常の「誰でも割」に月額300円が加算されるというものだ
(報道発表資料:「新2年契約」の料金プランの提供等について)。

これらの新プラン、契約解除料が不要ならお得になると考えがちだが、コストメリットがある解約のタイミングがかなり限られる。単純計算をすれば、32カ月で加算額の累計が9600円となり、契約解除料の金額を超えてしまうのだ。コストメリットがあるのは、契約更新期間を除き25カ月目以降、31カ月目までの間に解約することが予想される場合だけ。その上、32カ月目以降も継続して利用すると、累計の支払額は現行の2年契約プランよりも増え続けてしまうのだ。プランを用意はしたけれど、実際には使う人がいないといった有名無実化したプランになる可能性が高い。

一方で、2年契約プランで契約解除料がかからない契約更新期間を延長する動きもある。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクはいずれも、契約更新期間を、現行の1カ月から2カ月へと延長し、安心感を演出する。3年目以降に契約解除料がかからない代わりに月額料金が上がる新プランを選ぶよりも、契約解除料がかからない期間が「2カ月間も」ある現行の2年契約プランの方にメリットがあると見せることで、2年契約プランへの引き止めを狙っているように見える動きだ(報道発表資料:2年定期契約等の解約金がかからない期間を延長)。

そうした中で、ひたひたと格安SIMの足音が聞こえてくる。MMD研究所は、「2016年3月格安SIMサービスの利用動向調査」の結果を発表した。回答者の中で「格安SIMサービスを利用している」と回答した率は11.5%に上り、認知の割に実際の利用が進まなかった状況から、普及期に入ったと考えられる。また、格安SIMサービスで契約しているプランとしては、「音声通話プラン」が46.7%、「データ通信プラン」が53.3%とおよそ全体を二分する回答となった。音声通話プランが半数近くに上ることは、1台目のスマートフォンや携帯電話機として格安SIMを利用しているユーザー層が厚くなっていることを示す。3大キャリアがユーザー軽視の施策を続けていると、格安SIMへの移行が本格化することも考えられる(関連記事:格安SIM利用率は1割超、音声通話プランが半数近くに--MMD研究所)。

通話、IoT、Wi-Fiなど、法人向けのサービス

法人利用を想定したサービスが次々にアナウンスされている。ニフティは、スマートフォンのデータ通信を利用して固定電話番号での発着信を可能にする法人向け通話サービス「ShaMo! by NIFTY Cloud」(シャモ・バイ・ニフティクラウド)の提供を開始する。4月中旬に東京23区内(03番号)でAndroid版の提供を開始し、その後順次対象を拡大する。スマートフォンで固定電話番号を利用した通話が可能になるほか、1つの代表番号の複数のスマートフォンでの共有や、無料の内線通話が可能(関連記事:ニフティ、スマホで固定電話番号の発着信ができる「ShaMo! by NIFTY Cloud」を提供)。

同じくニフティは、法人企業向けモバイル通信サービス「NifMo法人サービス」に、IoTなどの用途に向けた2つの新しいデータ通信プランを追加した。月額480円の「スタートプラン」、月額640円の「1.1GBプラン」で、いずれも3月15日に提供を開始した。新しく追加したデータ通信プランは、データ通信容量が少ないケースや、低速度でも問題がないような利用法に適したプラン。POS管理、バスやトラックの運行管理、農作物管理、各種の計測器、センサーのデータ送受信など、IoTを中心とした用途に向ける(関連記事:ニフティ、200kbpsで月額480円のIoT向けプランなど「NifMo法人サービス」を拡充)。

NTT東日本は、法人向けのサポート付きWi-Fiサービス「ギガらくWi-Fi」に、「リモートアクセスオプション」と「LAN給電オプション」の2つのオプションを追加する。提供は4月1日。リモートアクセスオプショオンは、リモートアクセス装置を追加導入するだけで、手軽に外出先からオフィスのLANにアクセスできるようにするもの。LAN給電オプションは、LAN給電装置からアクセスポイントやPoE対応のネットワークカメラなどの機器にLANケーブル経由で給電できるようにするものだ(関連記事:NTT東の「ギガらくWi-Fi」、手軽にリモートアクセスを可能にするオプションを提供)。

ディープラーニングをASPで使いやすく。UEIとさくらインターネットは業務提携し、4月からディープラーニング環境を提供するASP事業を開始する。UEIはソニーコンピューターサイエンス研究所(ソニーCSL)と、GUIディープラーニング環境「DEEPstation」を開発してきたが、Web上から手軽に活用できるASP型サービスの提供が待望されていた。そこでUEIとソニーCSLは、共同開発した深層学習ソフトウェアプラットフォームのインフラとして、さくらインターネットの高火力コンピューティングプラットフォームを採用し、 ASPサービスを開始することとなった(関連記事:DEEPstationをASPで利用可能に UEIとさくらインターネットが提携)。

ウサギ島にWi-Fiを、青少年にLINEのお助けスタンプ

この週のその他のトピックを紹介する。日本電業工作(以下DENGYO)、エフォートシステム、カワミツ産業は、ウサギ島として知られる観光地の瀬戸内海の大久野島(おおくのしま)で島内観光Wi-Fi試験を実施した。

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対岸の広島県竹原市と大久野島第2フェリー乗り場および休暇村の間を4.9GHz帯の無線で接続し、17Mbpsでの通信を確認した。ウサギ島として知名度が高くなった大久野島では年々海外からの観光客が増加しており、本土からの基幹回線の増加とWi-Fiサービスの提供が課題となっている(関連記事:ウサギ島の観光Wi-Fi、海上4km無線伝送で試験に成功)。

ソフトバンクとソフトバンクグループのPSソリューションズは、香川県小豆郡土庄町豊島で、電動二輪車「Honda EV-neo(イーブイ・ネオ)」を利用したパーソナルモビリティのレンタルサービス事業「瀬戸内カレン」を3月26日に開始する。パーソナルモビリティと移動体通信網を接続する「Internet of Moving Things」事業の第一弾と位置づける。パーソナルモビリティのリアルタイムの位置情報や運転状況を管理するほか、ソフトバンクが開発した充電・認証システム「ユビ電」を充電インフラとして活用する(報道発表資料:パーソナルモビリティ向けのIoT事業を開始)。

LINEは、青少年のネット上でのトラブル防止活動の一貫として、場をなごませ悪口が飛び交う空気をかえる“おたすけスタンプ”「君が押さなきゃ誰が押す!」(以下おたすけスタンプ)の配信を開始した。2016年3月15日から1年間、無料で配信する。

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今回の取り組みは2015年10月にNHK Eテレ(教育テレビ)で放送された「いじめをノックアウトスペシャル第6弾 ボクたちは、あきらめない。」での討論がきっかけ。LINEのスタンプで場をなごませ、悪口が飛び交う“空気“を変える」というアイデアが発端となり、同番組とLINE株式会社が共同でスタンプ制作を実施するに至った(関連記事:「君が押さなきゃ誰が押す!」中高生が作ったLINEの“おたすけスタンプ”配信を開始)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。

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