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欧州でマイクロペイメントが流行る理由

Why micropayment solution is up in Europe

2016.09.27

Updated by Mayumi Tanimoto on September 27, 2016, 08:00 am JST

以前の記事で、欧州では現金取扱が減っていて、キャッシュレス化が進んでいるのでFinTech系のサービスが受け入れられやすい、という話を書きました。

キャッシュレス社会なので、iZettleのようなスタートアップのペイメントソリューションが大流行するのも同じ理由です。

iZettleのソリューションは、はスマホにデバイスをくっつければ、屋台でもセミナーでも個人からカードでの支払いを受けられて、初期費用はデバイスのみ(イギリスの場合現在29ポンド)、毎月の利用料いらずというものです。

基本的なビジネスモデルはSquareやPayPal Hereと同じで、欧州における競合ですが、Squareは決済額の2.75%、PayPal Hereは2.70%を差し引きますが、iZettleは2.75%〜1%に押さえて対抗しています。最近エジンバラを拠点として、iPadをPosレジにするクラウドソリューションを提供しているIntelligentposを買収しました、

日本だとこういうサービスはいまいちピンと来ない人が多いと思うんですが、これだけキャッシュレス当たり前の欧州だと、屋台やフリマ、フェスティバルの店舗でもカード払いできないとお客さんが逃げます。屋台でもこういうソリューションでの支払いが割と当たり前です。フェスに行った時も、デスメタルのグッズを売ってる見るからに怪しい屋台ですらキャッシュレスです。

小規模店舗とか屋台でカード使って怖くないの?と疑問に思う方がいるかもしれませんが、クレジットカードだと問題があった場合に保証があるので、現金より怖くありません。欧州のカード会社も銀行も、モニタリングはかなりしっかりやっているので、普段の使用パターンと極端に違ったり、金額が大きすぎたりすると、すぐに確認の電話が来ます。(大体インドから来る。つまりインドで監視しているということ)場合によっては会社側で支払いもカードも止めてくれます。日本だとスルーの場合が多いですけども、欧州は不正利用が多いので、この辺はしっかりしてます。

ロンドンだけではなく欧州の都市は、日本に比べると、個人が立ち上げたグルメ系屋台や市場が生活の一部です。案外アナログです。ビジネス街ですら屋台でお昼を買ったり、仕事の合間に夕食用の果物やケーキの買い出しします。小規模店舗や屋台が多いので、こういうソリューションを導入したくてしょうがなかった事業者が多いです。

日本だと起業して屋台をやるような流れはオシャレでもないしメジャーでもないですね。そもそも、お祭りなんか素人が屋台を出せるような環境じゃありません。サラリーマンは激務過ぎて週末寝てることが多いので、週末だけお花屋さんやアンティークディーラをやるなんてこともありませんので、こういうソリューションは需要がないかもしれませんね。

欧州だと仕事が楽なので、副業と趣味を兼ねた小規模自営やる人が結構いますから、こういうのは助かります。フリマも日本より遥かに盛んです。競馬場とか公園(凄まじく広い)で先祖から受け継いだガラクタ等々並べて売ります。売る方も買う方も楽しみでやってます。

消費者の方もこういう個人経営ビジネスが大好きで、大規模なチェーン店よりも、「スコットランドで撃ってきた鹿肉で作ったハンバーガーの屋台」なんてコダワリの個人経営店を好んだりします。(この屋台実際私が良く食べに行く屋台エリアにあって、20代後半の若い人がやってます。代々狩人の家系なんだとか)

最近は「アーティザンなんちゃら」というコダワリのコーヒーやハンバーが売るグルメ屋台が大人気で、若くてお金ある人はこういう屋台で食べるのがオシャレ、という雰囲気。イタリアだと豚の丸焼きとかコダワリのサンドイッチの屋台が人気です。そもそも若い人でも野菜や果物はスーパーで買わない人が多いです。イギリスは最近流行ってる屋台は、燻製肉(燻製器が屋台になってる)、豪華なカップケーキ、エチオピア料理、職人系コーヒー、子豚の丸焼き(その場でグルグル焼いてる)、鴨の丸焼き(やっぱりその場でグルングルン焼いてる)、韓国焼肉(日本食は影が薄い。。。)です。なぜか屋台のデサインや売ってるものが、欧州各地で似てるんですよね。おそらくインスタやFacebookで流行ってるのをみて真似するんでしょう。

日本から来た人に「お昼は屋台で食べましょう」とか、「夕食用の野菜を買うんでちょっと市場に行ってきます」というと、「はあ??こんな大都会のどこに市場が??」という顔をする方が多いです。

以前日本の某テクノロジー雑誌に2015年以後に盛り上がりそうなスタートアップはと聞かれ、マイクロメイペイント関係と答えましたが、編集者の方はいまいちピンと来なかった様でした。やはり、日本だと現金決済が88%近い、2020年になっても71%程度は現金決済という予測なので、あまり成長しそうなイメージがないのかもしれませんね。

 

 

 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。