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IoTやAIを活用したデジタル変革に「答えを出すための投資」を、テラデータ

2018.10.17

Updated by Naohisa Iwamoto on October 17, 2018, 06:25 am JST

IoTの広がりで膨大なデータが収集できるようになってきた。それらのデータを分析するAIなどのツールも導入した。しかし、それらは現実のビジネスに効果をもたらしているのだろうか。こうした状況に対して、「ビジネス上の答えを出すため投資」を始めようと指摘するのが、データアナリティクス製品やサービスを提供するテラデータである。

テラデータは、2018年10月14日から18日にかけて、米国ラスベガスでプライベートイベント「Teradata Analytics Universe 2018」(TAU18)を開催している。TAU18開催の直前に発表した新しいブロンドロゴなどを含め、データアナリティクス市場への取り組みを紹介している。TAUは同社のユーザー会の側面も併せ持つイベントで、ユーザー各社のデータアナリティクスの取り組みの発表の場も数多く設けられている。国内からも登壇するユーザー企業が複数に上る。

▼「START INVESTING TO ANSWERS」のゴール設定を紹介するテラデータCOOのOliver Ratzesberger氏

基調講演に登壇したテラデータCOOのOliver Ratzesberger氏は、「データの力を使って、ビジネスや生活を変えていく。この素晴らしい変化を支えることがテラデータの存在意義だ」と語る。その上で「これまでのテラデータは、データウェアハウスのメーカーという認識で捉えられることが多かった。しかし、テラデータはデータアナリティクス分野に注力し、ユビキタスのインテリジェンスを提供する新しいテラデータに生まれ変わっている。新しいテラデータを見てほしい」という。

その実現のために、ロゴを変え、新しいゴールを設定した。その考え方が、「アナリティクスを購入するのはやめよう。風呂敷を広げるだけのソリューションを買うのはやめて、ビジネスの答えへの投資を始めてほしい」(Ratzesberger氏)というものだ。データをいくら集めて、様々な分析をしたところで、ビジネスの変革につながらない施策は無駄な投資でしかない。答えが出る投資とは何かという視点で、ユーザー企業に対してテラデータが提供するソリューションを見極めてほしいというメッセージである。

すでに「答え」を出し始めている実例

Ratzesberger氏は、テラデータが提供するデータアナリティクスのソリューションを用いることで、すでにビジネスをデジタル化して効果を上げている実例をいくつか示した。

1つはオーストラリアの航空会社であるカンタス航空。同社は1年間に9万便の飛行機を飛ばし、年間の燃料費が32億ドルにも上るという。一方で、フライトデータは1時間に200万のデータポイントがあるように、非常に膨大なデータが集められている。これらをテラデータのソリューションによって分析し、航空機の燃費を1.5%向上させることに成功したという。

また、米国の通信事業者のベライゾン・ワイヤレスでは、1億5000万の加入者のデータを分析することで、適切なキャンペーンを実施するなどの施策により解約率の低減を実現した。毎月200万加入の同社サービスからの離反防止に成功し、1億5000万ドルの収入を確保したというのである。このほかにも、スポーツ選手の動きを画像データから次世代の選手を統計的に分析する事例や、医師の指示に対する服薬の状況のデータ分析から死亡率を引き下げるような事例も紹介があった。「答え」を出すために、データアナリティクスのソリューションが実際に活用できるとの指摘である。

▼ROI設定を見極めることを指摘するテラデータCEOのVictor Lund氏

同社CEOのVictor Lund氏は、「顧客がどこにいて、何を達成したいか、それに対してテラデータがどのように協力できるか。ユーザー企業が多くあれば、データの量も非常に多い。一方で使えるデータがどこにあるか分かっていない企業もある。技術はユーザー企業ではコストセンターとして見られがちであり、投資が必要だ。投資に見合う答えは、売上を高めるかコストを下げるかだろう。ROIをどのように定めるかがデータアナリティクスの活用にとって重要だ」と述べる。

そうした「答え」を見出し、結果に到達できるように手助けするのがテラデータのデータアナリティクスのソリューションだという。国内でも、IoTやAIをお題目のように「使う」ことが重視され、PoC(概念実証)を繰り返すことにとどまるケースは、決して少なくない。IoTで得られたデータを、AIの力を借りて分析し、その先にどのような経営課題の改善という答えを設定するか。当たり前だけれど実践が難しい現実のビジネスの姿に対して、テラデータが提案する「答えへの投資」の考え方を反映させる必要性は高い。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。