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[2016年第30週]ポケモンGOのネットワークへの影響は? ソフトバンクとHONDAがAI共同研究

2016.07.26

Updated by Naohisa Iwamoto on 7月 26, 2016, 16:45 pm JST

国内でもサービスが始まったPokémon GO(ポケモンGO)。海外での評判を受けて、国内でも話題には事欠かない。AIやロボットの活用に関するニュース、IoTソリューションの提供の話題など、学校は夏休みに入った季節でありながら、多くのトピックがあった。

ポケモンGOが変えるネットワーク

ポケモンGOは、国内でもあっという間に社会現象へとその影響が広がっている。そうした中、ポケモンGOがネットワークにどのような影響を与えるか、プロセラネットワークスのCam Cullen氏(グローバル・マーケティング担当VP)が同社のブログで簡単な分析を試みている。紹介されているのはヨーロッパのとあるモバイルキャリアの事例で、約200万の加入者がいる。約3時間の平均では、ネットワークに接続されているユーザーの約7%がポケモンGOをプレイしていたという。リリースされたばかりのアプリケーションがこれほど急速に利用者を増やすことはきわめて稀だとしている(関連記事:Pokémon GO がモバイルネットワークに与えるインパクト)。

iPhoneの普及がネットワークに大きなインパクトを与えたように、ポケモンGOは単一のアプリケーションでありながらネットワークに大きな影響を与えている。今後、新しいアプリケーションがネットワークに与えるインパクトを見極める上でも、ポケモンGOの事例を解析しておく必然性がありそうだ。

ネットワークサービスの側面でもポケモンGOは影響を与えている。DTIはMVNOサービス「DTI SIM」の新プランとして、1年間特定アプリのデータ通信料を無料とする(ゼロ・レーティング)料金プラン「DTI SIM ノーカウント」の予約受付を開始した。

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対象はポケモンGOで、発生するデータ通信については上限5GBの制限には含まれない。先にポケモンGOがサービスを提供している米国では、デイリーユーザー数がTwitterを抜き、滞在時間がFacebookを超えたと報じられるなど、大きなブームを巻き起こしており、T-MobileがPokémon GOを対象としたゼロ・レーティングプランを発表している(関連記事:DTIがPokémon GOのデータ通信料が1年間無料となる新プランを発表、国内でもインターネット中立性に関する議論高まるか)。

プラスワン・マーケティングも、同社のモバイル通信サービス「FREETEL」で、日本でも同日に配信が始まったゲーム「ポケモンGO」で使ったパケット通信料金を無料にする施策を発表した。FREETELでは、ポケモンGOのアプリで使ったパケット通信料についての無料化サービスを、2016年8月下旬から9月ごろに提供を開始する予定だ(関連記事:FREETEL、「ポケモンGO」のパケット料金を無料に)。

AIやロボットにも継続して注力するソフトバンク

ARMの買収で「IoT」の旗を大きく振ることになったソフトバンクだが、AIやロボットでも継続して施策を発表している。1つはソフトバンクと本田技研工業(HONDA)が、cocoro SBのAI技術「感情エンジン」を活用した共同研究を開始するというニュース。運転者の会話音声や車の各種センサー、カメラなどを活用して、車が運転者の感情を推定し、同時に自身も感情を持って対応するしくみを目指す。共同研究では、車と運転者が感情を持ってコミュニケーションを測れるようにすることで、運転者が車を自分の友人や相棒のように感じ、さらなる愛着を感じてもらえるようにすることに取り組む(関連記事:ソフトバンクとHONDA、「心」を持つ車の開発に向け共同研究)。

人型ロボット「Pepper」活用の話題もあった。ソフトバンクロボティクスは、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」を活用した「Pepper」向けロボアプリの開発促進を目的に、新たな認定制度「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」を開始する。また、Microsoft AzureをプラットフォームとしたIoTプロジェクトの共同検証を行う「IoTビジネス共創ラボ」にも参画し、Pepperを活用したソリューションの開発を目指す「Pepper ワーキンググループ」を2016年8月下旬に立ち上げる(報道発表資料:Microsoft Azureを活用するロボアプリ開発の促進を目的に、認定制度「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」を開始)。

