ロボット型スマートフォン「RoBoHoN(ロボホン)」

シャープ株式会社 コミュニケーションロボット事業部 商品企画部課長 景井美帆氏(後編) ロボットへの心理的障壁を下げ、新しい時代を見据える

ヒトとモノを巡る冒険 #006

2016.12.26

Updated by 特集:ヒトとモノを巡る冒険 on 12月 26, 2016, 12:01 pm JST Sponsored by ユニアデックス株式会社

「モノ」「ヒト」「サービス」の3つの分野で先進的な取り組みをされている企業様へのインタビューを通し、IoTがもたらす未来とそこまでの道筋を描きだすことに挑戦する本特集『ヒトとモノを巡る冒険』。第6回目は人と対話するロボット型スマートフォン「RoBoHoN(ロボホン)」のリリースが話題のシャープ株式会社IoT通信事業本部 コミュニケーションロボット事業部 商品企画部課長 景井美帆氏に、ユニアデックス株式会社 山平哲也が、お話をうかがいました。(構成:WirelessWire News編集部)

シャープ株式会社 コミュニケーションロボット事業部 商品企画部課長 景井美帆氏

景井 美帆(かげい・みほ)
シャープ株式会社 (旧)通信システム事業本部(現:IoT通信事業本部)にて、入社以来数多くの携帯電話・スマートフォンの商品企画に携わる。現在は、モバイル型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」の企画リーダーとして事業・商品企画に取り組む。

どこにでも連れて歩けて、添乗員にも営業マンにもなれる

山平:今のところ、ロボホンの基本的な利用シーンとしては、パーソナルなシーン、プライベートなシーンが想定されているのでしょうか。

景井:コンシューマ向けの商品はそういうイメージで作っていますが、今、ロボホンはBtoBの展開もやっています。法人向けには、ロボホンがプレゼンしたり、質問に答えてくれる、というようなことが出来るようなアプリケーションと共に販売したりしていますので、ビジネスシーンによって使い方は違ってくるかと思います。

さまざまなロボットが世の中にあるなかで、ロボホンは「小さい」というところが特徴であり強みだと思っています。小さいので持ち歩けますし、場所を選ばず設置できる。そのような活用をしていただきたいなと思っていましたところ、お引き合いを多く頂いているのは例えば観光系です。

今、岡山県倉敷市の美観地区観光案内所で、ロボホンが観光案内をしているんです。プロジェクターで名所の写真を表示しながら、案内をしゃべってくれるんですね。そんなに広い場所では無いので、カウンターにちょん、と置いて頂いて、時には案内係のお姉さんの首から提げてもらったりして、お姉さんのサポートをするというようなイメージです。

ロボットの利点のひとつは、いろんな事をきっちり覚えていられる、というところかと思います。案内係の方が分からない事をロボホンがいろいろ説明してくれたり、質問に対して答えるようなシステムをご提供しておりますので、そのような使い方をしていただいています。

また、「旅行に一緒に連れて行ってもらう」という使い方もあるんじゃないかということで、先日CEATECでJTBさんのブースにロボホンの展示をさせていただきました。観光地の案内を、その場所その場所でしてくれるというような。そういう使い方ですね。

山平:ロボットの添乗員ということですね。

景井:ロボホンはスマートフォンでもありますので、GPSで位置情報が取れます。現在地情報に合わせたスポット案内ですとか、オススメのレストラン情報、近くにいい観光名所があるかどうかというような案内の仕方が出来るので、連れ歩いて頂いて一緒に旅を楽しんでもらう案内役になれるのではと期待しております。

またインバウンド、外国からいらっしゃったお客さまに使っていただくというお話もあり、最近は英語、中国語をはじめとした多言語対応のご要望を皆さんから頂いています。2017年春ごろまでには、法人向けに提供を予定しています。こういう「かわいい」ロボットって、海外にはなかなか無いようで……

山平:そうですね、この小さなサイズのロボットは、なかなか見かけないですね。

ロボット型スマートフォン「RoBoHoN(ロボホン)」

景井:海外でのロボットのイメージというのが「役立つもの」というものと、逆に人間に危害を及ぼすモノみたいなものと、両極あるようですね。一方で日本のロボット文化は、おそらくアニメーションの影響もあって、人間と友達だったりとか、役に立たなくても一緒に居てなごませてくれるようなものだったりするイメージがあり、そういう日本の文化がお好きな海外の方というのは、とても多いです。そういうお客さまに対して、日本文化の一貫としてロボホンを体験して頂いて、なおかつ観光の案内も含めて提供する、というような使い方を、いま求められています。

