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欧米の製造業IoTは工場間や社外とのデータ連携で先行、日本テラデータ

2021.04.28

Updated by Naohisa Iwamoto on April 28, 2021, 10:30 am JST

「インダストリー4.0を実現するには、1社だけでは限界がある。サプライチェーンやバリューチェーンを包含した改善が必要で、独BMWはそうした社外を含めたデータ連携の仕組み作りに着手した。米テラデータも、米マイクロソフトとともに、BMWのアライアンスに参画した」。日本テラデータは2021年4月、スマートファクトリーや製造IoTのデータ活用の現状についてメディア向け説明会を開催し、世界で先行するデータ活用の状況を説明した。

冒頭の説明は、日本テラデータ ビジネスコンサルティング事業部 マネージャー・ビジネス・コンサルタントの矢野寛祥氏のもの。テラデータは、BMWグループとマイクロソフトが共同で設立したグローバルアライアンスの「オープンマニュファクチャリングプラットフォーム」(OMP)への参加を2021年2月に発表しており、クラウドベンダーから独立した形でのデータ分析プラットフォームを提供するという。

自動車業界に代表される製造業では、インダストリー4.0の実現に向けて、データのサイロ化から脱却したオープンなデータ活用の必要性が高まっている。テラデータは2020年に独フォルクスワーゲングループとAmazon Web Services(AWS)が共同で開発しているクラウド生産システムのテクノロジーパートナーとなり、オープンIoTプラットフォームの開発に寄与している。今回はBMWグループと協力して、独ボッシュグループ、独ZFフリードリヒスハーフェンなどの部品メーカーを含めたオープンなプラットフォームの実現を目指す。

欧米で進む広範囲でのデータ連携

説明会では、こうした世界のトレンドを見据えながら、日本の製造業の取り組みを分析した。矢野氏は、「ものづくりのトレンドは、マスカスタマイゼーションに向かっている。自動車業界では、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)など多品種の精算に対応が求められており、各工場で多品種少量生産を実現するマスカスタマイゼーションに対応する必要がある。これに対応できるように生産ラインを効率化するためには、データ活用を進める必要がある」と語る。

▼欧米と日本のデータ活用の現状(日本テラデータの発表資料より)

製造業の中でも自動車業界に注目した場合、個々のデータ活用事例で日本の産業が遅れていることはないと矢野氏。データ活用のレベルとしては「レポート」「要因分析」「予知保全」へと高度化していくが、国内の企業でも予知保全に踏み込んだデータ活用を実践しているケースも少なくない。一方で、欧米との違いをこう語る。「1つは本番環境でビジネスとして運用している取り組みが欧米で先行していること。もう1つは、国内ではデータ活用を高度化させていたとしても、その取組の範囲が工場ごとや部門ごとに閉じていること。欧米では工場間や社外も含めた連携のアクションが進んでいる」。

サイロ化したデータ活用が多い国内の産業では、「それぞれのデータ活用システムを本番環境に実装して連動させて活用しようとするとうまくゆかず、改めてゼロから取り組みを始めることも少なくない」と矢野氏は説明する。今後は、「それぞれの仕組みが統合された状態で、1つのプラットフォーム上でデータを大規模に連携できる状況が求められる」。

こうした状況を打開するためにテラデータが貢献できることがあると、日本テラデータ エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 シニア・ソリューション・エンジニアの田中修氏は語る。「インダストリー4.0の中心となるスマートファクトリーが求めるデータプラットフォームの条件は3つある。1つはデータ構造に関わらずすべてのデータを対象にできること、2つ目はデータ構造に適した格納方式が選択できること、3つ目は構造化データと非構造化データを組み合わせて一元的に分析できること。テラデータならば、これらを満たし、クラウドベンダーに依存せずにプラットフォームを構築できる」。

▼スマートファクトリーが求めるデータプラットフォームの要件(日本テラデータの発表資料より)

日本テラデータ ビジネスコンサルティング事業部 シニア・ビジネス・コンサルタントの小俵友之氏は、自動車業界におけるテラデータの実績をこう説明する。「ある国内のOEMでは、生産ラインの機器のセンサーデータと良品/不良品の検査結果データを機械学習モデルで分析し、歩留まりを下げる要因を特定することで製品品質の向上に貢献している。海外のOEMでは不具合予測による製造工程の改善を実現、他の海外OEMでは生産ラインの稼働状況を監視して早期メンテナンスによる設備資産の最適化に成功している」。

こうした事例も見た上で矢野氏は、「日本のデータ活用の取り組みは現場の改善から始まるボトムアップが多い。これでは全体をまとめようとしてもまとめにくい。欧米ではトップダウンで意思決定がされることが多く連携しやすい。日本の産業でもバリューチェーンやサプライチェーン全体を見通し、トップダウンによるデータ活用への取り組みが求められるだろう」と次の一手への展望を語った。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。