さらにソフトバンクロボティクスは、「Pepper」の法人モデル「Pepper for Biz」向けの新サービスについてもアナウンスした。新サービスとしては、Pepper導入企業の要望に合わせたロボアプリ用コンテンツを低価格で制作する「Pepperのお客様対応力向上コンテンツ by CrowdWorks」、Pepper専用のステッカーやユニフォームを提供する「ロボデコレーション」、Pepperを企業の広告などでキャラクターとして利用できるライセンス制度を開始する。業務用ロボアプリのラインアップの拡充も実施し、「インバウンド」「接客」「ヘルスケア」「受付」のカテゴリーで28種類のロボアプリを8月以降順次提供する(報道発表資料:「Pepper for Biz」向け新サービスについて)。

IoTの容易な実現に向けたプラットフォームやモジュール

IoTソリューションに関連する話題もあった。インターネットイニシアティブ(IIJ)は、IoTシステムを容易に構築できるようにするためのIoTプラットフォーム「IIJ IoTサービス」の提供を2016年11月から順次開始する。各種デバイスのセンサー情報の収集から、蓄積・可視化、制御・管理の自動化まで、IoTシステムに必要なすべての機能を一体化して提供することが特徴だ。

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必要な機能をメニューで選択するだけで、低コストかつ短期間にIoTシステムの導入ができるようにする(関連記事:IIJ、IoTシステムに必要な機能を一体提供する「IIJ IoTサービス」を11月から提供)。

ソフトバンクは、IoT機器向けのLTEモジュールを開発した。開発したLTEモジュールは、小型で低消費電力の性能を備えるもの。3GPPの標準化規格「カテゴリー1」に準拠したチップを搭載し、上り最大5Mbps、下り最大10Mbpsの通信速度でLTEのデータ通信が行える。このLTEモジュール、3GPPの最新の標準化規格である「リリース13」に対応可能なことで、ソフトバンクのLTEネットワークがリリース13に対応した時点で、超低消費電力の通信が可能になる。2017年前半にIoT機器を取り扱う企業に向けて提供を開始する予定だ(関連記事:ソフトバンク、「リリース13」対応可能で10年以上電池駆動が可能になるIoT向けLTEモジュール)。

既存技術で人口動態の推計をするというニュースもあった。ヤフー(Yahoo! JAPAN)は、「Yahoo!地図」アプリに今年の花火大会の混雑予測と回避に利用できる、全国55ヶ所の花火大会の混雑度推移データの提供を開始した。Yahoo!地図では、エリアや施設周辺の過去3時間分の混雑度推移を地図上で確認できる「混雑レーダー」を提供している。今回は、花火大会の混雑予測と回避に特化した機能を追加した。昨年の花火大会当日の混雑度推移データを20分ごとにアニメーションで確認できるようすることで、目的の花火大会の混雑度推移データを事前に確認しできるようにする。混雑を避けられる「行き帰りの時間帯」の予測や、「混雑せずに観賞できる穴場スポット」の発掘のヒントになるという(報道発表資料:「Yahoo!地図」アプリ、全国55ヵ所の花火大会の混雑度推移データを提供開始)。

法人向けに「LINE」、UQ WiMAXが2000万契約突破

その他のトピックを見ていこう。KDDIは、法人向けのコミュニケーションツールとして“ビジネス版LINE”である「Works Mobile with KDDI」の提供を開始する。「Works Mobile」は、ワークスモバイルジャパン が、2016年1月20日から提供するメッセージを中心とした法人向けコミュニケーションツールで、「LINE」を運営するLINEの協力により開発したもの。セキュアな環境で社員間のコミュニケーション活性化が推進できるという(報道発表資料:"ビジネス版LINE"「Works Mobile with KDDI」を提供開始!)。

UQコミュニケーションズは、UQ WiMAXサービスの累計契約数が2016年7月19日に2000万件を突破したと発表した。UQは、2009年の開業以来、Wi-Fiルーターの販売などでデータ通信サービスのユーザーを獲得。その後、2014年5月以降には、WiMAX 2+がKDDIのauスマートフォンに搭載されたことで、WiMAXサービスの契約数が急速に伸びた(報道発表資料:UQ WiMAXサービスの累計契約数が2,000万件を突破)。

最後に、夏休みの海外旅行などにうれしい新サービスのニュース。KDDIは、海外でも国内と同様にデータ通信を使える「世界データ定額」の提供を開始した。1日980円で、国内で加入しているデータ定額プランの容量を、海外でも使えるサービスだ。世界データ定額は、32の国と地域で提供する。世界データ定額サービスを安心・便利に使えることを目的とし「世界データ定額」アプリも提供を始める(関連記事:1日980円で海外データ通信、KDDIの「世界データ定額」がサービス開始)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。