ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部 プロダクト&サービス部 IoTビジネス開発室長 山平哲也氏

ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部 プロダクト&サービス部 IoTビジネス開発室長 山平哲也氏(後編):「おもしろそう」を求めてたどりついたIoTで日本の課題解決を目指す

日本のIoTを変える99人【File.014】

2016.07.01

Updated by 特集:日本のIoTを変える99人 on 7月 1, 2016, 10:35 am JST

IoTは「異業種格闘技」だという山平氏。そう考える山平氏自身が、IoTに関わるようになった経緯と、解決したい課題について、引き続き話を聞く。(前編はこちら

ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部 プロダクト&サービス部 IoTビジネス開発室長 山平哲也氏

山平 哲也(やまひら・てつや)氏
ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部 プロダクト&サービス部 IoTビジネス開発室長。企業向けシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、インターネット普及に伴いIPネットワーキング技術などを担当。2001年に米国シリコンバレーにおける拠点立ち上げ。2007年からICTソリューションのマーケティング企画部門を経て、現在、IoTを中心としたエコシステム構築とビジネス創造を推進している。

IoTで役立つ、さまざまな業種業態に触れた経験

私自身のキャリアの話をすると、1993年に新卒で日本ユニシスに入社して、生まれ育った大阪で技術者としてシステム開発に携わっていました。約30人の部署で約200社のクライアントがあり、金融以外のほとんどの業種、生産管理、人事給与、販売、貿易など、企業内のよくある業務システムは一通り経験しました。

当時は、お客様にシステムが使われる現場をきちんと見せていただきながら仕事をしていました。生産管理システムであればお客様に工場内を案内していただき業務と使われている機械についてしっかりと説明していただきましたし、貿易業のインボイスシステムであれば、コンサルタントの方に、たとえば海外の工場から日本にものを運ぶための手続きを教わって、モノとお金と情報が一緒に動くのがいかに大変なことかを実感しました。そうしてさまざまな業種業態の、さまざまな業務に触れた経験が、IoTにたずさわる上で生きているなと最近感じます。

転機となったのは1995年。日本にもインターネットブームがきた年に、米ユニシスがグローバルでネットワークインテグレーションビジネスを始めることになり、日本ユニシスにもそのための部署ができました。社内公募に応募し異動が決まったことで、ネットワークエンジニアとしてのキャリアが始まりました。この部署と、オープンサービス事業を子会社化する形で1997年にユニアデックスが設立され、そちらに移りました。

社内公募に応募したのは、「おもしろそうだったから」。何かおもしろいことできそうだったし、いつか行きたいと思っていた東京にも行けるしね(笑)。ネットワークエンジニアとして企業やISPのネットワーク設計、セキュリティを3年ほどやりました。

シリコンバレーを経て社内でビジネスを創造する立場へ

次の転機は、米国留学とシリコンバレー駐在です。1998年夏から1年半、社内留学制度を利用してカーネギーメロン大学(CMU)で1年間訪問研究員としてコンピューターサイエンスを学び、その後 CMUキャンパスの無線LANネットワーク整備にも携わりました。帰国後しばらくして2001年に「ユニアデックスのシリコンバレー拠点を立ち上げるから行って来い」と言われ、1年半ほど現地に駐在していました。つまり2000年を挟んで通算3年ほど、アメリカを見てきたことになります。

シリコンバレーでは三井物産のオフィスに間借りしながらの駐在だったのですが、周囲で働く人たちを見ていて、「新しいビジネスを作らないとおもしろいことはできない」と感じたんです。ただ、「シリコンバレー」「新しいビジネス」というと「ベンチャー」とか「起業」とか思い浮かびますけど、自分で起業しようとは全然思いませんでした。周囲の人たちを見ていると、うまく会社を利用して新しいことをやっているひとたちも結構面白いことをやっているんです。「自分も、会社を使って楽しいことをやっていこう」と思ったんですね。