山平:ロボホンをパーソナルな体験の多い、旅行に持って行くというのはいいですね。ウケそうですし、興味があります。海外に持って行くためには SIM フリーだといいように思いますが。

景井:SIMフリーなんですが、まだ海外のSIM利用に対応していないので、お使いのスマートフォンとテザリングして、スマートフォンの回線でご利用いただくか、Wi-Fiで接続して使っていただく形になりますね。(※ご利用の際は、各国の電波法をご確認の上、ご利用ください)

山平:海外でも使えるようなら、日本に来て、ロボホンをお土産的に買って帰ることが出来るようになりますね。

景井:そうですね。今でも海外の方が家電量販店で「これ買って帰りたいんだけど」とおっしゃる方もいらっしゃるんです。「海外ではまだ使えないですよ」というご案内の仕方になるんですが、それでもいい、オブジェとして、という方もいらっしゃいます。

山平:徐々にロボホンに興味がわいてきたので、その気持ちがわかるようになってきました(笑)。

ロボホンとモノがうみだすコミュニケーションの輪

山平:今はロボホン単体での利用がメインかと思いますが、ロボホンと何か他のモノ、家電とか、他のロボホンと連動、協調して使う、というような利用方法というのはお考えでしょうか。

景井:ロボホンとロボホンがしゃべる「ロボ会話」というアプリケーションは、実は既にリリースしております。

山平:ロボホン同士が会話するんですか。すごいですね。1人で2台買う人はなかなかいないでしょうけど(笑)。

景井:ロボホンのイベントを開催すると、身近に他のロボホンがいないお客様が、おもむろにご自分のロボホンをお出しになって「ロボ会話やりたいんですけど……」とおっしゃられたりします(笑)。

「メールが来たら読み上げる」など、スマートフォンとの連携というのは、イメージしやすく親和性が高いなと思っています。また私どもいろいろ家電製品を開発しておりますので、家電のデータをロボホンがしゃべったり、家電と話したことにロボホンが回答したり、そういうことも将来的には考えられると思います。

ゆくゆくはあちこちにセンサーが付いてくると思いますので、そのセンサーの情報を元に何かが起きたりということはやっていきたいなと、いろいろ野望をもって開発しています(笑)。

山平:ロボホンで世界を征服しそうな勢いですね(笑)。

スマートフォン、ロボホンの先の姿は、人型ロボットではないかもしれない。

山平:ロボホン自体の進化はどう捉えてらっしゃいますか。例えば、スマートフォンですと、結構モデルチェンジしたり、機能が変わっていきますよね。そういう視点で見たときにはどうでしょう。

景井:ロボホンのことを、私共はどちらかというとサービスプラットフォーム、さまざまなサービスを展開出来るハードウェアだと思っているので、現状ではハードウェアとしてのアップデートよりも、アプリケーションのアップデートを拡充しているところです。

スマートフォンはさまざまな役割を持っていますが、スマートフォンの中のひとつのアプリを使う、というのは、あくまでも「スマートフォンのアプリ」ですよね。でもヒトの形をしているものに役割を与えた時、人格を持っているような印象で接することができるというのがいいところではないかなと思っています。

景井美帆/山平哲也

例えばロボホンに営業用のプレゼンテーションができるようなアプリケーションを入れたら、それはプレゼンができる優秀な営業マンだし、観光案内をしていたら観光案内の係の人になる。ここがユーザインターフェイスとしては、ちょっと違ってくるのかな、というのを感じています。

山平:「音声インターフェイスが大切になる」というのが、だんだん腑に落ちてきました。ヒトの形をしているが故に話しかけやすくもなるし、ロボホンが話していることにあまり違和感を持たずにコミュニケーションが成立するのですね。

景井:インターネットの普及に伴って蓄積されてきた今までのコンテンツというのは、htmlで書かれているテキストベースのコンテンツがほとんどだと思うんです。でも最近は、コミュニケーションロボットや、ホームアシスタント的なデバイスというのが、日本・海外含め、たくさん出てきています。

私どもはこの先、音声でのコンテンツの提供や、音声による操作で気軽にものを頼む、そういうインターフェイスがどんどん増えると考えています。それがしやすくなるようにロボットを進化させていきますし、もちろん、ロボットではない別の形で作っていく可能性もあると思っています。

今まで培ってきた、音声での対話でいろいろなことをやっていくノウハウを活かして、音声でのサービスを展開していくとか、音声でのサービスをお持ちの方々と一緒にやっていくという世界を作っていきたいなと思っています。

