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医療機器の常時モニタリング、独自技術による徘徊検知など、NTTドコモ関西がIoTの取り組みを紹介

2016.10.20

Updated by Yuko Nonoshita on October 20, 2016, 06:30 am JST

NTTドコモは19日、2016-17冬春の新製品サービス・新製品発表会を実施。関西支社ではIoTに関する様々な取り組みが行われており、発表会では関西エリアのネットワーク展開と共にそれらが紹介された。

会場では今年6月に関西支社長に就任した紀伊肇氏が、新型デバイスや新規dメニューについて説明し、続いて関西エリアでの取り組みとして、2020年に向けたネットワークサービスとして、5G、IoT、ビッグデータ&AIの3つをあげた。PREMIUM 4G サービスについては、682Mbpsと500Mbpsによる高速通信を24都市を対象に主要観光スポットや大阪環状線全線で、17年3月から提供開始すると発表。300Mbpsを越えるエリアも120都市に拡大し、すでに大阪環状線駅のほとんどが昨年の約2倍に実効速度が向上していると説明した。

▼大阪の会場では5月に就任した紀伊肇関西支社長が発表を行った。
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▼来年3月から24都市で682Mbpsと500Mbpsのサービスの提供をスタートする。
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▼PREMIUM 4G の高速化も進み、大阪環状線の全駅で昨年から約2倍の実効速度がすでに実現しているという。
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通信一体型のキューブ型カメラで徘徊や離床、転倒を検知

神戸市との連携で実施中のICタグとBLEを使った地域の見まもりサービスは、9月から実証実験がスタートしたばかり。地域内の子どもたちにBLEタグを持たせ、図書館や駅、タクシーおよび地元の41事業と連携し、細やかな位置情報の把握やボランティア「見まもりサポーター」による駆けつけを行うというもの。大規模な実証実験として成果が期待されている。

▼神戸市との見まもりサービスは実証実験としての規模も大きく、成果が期待されている。
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京都の堀場製作所と進めているのが、クラウドを使用した医療検査機器の常時モニタリングによる総合保守サービス支援システムだ。開業医の困りごとである「日々のメンテナンスに手が回らない」「故障の対応が不安」という声に応えるサービスで、2020年には国内で6000台を目指し、さらに海外への展開も目指すとしている。

▼IoTを活用したリモートメンテナンスを医療機器の分野から進めていく。
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また一般向けサービスとして、認知症の家族の徘徊を検知する「みまもりCUBE」を来年2月より提供する。照度センサやマイクを搭載したキューブ型のネットワークカメラ”ラムロックアイズ”を設置し、玄関をモニタリングすることで出入りする人を感知し、必要に応じて音声で呼びかけたり、そのまま外へ出ていった場合はあらかじめ登録された家族や近所の人にキャプチャ画像をメールして通知するなどの機能が設定ができる。

ラムロックでは、カメラに写った人物の動きを正確に感知する独自の画像認識技術で特許を持っており、徘徊以外にも通常の生活での見まもりやベッドからの離床、転倒なども検知できるという。これらの機能は創業から開発を進めてきたもので、今回は通信や音声による呼びかけなど必要な機能をカメラと一体化することで、設置やメンテナンスが簡単になり、導入しやすくなるとしている。価格はカメラが8万5千円で、保守を含めたサービス費用が月3800円になる予定だ。

▼みまもりCUBEは独自の技術で俳諧や離床、転倒などさまざまな状況をカメラの画像から正確に検知することができる。
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▼カメラは手のひらにのるほどのサイズで販売はオンラインなどで行い、設置場所などはリモートでサポートする予定とのこと。

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「ウチスマ」でクラウドファウンディング実施中の商品を展示

ドコモ光のサービスを紹介するスマートハウス・ショールームとして昨年から関西エリアで展開している「ウチスマ」は、この9月に29店舗に拡大しており、さまざまな企業のIoT機器やサービスを紹介するコラボレーションにも力を入れている。さらに今回は、サイバーエージェントが運営するクラウドファウンディングの「Makuake」と提携し、プロジェクトを実施中の商品を実際に体験できるコーナーを10月中に3店舗に展開し、その後順次拡大していくことを発表。ドコモショップグランフロント大阪店では展示をスタートしている。

今回、セレクトされた商品は以下の3つ。

乾電池でオモチャをIoT化する「mabeee」

普通のオモチャをスマホで操作できるようにする乾電池型IoTデバイスとして注目を集めている「mabeee」は、すでにクラウドファウンディングの目標調達額を達成し、販売も開始されているが、IoT商品としてインパクトがあることから展示商品に選ばれた。

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音質と付け心地にこだわったヘッドホン「VIE SHAIR」

独自に3Dデザインされたエアフレームで、耳当ての部分の付け心地を快適にし、音質にもこだわったワイヤレス・ヘッドホン「VIE SHAIR」は、残り期間を大幅に残してすでに調達額を達成している商品。”オープンエアで聞いているような”独自のサウンドをオンラインだけで説明するのはなかなか難しく、「ウチスマ」での展示が決まった。

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持ち歩きたくなることを意識した見まもりタグ「biblle」

BLEを搭載した見まもりタグはこれまでにも国内外で多くの商品がクラウドファウンディングに登場しているが、「biblle」は持って歩きたくなることを意識してデザインされていて、スティック型の本体のプレートが簡単に着せ替えできるようになっている。また、年配の人が利用することを意識し、ボタンを押すだけで周囲に現在地を知らせるなど使いやすさも重視している。プロジェクトは本日から開始している。

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Makuakeの坊垣佳奈取締役は「クラウドファウンディングの商品を実際に手に取って見てもらえる機会は少なく、ウチスマのコンセプトであるIoTを意識した商品をセレクトし、プロジェクトにもよるが1ヶ月ぐらいの周期で新しい商品を紹介していきたい」とコメントした。

 

※修正履歴
10/20 16:00 紀伊肇関西支社長の就任時期を5月としておりましたが、正しくは6月でした。お詫びして訂正いたします。(本文は修正済み)

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。