そう思ったので、2003年に日本に戻る時に、市場開発、事業企画、マーケティングをやる部署に行きたいと希望して、帰国後は新規で取り組みたい分野を探し、そこで扱える商材を探し、自社の技術者を育成して市場で売れるようにする、ということをずっとやってきました。ユニアデックスの強みは修羅場から逃げないサポート力にありますが、新規分野の取り組みは苦手だったので、これを変えようとしてきました。その過程で、いくつかのシリコンバレーベンチャー企業の日本市場での立ち上げもお手伝いしました。

ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部 プロダクト&サービス部 IoTビジネス開発室長 山平哲也氏

手がけてきた分野としては2000年以降に広がりを見せた無線LAN、ワイヤレスネットワーク、セキュリティ、キャリアグレードのインフラ製品、ストレージ、サーバーなど多岐にわたります。会社が大きくなって部署が増え、できることが増えてきたので扱う分野もどんどん範囲が拡大してきました。

IoTに関わるようになったのも、扱う範囲が増えてスマートデバイス的なものを手がけはじめたことがきっかけ。通信業界では「IoT」というキーワードは3年ぐらい前から出てきていて、次にくるだろうな、おもしろそうだと思っていました。IoT は重要ですよと社内で何度か言ってたら、会社がIoTを重点ビジネス領域で進めることになり、気がついたら責任者になってました。自分が面白そうだと思っている分野なのでやっぱりここでもうまく会社を使って行きたいと思います(笑)。

「日本が年老いていく」現実をなんとかしたい

IoTで今までつながっていなかったものがつながり、いろいろなことがデジタルになるんだろうなと思っています。乱暴な言い方をすると、既にデジタル化されているものにあまり関心はないんです。今フォーカスしているのは製造業、ヘルスケア、社会インフラの3分野ですが、ここにはまだデジタル化されていない仕事がたくさんあります。そうしたことがIoTでデジタル化されることによって変わっていくんだろうと思います。

この3分野に特に着目するのは、「日本が年老いていく」という現実を感じていて、それをなんとかしたいという思いからですね。高齢化が進むことで増えるお年寄りに向けて何かを提供したいし、高齢化で労働人口が減っていく製造業を、人が居なくても動かせるようにしたい。そのためのIoTでありAIだと思っています。

少子高齢化でやがて労働人口が減少に転じて、日本と同じような構造になる国はたくさんあります。大きなところでは中国で、一人っ子政策に起因して、急速な高齢化がすすむはず。ASEAN諸国もそのうちそうなるでしょう。

そんな国に向けて、たとえば、介護や介護医療連携をデジタル化して輸出産業にできればいいなと考えています。そのためにはまず国内の制度における「医療と介護の壁」をなくさないといけないのかなと思います。私達にどんな貢献ができるのかはまだ分かりませんが。

失敗を恐れずにIoTを通じて「見たことがないもの」を見ていきたい

これからしばらくは、今やっていることを「おもしろい」ところまで持って行くので手一杯な感じがします。その中で、「IoT」というキーワードで今までつながっていなかったものがつながることで、何がどう変わるのかを、失敗を恐れずに取り組みを進めていって見つめていきたい。

スマートフォンは、人の生活を変えましたよね。同じように、IoTは、普通に暮らして働いている人の、暮らし方、働き方をどう変えるのか、うまくすれば私達が変化を作り出せるかもしれないし、一緒にやっている人たちが作るところを見られるかもしれない。具体的なビジョンはまだないし、一人で考えていてもわかりません。

私の趣味は旅行なのですが、行ったことがない場所、見たことがない場所に行くのが好きなんです。仕事も同じで、見たことがないものを見るために、エコシステムラボの異業種格闘技で今まで会ったことがない人にものごとを教わるとか、ラボの中だけではなく自分から出かけていって、ここでは見えないことを考えている人たちの話を聞いてみたいと思っています。

ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部 プロダクト&サービス部 IoTビジネス開発室長 山平哲也氏

構成:板垣朝子

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