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日本ではデータサイエンティストの定義が誤解されている

The role of Data Scientists misunderstood in Japan

2017.08.27

Updated by Mayumi Tanimoto on August 27, 2017, 10:42 am JST

ビックデータが相変わらず話題ですが、日本でのデータサイエンティストの認識は、英語圏に比べると10年ほど遅れているんじゃないかなと感じています。

最大の問題の一つは、データサイエンティストの仕事を、データアナリストやデータエンジニアとごっちゃにしている企業がまだまだ多いことです。データサイエンティストの名前だけが先行してしまって、「じゃあ一体何を演る人なの?」が具体的になっていない。

英語圏の場合、データサイエンティストは、データを企業活動にどのように活かすかといったことを戦略的に考えるマネージメント的役割や、データを扱うプロジェクトをエンドツーエンドで回すマネージャ的な役割も含みます。テクノロジーを扱う技術寄りの役割を担うこともありますが、実はその活躍の範囲は様々です。

求人情報をざっと見ると、技術よりの役割だけではなく、マネージメントや戦略的なポストが数多くあることがわかります。現在多くの国でデータサイエンティストは求人難なのですが、その理由は、技術と統計&数学的思考をもち、なおかつ統計を深く理解し、さらにマネージメントやコミュニケーション能力に長けている人、というのがかなり少ないからです。

しかし日本だと、データを集めてきて加工して分析する、というデータアナリスト的な役割ばかりが強調されています。

役割を理解していないので、職務記述書も曖昧ですし、報酬の定義もいい加減になりがちで、他の職種とあまり差がなかったりします。他の国では報酬がかなり高価なわけですが、役割を理解していないからこそ、相場の報酬を出すべきだ、という考え方にすら達しないのでしょう。

専門性を理解していないので、データサイエンティストを簡単に要請できると思い込んでいる会社が多いのも気になります。

例えば以下の記事は、そういう状況をよく表しています。

求む経営の名参謀、データサイエンティスト

この記事で紹介されている企業の問題は、データサイエンティストを企業内の短期の研修やOJTで要請できると考えていることです。また、新卒で雇った人の中から社内研修で養成するのですから、その報酬体系は、年次で決まる昔ながらのものなのでしょう。

ところが、アメリカの場合は、データサイエンティストで学士号しかない人はたった8%で、44%は修士号、48%は博士号を持っています。大学の教育で数学や統計など、学士号レベル以上のデータサイエンスになるための訓練を受けている人が多いわけです。アメリカでも学資卒の多い業界というの多いわけですが、ここまで修士以上が多いということは、それだけ専門性を求められているということです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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