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“産業と社会を変えるデジタライゼーション”がテーマ「第5回 IoT/AI ビジネスカンファレンス」開催レポート

“産業と社会を変えるデジタライゼーション”がテーマ「第5回 IoT/AI ビジネスカンファレンス」開催レポート

2018.11.18

Updated by WirelessWire News編集部 on November 18, 2018, 17:10 pm JST

IoT、AIの実際の導入事例などを展示やセミナーで紹介する「IoT/AI ビジネスカンファレンス」が10月31日に開催された。
“転換期のIoT、実装に向けた新たな取り組み”と題したパネルディスカッションは、製造、ロジスティクス、AI、セキュリティの各分野の専門家が集まった。株式会社野村総合研究所 研究理事 未来創発センター長 桑津 浩太郎氏がモデレーターを担当した。

パネリスト各団体の取組

▼一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI) エバンジェリスト 教育普及副委員長 福本 勲氏
一般社団法人 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI) エバンジェリスト 教育普及副委員長 福本 勲氏

「IVIは250社超、600名超の製造業を中心としたメンバーで構成される。日本の強みは人と現場、と考えており、繋がる工場、繋がる現場を目指している。

製造業はハードウエアからソフトウエア駆動型への変革がポイントで、デジタル化(伝達スピード、情報の蓄積の規模などが高まる)、サービス化(モノを売った以降の収益を得ること)、オープン化(自社の一番得意な分野以外をオープンにして繋がってエコシステムを構築)が重要であると考えている。」

▼公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会 JILS総合研究所 ロジスティクス環境推進センター センター長 北條 英氏
公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会 JILS総合研究所 ロジスティクス環境推進センター センター長 北條 英氏

「物流はコストセンターになってしまうのでコスト削減になるが、ロジスティクスはそうではない。ロジスティクスやサプライチェーンを経営戦略にして欲しいと考えているが、企業の認識はまだ低い。経営者が理解していない。部門の壁が存在し、部分最適になってしまっている。大学でロジスティクスについての学部や学科や講座を持つ学校が少なく、専門家が養成できていないのは課題である。

ビッグデータ、AI、センシング技術に期待したいのは、ロジスティクスKPI間の相関関係を見たい、経営資料とロジスティクスKPIの因果関係を見たいという部分である。」

▼一般社団法人 日本ディープラーニング協会 理事 川上 登福氏
一般社団法人 日本ディープラーニング協会 理事 川上 登福氏

「日本におけるディープラーニング産業の競争力強化を加速化させるべきであり、それを目指した活動を行っている。
AIを活用するための問題点抽出などの議論や事例集の出版、勉強会の実施などを行う産業活用推進委員会、海外の政策動向、法改正がディープラーニング産業にどう影響を与えるかなどを議論する公共政策委員会、さらには人材育成のための試験委員会などが主な活動である。」

▼一般社団法人 セキュアIoTプラットフォーム協議会 事務局長 白水 公康氏
一般社団法人 セキュアIoTプラットフォーム協議会 事務局長 白水 公康氏

「IoTの恩恵が享受されるためには、それが安全に使われる環境が整備されていなければならず、その部分に対して切り込んでいる。IoTが社会基盤の一翼を担うことを前提に、脅威から守るべくセキュリティ強化の活動を展開していく。

パソコンでのセキュリティと違って、IoTの世界はインシデントの機会が増える。IoTデバイスはロングライフな製品が多く、長期間にわたって危険にさらされる。IoTのセキュリティ対策はバラバラで標準化されていない。それだけに対策がしにくく、人命すら危険にさらされることも起こり得ると認識して欲しい。さらに、2020年には、東京オリンピックが開催されるが、オリンピックは過去の例から見ても、サイバーセキュリティの需要が増加することは知っておくべきだ。」

パネルディスカッション

1)言葉でいうと、ディープラーニング、IoT は2012年から始まっているが、ここまでの振り返りとして、見えてきた課題と取組について説明して欲しい。

福本:スマートファクトリーはそれなりに取り組まれている。従来は取れなったデータが取れるようになって、原因と結果の関係が見えるようになった。現場でリアルタイムに活用できるようになったとも思っている。ただ、OT(Operational Technology:制御・運用技術)の領域が現場任せになっているので、この部分の管理、負担が難しくなってきた。この先の取り組みでどうROI(費用対効果)を出していくかが課題であろう。

北条:発荷主、着荷主がいて、それを繋ぐのが物流企業だが、ロジスティクスはこの3者がデータを取らなければならないし、データを繋がなければならない。そういった中で、過剰品質とカスタマイズのしすぎが課題と思われる。IoTなりのビッグデータなどを上手く使うための環境作りが課題である。

川上:いいですね、とは言えない。課題は大きい。特に人材の圧倒的な需要に対する供給不足。これは解決に向けて加速化しないとグルーバルでは後れをとってしまう。事業戦略側では、AIで何ができますかと聞かれる。基本的には課題を解決するためにAIを使うのであるが、企業が何をしたいのか、どう儲けるのかなどマネタイズも含めて考えるべきである。

白水:技術的な整備に加えて、人材育成が課題である。セキュリティに対して、セキュリティに関するカリキュラムや教えられる人も少ない。専門家の育成だけではなく、全体的なリテラシー向上も重要である。機器にパスワードすら設定していないなど、人的な要因でセキュリティ事故が発生するケースが多い。当協議会でも定款を変更し、セキュリティ人材の育成に取り組んでいる。

技術的な側面では、まずはIoT機器自体を個別識別することが重要だと考える。なりすましされていない正しいデバイスから、改ざんされていないデータが収集されていることを認証することが必要である。

IoT機器の識別をすることにより、設計製造〜利用〜破棄までのライフサイクル全体を一気通貫で守ることを考えるべきであろう。

2)セキュリティをどういう領域でやっていくか?

白水:産業機器、車、メディカルなどがあるが、今後の特徴的な活動として、テレワーク、サテライトオフィスのセキュリティを守るためのガイドライン作りを行っている。
働き方改革の推進にはセキュリティの担保は必須と考えている。

3)日本の企業はITベンダーに依頼することが多いが、欧米はユーザーが社内で育てたりする。日本のユーザー企業にIT人材は必要か、増やすべきか?

川上:内部の人材育成は大事である。一般化するディープラーニングを活用するための議論もできるようになるからだ。

福本:オープンとクローズをどう使い分けるかである。ここで作られた製品がどう使われるか、オープンで最先端のものは企業間で共有しながら進めていくべきであろう。

白水: IoTの実装はオープンイノベーションであるべきだと思う。もはや一社ですべてのソリューションを提供することは現実的ではない。ユーザー企業はそのオープンイノベーション環境で提供されるソリューションを活用して欲しい。一方、ユーザー企業の経営者にはセキュリティに対するリテラシーを上げ、コストという意識から企業成長のための投資と認識するようになってほしい。

北条:競争という意味では、独創的なものが必要であるので、中で育てたほうがいいのではないか。

4)日本の強みは何か?

福本:現場にある情報をサイバー空間に上げるところは強い。その結果を以てコントロールするのも日本は上手い。ただし日本の企業には、ROIが明確にならないと投資しない、あるいは他所で上手くいったものでないとやらない、といった風土がある。ここを脱却すれば、現在の強みがさらなる強みとなると考える。

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