original image: © Sergey Nivens - Fotolia.com
実は大きい建物のエネルギー消費最適化のインパクト
2017.12.19
Updated by WirelessWire News編集部 on December 19, 2017, 12:00 pm JST
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2017.12.19
Updated by WirelessWire News編集部 on December 19, 2017, 12:00 pm JST
イスラエルのスタートアップ「SmartGreen(2013年設立)」は、建物などのエネルギー消費を効率化するシステムを開発している。この「EPADS(Energy Performance Analytics and Display System)」は、建物のエネルギー消費を常時モニタリングして、画面上に表示(可視化)し、パフォーマンス異常や故障、無駄などをリアルタイムで通知する。
オフィスビルやショッピングモールなどの商業施設、大病院やスポーツ施設、工場などの大規模な建物には、工業用のエアコンやモーター、センサー、エンジンとタービン、ボイラーなどがあり、常にたくさんのエネルギーを消費している。人の目に触れる照明器具やパソコンなどの電源以外にも多くのエネルギー消費設備が存在し、毎月莫大な費用が発生している。しかし、それらを継続的にモニタリングして、エネルギー消費を最適化するためには専門知識を持った要員と膨大な時間が必要になる。
そこでEPADSは、ビル内のセンサーやメーターからデータを集め、エネルギー消費と温度、湿度、施設利用度、その他のパラメータとの相関を学んで定常状態を知る。定常状態を把握することで、その状態から外れた異常な状態を検出することができる。
全体のオペレーションを最適化することでエネルギー消費を抑制して、最大で25%のコスト削減を実現するという。詳細は不明ながら、導入のための新たな設備投資は不要とされている。また、現在の保守作業などへの影響なしに導入が可能と謳っている。
継続的にモニタリングしてそれを機械が学ぶことで、管理や制御が可能になるという考え方だが、逆に言えば、様々な数値をトラッキングしなければ、どんな不具合があるかも分からないし、効率化することもできない。
電力自由化で電力消費量の「見える化」が日本でも盛んだが、外気温や室温との相関、家人の有無、ガスの利用量など他のパラメータとの相関が分からなければ、単に夏は電力消費量が多いから暑くてもエアコンは我慢する、といった短絡的な対策しか立てられない。
記事(「Playtech Founder Teddy Sagi Funds Smart Energy Start-Up」)によれば、建物は世界のエネルギー消費の55%を占めているがエネルギー運用管理システムを導入している建物はごく僅かだという。コスト削減効果が明らかになれば、世界に市場が広がる可能性がある。
現在はマクドナルド・イスラエル、HP、大手食品小売りチェーンのShufersalなどがすでに導入しており、最近行った300万ドルの資金調達で現在15名の従業員を倍増する計画だという。
【参照情報】
・Sagi invests $3m in energy efficiency co SmartGreen
・Playtech Founder Teddy Sagi Funds Smart Energy Start-Up
・SmartGreen Energy Management and Optimization
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