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5G対応スマホが続々、折りたたみ式が存在感、MWC19 Barcelona

2019.02.28

Updated by Naohisa Iwamoto on February 28, 2019, 06:25 am JST

スペイン・バルセロナで開催中のMWC19 Barcelona(旧 Mobile World Congress)では、注目の折りたたみ式のスマートフォンだけでなく、5G対応スマートフォンが多く展示されている。5Gがスマートフォンで利用できるときが近づいてきていることを実感させられる。

根付くか折りたたみ式、2画面式

折りたたみ式のスマートフォンは、サムスン電子、ファーウェイが発表。サムスン電子の「Galaxy Fold」とファーウェイの「Mate X」は開いたときにつなぎ目のない折りたたみ式を採用。LGの「LG V50 ThinQ」は、オプションのディスプレイ付きカバーケースを取り付けることで2画面の折りたたみ式となる。

▼ファーウェイの5G対応折りたたみ式スマートフォン「Mate X」

サムスン電子のGALAXYFOLDはディスプレイ内側にして折りたたむ構造、ファーウェイのMate Xは外側にして折りたたむ構造と、ちょうど反対の側にたたむ形なのが興味深い。Galaxy Foldは折りたたんだときにもスマートフォンとして使えるように、外側になる面にもディスプレイを用意して都合3面にディスプレイを備える。Mate Xは折りたたみ式のディスプレイが外側にあるので、折りたたみときにも同じディスプレイが使える。今後、折りたたみ式のスマートフォンが一般化していくとしたとき、どちらの形が生き残るか、用途などで共存できるのか、注目したい。MWC 19のブースでGALAXY FOLDとMate Xは来場者が手を触れられないケース内などに展示されていた。

LG V50 ThinQはタッチアンドトライが可能で、2画面にアプリを表示させたり、3眼カメラの異なる撮影条件を片側の画面に表示させながら写真撮影したりといった体験ができた。本体が横になるように持ったときに、上の画面にゲームを表示、下の画面にコントローラーを表示するような用途の提案もあった。

5G対応のスマートフォン、製品やプロトタイプが続々

5G対応のスマートフォンが一気に展示されたのもMWC19の特徴だ。前述の折りたたみ式や2画面対応のスマートフォンでは、Mate XとLG V50 ThinQが5G対応をうたう。サムスン電子は、折りたたみ式のGalaxy Foldではなく、フラッグシップの「Galaxy S10」シリーズに5G対応のスマートフォンをラインアップした。

▼サムスン電子は「Galaxy S10 5G」で5G通信をデモ

壮観なのがクアルコムのブース。多くのスマートフォンメーカーに5Gモデムチップを提供するだけあって、これまでに発表済みの5Gスマートフォンに加えて、MWC直前に各社が発表した5Gスマートフォンの製品やプロトタイプが並んだ。

▼クアルコムのブースの前面に並んだ「5G」スマホ

クアルコムのブースの前面には、オッポ(OPPO)、LG、ZTE、ソニーモバイルコミュニケーションズ、シャオミ、OnePlus(順不同)の製品やプロトタイプの端末が並び、5Gを使ってストリーミング再生を行うデモを行った。5Gがスマートフォンで利用できる「リアル」な環境が整ってきたことをアピールした形だ。クアルコムはMWC19の直前に、これまでの5G専用モデムチップ「X50」に加えて、第二世代となる2Gから5Gまでのマルチモードのモデムチップ「X55」を発表し、今後の5Gスマートフォンや5G応用製品はX55を提供していく。また2020年にはモデムとアプリケーションプロセッサを一緒にしたワンチップの5G向けSoCの提供を計画し、5Gの普及へのロードマップをMWC19会期中にアナウンスしている。

さらにMWC19 Barcelona2日目にクアルコムのブースでは、世界の通信事業者や端末メーカーなど数十社が集まった5Gキックオフイベント「MWC 5G Industry Moment」が開催された。5Gはまさに今、始動しようとしているということを世界にアピールするものだ。5Gというと、プレサービスが9月から、商用サービスは2020年からと「今後のこと」のように感じている日本よりも、世界は一歩先を進んでいるようだ。

▼「MWC 5G Industry Moment」で乾杯する各社の首脳など

Xperiaの新作や5眼カメラのスマホも

日本のスマートフォンメーカーでは、ソニーモバイルがXperiaシリーズの新製品を披露した。「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを」というビジョンのもとで、新しく生まれ変わった製品群で、フラッグシップモデルの「Xperia 1」など4モデルをラインアップした。

Xperia 1は、21:9の4K HDR有機ELディスプレイを世界で初めて搭載し、映画館のようなシネマワイド体験を提供する。ソニーグループが提供する価値として、最も訴求したいものとして「コンテンツ」を定義。クリエーターとコンシューマを、最高で最先端のコンテンツである映画というコンテンツでつなぐことを目指す。Xperia 1は5Gには対応していないが、完成した作品の視聴から、プロと同等の技術で撮影した4K作品の送信まで、今後の5Gスマートフォンの核となるコンテンツに映画を据えて、生き残りを図る。

▼21:9と細長い4K HDR有機ELディスプレイで迫力ある映画やゲームを楽しめる「Xperia 1」

スマートフォン端末では、ノキアが「Nokia 9 PureView」と呼ぶスマートフォン新製品で、5カメラを搭載。カラー2カメラ、モノクロ3カメラの構成で、撮影後のフォーカスの移動はもちろん、フォトショップなどを使わずに高度な画像編集が可能なことをアピールした。レノボブースでは、モトローラブランドのスマートフォンとして、外付け式の5Gモジュールの5G moto modを使うことでベライゾンの5Gサービスに対応可能な「Moto Z3」の展示もあり。5Gへの過渡期の多様性が感じられた。

▼5眼カメラで写真の表現力を高める「Nokia 9 PureView」

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。