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村上陽一郎×神里達博

【専門家とは何か 第2回 ー村上陽一郎×神里達博】  12月10日(木曜)19:00開始  新教養主義宣言・トークイベント(vol.13)

2020.12.04

Updated by on December 4, 2020, 17:30 pm JST

「補助線」としての狂牛病(BSE)問題/新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に対して、社会は専門家をどう活かすのか

日本は、拡大する可能性が高い社会的リスクをどのように捉え、どのように専門家と行政が責任分担し、処理し、国民に正確に分かりやすく伝えるか、という一連の作業が苦手な国、と言われます。リスクの大きさが明確でないときは、まずは最悪の事態を想定し、事実が明らかになるに従ってリスク管理の範囲を小さくしていくのが鉄則なのですが、日本政府は、2011年3月の東京電力福島第1原発事故がそうであったように、実態がよく分からないときはリスクを小さく見積もりがち。「直ちに影響があるわけではない」という説明を何度も繰り返し聞いた、という方も多いはずです。

今回の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症についても、第一波における初期動作、そして第二波への対応においても「経済とのバランス」との名目の元に、潰せたはずのリスクを逆に拡大する方向へ成長させてしまった可能性があります。ここでは1)専門家の知見をどう評価・採用したか、2)専門家といえども新しい現象に対しては「わからないことが多い」ということを想定していたか、が重要なポイントになるでしょう。

この種の問題を考える上で「思考の補助線」となる前例があります。1986年にイギリスで初めて発見され2000年前後に日本を含む各国で社会問題になったBSE(牛海綿状脳症、Bovine Spongiform Encephalopathy)問題、いわゆる狂牛病です。食品はただでさえ科学的判断が難しい上に、BSEの場合は未解明性な部分が大きく、科学者 によって意見が割れました。科学的知見が揺らいでいても、社会問題化はどんどんそのスピードを加速します。その結果、当時の英国政府は対処に大きく失敗し、政権交代にもつながりました。しかしその本質は、専門家にも分からない問題が起きた時、政治はどう向き合うべきか、という難問であり、現在の私たちが置かれている状況と同型といえるでしょう。

今回の「新教養主義宣言」では、まず、この英国での失敗をやや丁寧に確認した上で、この教訓をCOVID-19のパンデミックに対して活かすにはどうすればよいか、考えます。さらに四半世紀前のBSE騒動の時代とは条件が様変わりした、現代の状況についても光を当て、私たちの社会で専門家を活用するにはどうすべきなのか、改めて議論してみたいと思います。

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【専門家とは何か 第2回 ー村上陽一郎×神里達博】

12月10日(木曜)19:00開始 新教養主義宣言・トークイベント(vol.13)

日 程:2020年 12月10日(木曜)19:00〜(2時間程度を予定)
会 場:Zoomを利用したオンラインイベントです。peatixでお申し込みの方に事前に招待メールをお送りします。
参加料:¥3,000(税込):チケットの購入期限は当日12月10日の18:00までとさせていただきます
申込み:Peatixよりお申し込みください。(申込みはこちら
主 催:WirelessWireNews編集部(スタイル株式会社)

村上 陽一郎(むらかみ・よういちろう)
上智大学理工学部、東京大学教養学部、同学先端科学技術研究センター、国際基督教大学(ICU)、東京理科大学、ウィーン工科大学などを経て、東洋英和女学院大学学長で現役を退く。東大、ICU名誉教授。専攻は科学史・科学哲学・科学社会学。幼少より能楽の訓練を受ける一方、チェロのアマチュア演奏家として活動を続ける。

 

神里 達博(かみさと たつひろ)
千葉大学大学院国際学術研究院教授
1967年生まれ。東京大学工学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。三菱化学生命科学研究所、東京大学・大阪大学特任准教授などを経て、千葉大学国際教養学部教授、同大学院総合国際学位プログラム長。大阪大学客員教授、朝日新聞客員論説委員、日本学術会議連携会員などを務める。専攻は科学史、科学技術社会論。著書に『文明探偵の冒険』(講談社現代新書)、『ブロックチェーンという世界革命』(河出書房新社)、『リスクの正体』(岩波新書)など。

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