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大手自動車部品メーカーの米デルファイ(Delphi Automotive)とイスラエルのモバイルアイ(Mobileye)が自動運転関連の技術開発で協力していくことを米国時間23日に明らかにした。自動運転技術の開発を進める資金力のない下位の自動車メーカーなどへの提供を想定した技術開発を共同で進めるという。

GMのスピンオフとしてスタートしたデルファイは近年自動運転技術の開発に力を入れており、昨年4月にはアウディ(Audi)製車輌をベースにした実験車を使った北米大陸横断に成功。また最近ではシンガポール政府と共同で自動運転車を使ったタクシーの実験プログラムを進める計画も明らかにしていた。

モバイルアイは、自動車の運転支援システムや自動運転に必要とされるカメラ/センサー類やソフトウェア・システムの大手メーカーで、7月はじめにはBMW、インテル(Intel)と提携し、2021年までに自動運転車を投入する計画も明らかにしていた。またテスラ(Telsa)が「Model S」などにモバイルアイの技術を採用し、「Autopilot」機能を提供していることも知られているが、5月に発生した米フロリダ州での死亡事故に関する見解の相違から、両社が取引の打ち切りを決めたことも一部で話題となっていた。

WSJなどによると、デルファイとモバイルアイは今後数億ドルの開発費を投じて、ほぼすべての条件下で自動運転が可能な「レベル4」の技術を2019年までに完成させたい考え。また来年1月のCESでは共同開発した技術のデモを行う計画だという。なお、両社が開発した技術を搭載する車輌が市場に出回る時期については早くとも2021年以降になる見通しとWSJは記している。

自動運転車に関する技術の開発はいまのところ、大手の自動車メーカー各社やIT企業、ライドシェア事業者などが独自に進めているケースが大半だが、5月はじめにグーグルとの提携を発表したフィアットクライスラー(Fiat Chrysler、FCA)のようにソフトウェア類などの開発は他社に任せ、自社では車輌の製造などに注力していく姿勢を示しているところもある。デルファイとモバイルアイが開発を狙う技術は、FCAのような顧客を想定したものと考えられると同時に、中国で創業が相次いでいる電気自動車(EV)関連ベンチャーなどに採用される可能性も考えられる。

自動運転車関連では先週、ライドシェアリング最大手の米ウーバー(Uber)がボルボ(Volvo)と提携し、3億ドルの予算を投じて技術開発を進めることを明らかにしていた。またグーグルの自動運転車プロジェクトの主要メンバーらが立ち上げたベンチャー企業、オットー(Otto)をウーバーが買収したことも報じられていた。またその前には、フォードとバイドゥ(Baidu)が共同でLIDAR技術などを開発するベロダイン(Velodyne)に1億5000万ドルを出資したが伝えられていた。

【参照情報】
Delphi, Mobileye Join Forces to Develop Self-Drive System - WSJ
Two auto suppliers join for self-driving cars by 2019 - USA Today
Parts-Makers Mobileye, Delphi Team Up on Automated Driving - Bloomberg

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