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公開から活用へ動きが進む自治体のオープンデータ戦略

2016.07.29

Updated by Yuko Nonoshita on 7月 29, 2016, 11:00 am JST

全国の公共団体らが進めるオープンデータ施策について情報交流を行う「第5回 自治体オープンデータ推進協議会(関西会議)」が開催され、自治体では情報公開から活用に向けた動きが進んでいることがわかった。

パブリックバリューを高めるための標準化が進む

動きが加速した理由として、オープンデータはただ公開するだけでなく、具体的なメリットを知ってもらわなければ持続性ある仕組みにならないという現場の思いがある。活用してもらうには使いやすさも重要で、パブリックバリューを高めるための動きとして政府が標準利用規約や共通語彙推進施策を進めていることが内閣官房政府CIO補佐官の平本健二氏から紹介された。

共通フォーマットを用いて国と地方公共団体のデータを連携する動きも進んでおり、復旧・復興支援データベースの構築や全国の企業情報を集約する経済産業省版法人ポータルのベータ版が4月に公開されている。

▼オープンデータのフォーマットを共通化することで復旧・復興支援データベースのように地域に分散しているノウハウの集約するなど、オープンデータを持続性のある取り組みにする動きが進んでいると説明する平本健二氏。
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ワークショップで「宝の山」に気づく

企業側でも自治体のオープンデータを活用する動きが始まっており、総務省とリクルートコミュニケーションズが自治体と協力し、街えらびの指標となるデータを作成するプロジェクトを実施している。公共機関が公開しているデータをユーザーにわかりやすく提供するアメリカのサービスを参考に、自治体の担当者が地域の魅力を掘り起こすワークショップを開催するというもので、これまでに藤沢市、千葉市、戸田市などと実施している。

プロジェクトを担当するリクルートコミュニケーションズの榎本淳子氏によると、「データが何の役に立つのか」と半信半疑だった自治体の参加者が「実は宝の山だった」ことに気づき、あらためてオープンデータの重要性を理解してもらえたという。一方でさまざまな課題も見つかり、ライフスタイルと街をマッチングさせるロジックについては今後も試行錯誤を重ねていくという。

▼アメリカでは公的機関のデータがわかりやすくサービスとして公開されている。
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▼自治体のオープンデータと民間のデータを組み合わせて新たな街の指標を作るプロジェクトが進められている。
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データを活用するコンテストの動きもあり、全国の自治体から集めた地域課題に市民や学生が取り組む「チャレンジ!! オープンガバナンス(COG)」が紹介された。現在参加自治体を募集中で、主催する東京大学公共政策大学院の奥村裕一客員教授は「オープンガバナンスを盛り上げるには、地域について知るオープンデータが必須であり、それぞれの活動を盛り上げるきっかけにしたい」と語る。

▼「COGコンテストは地域の課題解決にオープンデータが利用できることを知るきっかけにもなる」と奥村裕一客員教授。自治体の応募要件なども紹介された。
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自治体独自の取り組みも

参加者の自治体からもいろいろな意見が出され、神戸市ではオープンデータを活用する地域の人材育成を目指した国際ワークショップ「WORLD DATA VIZ CHALLENGE 2016」をバルセロナ市と共同開催し、よりグローバルな視点からオープンデータの活用を目指していることが紹介された。

活用方法をデータビジュアライズに絞り込むことで、具体的なスキルにつなげるなど他の自治体にはない独自の取り組みをしており、神戸市の長井伸晃氏は「様々なイベントで進捗情報を随時報告していくので参考にしてほしい」と話していた。

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。