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NTT、スマホの"近く"でデータ処理する「エッジコンピューティング構想」、遅延を100分の1に

2014.01.23

Updated by Naohisa Iwamoto on January 23, 2014, 19:42 pm JST

NTTは2014年1月23日、スマートフォンなどの端末の近くにあるエッジサーバーでデータ処理を行う「エッジコンピューティング構想」を策定したと発表した。クラウドコンピューティング環境と比べて、通信遅延を最大100分の1に短縮することを目指すほか、端末の負荷やトラフィックの軽減につながる。

エッジコンピューティング構想では、地球規模に集中配備されたクラウドとは異なり、スマートフォンなどの端末の近くに分散配置したエッジサーバーでアプリケーションなどを実行する。物理的にユーザーの近くにサーバーを設置することで通信遅延を短縮し、これまでクラウドでは扱いにくかった高いリアルタイム性を求められるアプリケーションを利用できるようにする。また、これまでは端末側で処理していた機能を端末に近いエッジサーバーに分散処理させられるため、端末の性能によらず高速な処理が可能になる。

構想の第一弾として「分散型Web実行プラットフォーム」を開発した。この技術では、HTMLで記述したWebアプリケーションをエッジサーバー上で実行できるようにした。その結果、クラウドと比べて通信遅延を最大で100分の1に短縮できたという。これにより、ゲームや交通制御などの高いリアルタイム性を要求する領域や、M2Mなどのようにサーバーとの通信の頻度・量が多いビッグデータ処理の領域での新しいサービスの提供を可能にする。

NTTでは、このプラットフォーム技術をサービス事業者に提供するほか、「エッジコンピューティング構想」を世界の通信事業者やクラウド事業者に提唱して発展・普及を図るとしている。

【報道発表資料】
高レスポンスやビッグデータ処理が要求される新たなアプリケーションの開拓を推進する「エッジコンピューティング構想」を策定

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。