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無線技術に加えてアプリやネットワークの検討も推進、5GMFが活動を紹介

2016.05.30

Updated by Naohisa Iwamoto on 5月 30, 2016, 09:31 am JST

第5世代移動通信システムの早期実現を目指す国内の団体「第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)」の活動を報告するセミナーが実施された。東京ビッグサイトで開催された展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2016」のプログラムの一環だ。5GMFでは5月末に「5GMF白書」を公開する計画で、セミナーでは5GMFの活動そのものを紹介すると同時に、白書の概要の説明にも時間を割いた。

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5GMFは傘下に4つの委員会を設けている。それぞれの委員会の担当者がセミナーに登壇し、委員会の活動状況や取り巻く環境、トレンドを紹介した。

企画委員会

5GMF企画委員会委員長代理の中村武宏氏(NTTドコモ)は、「5Gは2020年が商用化の明確なターゲットになった。オリンピック前に商用化を実現するために、ドコモも5GMFも準備を進めている。5GMFは5月時点で93社の会員が活動している」と現状を紹介した。

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2020年の商用化を目指し、5GMFでは総合実証試験推進グループを設け、2017年後半を目指して総合的な実証試験を実施するための準備をしている。また、海外の5G推進団体と蜜に連携して検討を進める。例えば、ヨーロッパの5GPPPなど世界5団体と連携してイベントを開催するMOUを締結し、効果的なイベント開催を進めているという。

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また、中村武宏氏は、5GMF白書について「これまで、電波産業会(ARIB)による『2020 and Beyond Ad Hoc』の検討成果があったが、これは無線部分が中心だった。今回の5GMF白書は、無線だけでなくネットワークやアプリも含めた5Gの本格的な白書になる」と説明した。

アプリケーション委員会

「アプリケーション委員会では、市場動向から次にどうなるかを検討している。5Gのキラーアプリを見つけることが答えだが、これは現時点ではわからない。様々なアプリを使っていくうちに、これまでにない新サービスや新産業が生まれることになるだろう」。5GMFアプリケーション委員会 アプリケーションプラットフォームWG主査の佐藤良明氏(NTT)は、こう語る。そのため、アプリケーション委員会では、「5Gのネタ探し」と「通信以外の産業と5Gの接点の検討」を行っているという。

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アプリケーション分野の1つの検討方法として、「将来はマスユーザーも5Gに移行すると考えている。ならば、現在マスユーザーがスマートフォンで何をしているかを考えることからも、5Gのきっかけが見つかるだろう」(佐藤氏)とアプローチの仕方を紹介した。

例えば、「スマートフォンでは地図や位置情報が多くの人に利用されていることから、5Gでも地図や位置情報は使われるだろう。5Gではリアルタイムな情報を総合したダイナミックな地図が1つのアプリとして考えられる。また、スマートフォンは女性が男性よりも活発に利用している初めての電子機器。女性のコミュニケーションツールとしての利用は、5Gでもニーズとして継続するだろうし、5Gの進化や特徴を検討する際のポイントになる」。

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もう1つが、自動運転の分野。「自動運転は4つのレベルに分けられるが、レベル1~3の運転アシストの段階では、通信には低遅延といった性能が求められるだろう。しかしレベル4の完全自動運転が実現したときには、利用者は飛行機に乗っているのと同様の状態。制御のためだけでなく、空間を楽しくするためのエンターテインメントに通信が使われることも考えられる」(佐藤氏)。このように5Gのアプリは、技術革新だけでなく、制度や文化、ビジネスモデルとも密接に絡み合って成り立つもので、通信産業以外の業界と意見を交換し理解を求めながら、調査を進めていることをアピールした。

技術委員会

5Gの核をなす無線アクセスを中心とした技術については、5GMF技術委員会委員長代理の中村隆治氏(富士通)から説明があった。「5Gの無線アクセスは世界中で議論が進められている検討の過程にある。通信は人間が主であるものから機械が主であるものへと、内容が変わり、トラフィックは今後も伸び続ける。そのための対応が必須だ」。

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5Gのキーコンセプトとしては、ネットワーク委員会と共同で検討しているものとして、(1)エンドツーエンド品質、(2)究極の超柔軟性--の2つを掲げた。エントツーエンド品質としては、量的、質的に高い部分を5Gが担うとした上で、さらに現行のベストエフォート型の通信から帯域確保型の通信が重要なポイントになると指摘した。究極の超柔軟性は、5Gでは様々なユースケースでの利用が想定されるが、ユースケースごとにダイナミックレンジやスケーラビリティのあるサービスの提供が望まれるという。技術的には、複数の無線アクセス技術の多層化、ネットワークのソフトウエア化が鍵になるという。

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5Gで利用する無線周波数帯域に関しては、「広い帯域を求めると、高い周波数帯域を利用することになる。30GHz未満、30G~60GHz、60GHz以上といった周波数帯域ごとに使い分けをしていくことになるのではないか」(中村隆治氏)と見る。

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ネットワーク委員会

5GMFネットワーク委員会戦略部会副部会長の清水敬司氏(NTT未来ねっと研究所)は、技術委員会の説明を受けて、5Gのネットワーク技術の位置づけをこう説明する。「コンセプトはネットワークの超柔軟性で、それを実現する技術としてはネットワークのソフトウエア化が挙げられる。5Gに向けて、これらの技術を発展して使っていくことになるだろう」。

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その上で、ネットワークの技術課題には4つのフォーカスエリアがあると指摘する。「(1)ネットワークのソフトウエア化、(2)ネットワーク管理とオーケストレーション、(3)フロントホールとバックホール、(4)モバイルエッジコンピューティング--の4つ。これらの技術課題から見た5Gとは、端末(UE)からサーバーまで無線アクセスネットワーク(RAN)も含めて、ユースケースごとに異なるサービスを提供できるスライシングの実現、管理が可能なネットワークとなる」(清水氏)。

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5GMFのネットワーク委員会では、ITU-TでIMT-2020のネットワーク技術を検討しているSG13と連携して活動をしていることを紹介。国際標準化団体に多くの寄書を提出することなどで、標準化に貢献していることもアピールした。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。

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