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欧州6カ国が共同で開発中の「監視カメラを監視するシステム」

2017.01.27

Updated by WirelessWire News編集部 on January 27, 2017, 06:20 am JST

監視カメラ関連システムは商業施設や観光地、オフィスビルや交通機関、一般家庭、自家用車などに浸透してきているが、問題となるのがその映像をどうやって監視するかだ。監視センターに映像を集めたとしても、人間が24時間体制で監視するにはコストがかかる。

欧州では6カ国の7社が共同でEUの基金約150万ユーロなどを投じて、「P-REACT」という犯罪監視システムを開発している。P-REACTとは(あまり頭文字になっていないが)Petty cRiminality diminution through sEarch and Analysis in multi-source video Capturing and archiving plaTformの略称。敢えて訳せば「複数の映像源を捕捉してアーカイブし、検索と分析によって軽微な犯罪を減らすためのプラットフォーム」となりそうだが、要するに、監視カメラの映像をクラウドにアップロードし、これを分析して、犯罪を察知して、警察や警備員などに位置情報を含めて通報したり、証拠として保管したりするシステムだ。映像分析により、怪しい行動をコンピュータが自動的に抽出してアクションを起こす。

名称にある”petty crime”は日本語の「軽犯罪」とは少し意味合いが違うようで、日本の軽犯罪法で罰則が決められているような騒音をまき散らすとか、のぞきとか、人を襲う恐れのある動物を放し飼いにするといったことではなく、ひったくりや空き巣、万引き、あるいは、落書きなどを指している。こうした行為を行う人の動きは普通の人の動きとは違うので、それをコンピュータに学ばせて自動検出する。現在は、俳優などに犯罪を演じさせてテストを行っている段階。システムが自動選択した映像を警察に送るといった一部の技術は警察機関が取り入れ始めているという。

監視カメラの映像分析は、犯罪を見張るだけでなく、例えば人通りの少ない場所で、急病などで倒れた人を見つけるのに使うこともできる。

ちなみに監視カメラに顔認証技術を組み合わせ、犯罪歴のある人かどうかデータベースと瞬時に照合するシステム(例えば、NECの事例)などもあるが、P-REACTが分析に使うのは動きのみだ。カメラに映る人々の外見や、外見からわかる年齢、性別、人種などは使用しないと強調している。

【参考情報】
P-REACT
p-react - Security Research & Innovation Event 2016
P-REACT Project - Polis
Computer vision algorithms pick out petty crime in CCTV footage
アルゼンチン ティグレ市が街中監視システムにNECの顔認証技術を導入~不審な行動やバイクの2人乗りなども検知~

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