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バスをタクシーに近づける「RouteValet」

2017.11.24

Updated by WirelessWire News編集部 on November 24, 2017, 07:00 am JST

線路の上を走る電車でさえ、さまざまな理由で遅延する。ましてやバスの場合、渋滞や信号待ち、乗客の乗降を経てやってくるわけで、時刻表の通りに到着することはあまり期待できない。

バスターミナルからの出発時間であれば、ある程度は信頼できるけれど、途中の停留所で乘る場合には、予定よりも大幅に遅れてくることもあるし、かといって遅れてバス停に行ったら、すでに通過していて大いに落胆する、ということにもなりかねない。また、バスに乗ったは良いものの、渋滞やら何やらでなかなか目的地に到着せず、バスの中でやきもきイライラすることもある。

「バスも、Uberでタクシーを呼ぶように、スマホで呼べればいいのに、、、。」

米国で生まれて10代でイスラエルに移住し、テクニオン(イスラエル工科大学)を卒業したMotti Sigel氏は、米国でUberの車で移動中にこうひらめいた。このアイデアを具体化するために、大学時代のルームメイトであるIlan Friedson氏と協同で創業したのが「RouteValet」だ。現在、Sigel氏はCEO、Friedson氏はCTOである)。

2017年3月に特許申請し、11月にはフォード・ヨーロッパのスタートアップ・チャレンジで将来性の高いアプリ上位3つに選ばれた(「Ford Europe Pours $35,000 Into Promising New SYNC-Compatible Apps」)。

RouteVAletは、アプリで現在地と目的地、希望到着時刻を入力すると、これがバス会社に伝えられて、オンデマンドでバスを呼ぶことができるというものだ。とはいえ、個人が1台、バスを呼んで自宅近くから目的地まで運んでもらうとなると、超大型のタクシーを走らせるようなものだから、とてもバスの料金では成り立たない。かつて、バスを乗合自動車と読んだように、大勢で乗り合うから割り勘で乗ることができるのだ。

そこで、既存のバス路線と運行情報、各バスの現在地、バスの乗降を希望する何人もの利用者の情報に基づいて、どのバスにどこへ向かわせれば良いかを判断するアルゴリズムが必要になる。さらに、その結果をリアルタイムにバス運転手に伝える手段も必要となる。

アプリはこのバス配車の機能と合わせて、A地点からB地点へ向かう場合の、バスを含めた他の交通手段もオプションとして提示する。タクシーや電車などとの組み合わせで、最も速く、高いコストパフォーマンスで移動するにはどうすれば良いかをレコメンドしてくれるという。

バス会社側にも利点はある。運行表に従って、予め決められたルートを走るのでは、バス停まで来てくれた乗客をピックアップしながら走るしかない。RouteValetで呼ばれた場合には、乗客は必ずいてくれるから、無駄に走ることが減るのだ。

RouteValetのサービスは、まず乗客の側にニーズが高い地方、つまり、バスの運行が少ない地域から始めて、徐々に人工の多いエリアへ進む計画。バス会社も複数巻き込んだ方が、お互いにメリットがある。

バスは待たず呼ぶ時代が来るのかも知れない。

【参照情報】
The Bus Stops Here! Innovative Tech To Transform Public Transport
Ford Europe Pours $35,000 Into Promising New SYNC-Compatible Apps
Ford gets in sync with digital driving trends with its latest app hackathon

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