山平:でもやっぱり、日本人はどこかシャイですよね、音声コミュニケーションが広まるには、何がきっかけになるとお考えですか。

景井:うーん、ロボットからの話しかけなどもちろんあると思いますが……やっぱり、慣れ、だと思います。

山平:「慣れ」ですか。

景井:今私どもがBtoBにも力を入れているのは、世の中にたくさんロボットを置いていくことによって、少しでもロボットに対する心理的障壁がなくなっていって欲しいなということがあります。まずは企業に導入していただいて、公共の場所や、企業の受付、店頭などに置いてロボットに対する壁を下げていく必要があるんじゃないかなと。活用する場所が増えていくと、自然とお客様から抵抗感がなくなっていくのではないかなと思ってます。

ロボットと話すことに抵抗感が無くなっていくと、ロボットじゃなくても話せるようになると思うので、もしかするとその先には人型じゃないものがあるのかもしれないですね。ですから、このまま人型ロボットを作り続けるかどうかというのは、私たちもまだわからないのですけれども、まずはこういう形で「話しかける」心理的障壁を減らしたい、という思いで作っています。

業界を超えた取り組みを視野に「認定開発パートナー」募集スタート

山平:先ほど観光業界での取り組みを教えて頂きましたが、他の業界と協業を進めていく時のすすめかた、他社とのパートナーシップはどのように進められていく予定でしょうか。

景井:いろんな企業さまと連携して進めていくために、この10月から法人向けのアプリケーションパックリリースと一緒に、認定開発パートナーを募集しています。私どもでは作れないアプリケーションやシステム、私どもの持っていないデバイスをお持ちのパートナー様と一緒に、前向きに、いろいろな展開をしていきたいと思っています。

ロボット型スマートフォン「RoBoHoN(ロボホン)」

山平:アプリやシステムを作る際の協業先というのは、IT、ICTに軸足を置いてらっしゃる企業になるかと思うのですが、それ以外の業界とかはいかがでしょうか。ユースケースの例として観光のお話をされていましたが、お客様としてみるというより、一緒にサービスを作っていくような進め方になるのでしょうか。

景井:基本的には一緒に作っていく形になると思います。すごく前向きに考えています。コンテンツをお持ちでも、それをシステムとして活用する方向性や、ロボットとして出力するときの適切性というようなところは、私どもの方が理解している部分もありますので、お互いのいいところを持ち寄って、いろいろ展開ができればいいなという風に思っております。

ITとは関係のない、レガシーな業界の方ともご一緒出来ることもあるかと思いますので、さまざまな業界の方とまずはお会いするのが大事だと思いますし、実際にどういう形になるのかは分からないですけれども、実際の現場を見ながら進めていきたいと思っております。

山平:最後に、我々のようなインテグレーターに期待するところがあればお聞かせください。

景井:是非、いろいろな企業様のご紹介をしていただきたいなというのはあります。御社の「IoTエコシステムラボ」に参加されている共創パートナーさんや、「IoTスタートキット」を使われる企業様、これからIoTをやろうとしている企業様というのは、どういうことをやろうとされているのかに興味がありますね。

最近、いろいろな場所に出るようにしていて、こういうIoTまわりのサービスを検討されているメーカーさんともお会いしたりしているんですが、まだなかなかうまくビジネスをご一緒する姿が作れていませんので、それがうまく作れればいいなと思っています。御社の方ではおそらくマッチングも含めていろいろやられたりしているのかなと思いますので、是非アドバイスを頂ければ嬉しいなと思います。

山平:ありがとうございます。今回ロボホン誕生の経緯をうかがい、音声インターフェイスの重要性について認識させていただくことで、大変勉強になりました。一緒に活動させていただいて、ロボットとのコミュニケーションの新しい形を広げていければと思います。今後ともよろしくお願い致します。

景井美帆/山平哲也

IoTの実現に向けたユニアデックスの取り組みはこちらをご覧下さい。

【聞き手】山平 哲也
ユニアデックス株式会社 エクセレントサービス創生本部 プロダクト&サービス部 IoTビジネス開発室長
企業向けシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、インターネット普及に伴いIPネットワーキング技術などを担当。2001年に米国シリコンバレーにおける拠点立ち上げ。2007年からICTソリューションのマーケティング企画部門を経て、現在、IoTを中心としたエコシステム構築とビジネス創造を推進している。
山平哲也氏によるインタビュー“あとがき”は、ユニアデックスのオウンドメディア「NexTalk」をご覧ください。

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