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準天頂衛星みちびき2号機の打ち上げに成功

2017.06.02

Updated by Asako Itagaki on June 2, 2017, 09:16 am JST

6月1日、準天頂衛星みちびき2号機が鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられた。衛星は予定の軌道に入り、打ち上げは成功した。

▼みちびき2号機(画像出典:qzss.go.jp)
20170602-qzss2

みちびきは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システム。GPS互換の信号により、GPSとの一体運用が可能となっている。初号機が2010年度に打ち上げられ現在運用中。今回打ち上げに成功した2号機を含めた追加の3機を2017年度に打ち上げ、2018年度から4機体制(準天頂軌道3機、静止軌道1機)運用を開始する計画となっている。また、2015年に策定された新たな「宇宙基本計画」では、2023年度を目処に7機体制での運用を開始することが決定されている。

みちびきの準天頂軌道は日本の上空に長時間(およそ8時間)留まり、オーストラリア地域までの太平洋上空を8の字型を描いて通る特殊な軌道をとる。

[映像] 準天頂軌道 衛星模型(準天頂衛星システム:QZSS公式サイト)

2018年度に4機体制が完成すれば、このうち3機は常にアジア・オセアニア地域で見ることができるようになるため、GPS衛星と合わせて安定した測位精度の向上が期待される。7機体制になれば、常時4機以上が日本から見えるため、GPSを利用せずみちびきだけでも測位が可能となる。

また、電離層誤差の補正によるサブメーター級測位、電子基準点データを用いた補正情報にもとづくセンチメータ級測位補強情報などの提供により、誤差数センチ単位での高精度な衛星測位を可能にする。自動運転や精密農業、ドローンによる自動配送、また防災のための国土監視など、高精度な測位情報のさまざまな応用が期待される。また、災害・危機管理通報発報時に一斉送信を行う「災危通報」や災害時の避難所からの安否確認情報を集約する「Q-ANPI」などのサービスも予定されている。

【関連情報】
「みちびき2号機」の打ち上げについて【内閣府特命担当大臣(宇宙政策)談話】
2017年6月1日ニュース「みちびき2号機打上げ成功 GPSの精度向上へ」(SciencePortal)
みちびきについて|(準天頂衛星システム:QZSS)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。