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WHOがレポート発表:ターゲティングによるジャンクフードのモバイル広告から子供たちを守れ

2016.11.16

Updated by WirelessWire News編集部 on November 16, 2016, 09:09 am JST

世界保健機関(WHO)が発表したレポートによると、親が気づかないうちに子供たちはアプリ内広告やソーシャル・メディア、映像ブログなどで、ジャンクフードの広告に絶え間なくさらされている。

親が気づかないのは、ネット広告というものが、きちんとターゲティングされているから。ファストフード・チェーンは、子供たちを店舗に引き込むために、AR(拡張現実)を活用したゲームなど、新しいツールも積極的に利用する。

ファストフード・チェーンが子供を重視するのは、短期的には子供に請われて来店する親を呼び込むことが目的だが「子供のうちに味を覚れば、大人になってからも継続的に食べたがるはず」で、長期的な顧客を育てるという考えによるものだろう。子供向けのお得なセットメニューを提供したり、買えば何百円もしそうなオモチャなどをおまけにつけて、子供たちに強くアピールすることもある。

テレビや雑誌の広告であれば、親の目にも触れる。親の目に余れば注意することもできるが、スマートフォンの場合は巧みに直接、子供に到達してしまう。アプリやソーシャル・メディアそのものは、子供が夢中になると勉強時間や運動時間を確保できなくなるので、親の目が光るが、アプリ内の広告にまでは注意が及ばない。

子供にとっては、脂肪分、塩分、糖分を過度に含む食品の広告に、日々、触れることになってしまう。さらにその広告はターゲティングされているので、子供に訴求するように企画・制作されている。

こうした広告を警戒すべき理由は、子供の肥満だ。頻繁にジャンクフードを食べることは、どこの国でも健康的な食生活とは見なされていない。国によってはテレビの子供番組でジャンクフードのコマーシャルを禁止しているそうだ。

WHOのレポートは、子供を守るための政策や規制の必要性を説いているが、アプリ内広告だけでなく、ファストフード・チェーンから資金的な支援を得ている映像ブロガーが子供向けのビデオ作品をコンテンツとして配信するなど、デジタル・マーケティング手法の高度化に規制が追いつかないことも危惧されている。スマホを触っていた子供が、急にファストフードを食べたがったら、何かを疑ってみる必要があるのかもしれない。

【参照情報】
Tackling food marketing to children in a digital world: trans-disciplinary perspectives(PDF)
Stop junk food ads on kids' apps - WHO
WHO warns about junk food ads hidden in kids' apps forcing them to gorge on fatty foods - is the digital world causing childhood obesity?

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