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Paint it Cool:太陽の光で家を冷やす

2017.11.02

Updated by WirelessWire News編集部 on 11月 2, 2017, 07:00 am JST

イスラエルの「SolCold社」は不思議で画期的なペンキを作っている。塗布した面に太陽の光が当たると、反対側の面の温度が下がるというのだ。これを建物に塗れば、電力を食うエアコンを使わずに室温の上昇を抑えるだけでなく冷却することができるという。地球温暖化が進めば、この塗料の活躍の場は大いに広がるかも知れない。

夏場には、黒い服よりも白い服の方が涼しいことは誰でも知っている。直射日光を浴びた黒い車の中は、白い車の中よりも温度が低い。白は光を反射し、黒は吸収するためだ。南カリフォルニアのロサンゼルスは、道路を白く塗り始めた(「To guard against climate change, Los Angeles is painting its streets white」)。住民は、スキー場と同じように道路からの照り返しに備えて晴れた日にはサングラスが欠かせなくなるかも知れないが、路面の温度上昇が抑えられ、エネルギー消費の増加も抑えることができる。

しかし、SolCold(ソーラー+コールドの造語)の塗料は、光を反射するのではなく、温度を下げる。電気を使わないから配線工事などは不要。陽が当たる面に塗るだけで良い。電気代が下がるだけでなく、二酸化炭素放出量削減にも貢献できるので、環境経営に熱心な企業などでの導入が進む可能性が高い。

ある分子に特定のレーザー光を照射すると、光子を吸収して励起された高い周波数の光子が放出される。入った光よりも出て行く光の方がエネルギーが高いため、その差が温度の下降につながる。SolColdはこの原理を使っているのだが、レーザー光線と違って太陽光のスペクトルは広いため、効率が悪くなる。そこで同じように振る舞う分子をいくつか組み合わせた層を作り、上の層には下の層の素材が吸収する周波数を透過し、あとは反射する素材を用いるという二層の構造を考案した。太陽光を浴びている限り、下の層は冷却され続ける仕組みであり、これで特許を取得した。

建物だけでなく、自動車や船舶、アウトドア製品などにも応用が可能だから、市場規模は相当大きくなる可能性がある。もし、薄さと柔軟性と通気性をも確保できたら、冷える衣類が登場するかも知れない。ただし、スキーウェアには不向きと思われる。

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