「忘れられる権利」の運用開始にともなって、各所から反応が出始め、中には運用方法への明確な批判も見られる。また、プロファイリングによる個人への不当な差別についての問題提起も取り上げた。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。
制度・法律
「忘れられる権利」の運用が始まったことで、削除される側からの「反撃」ともとれるアクションが見られた。
BBCが「忘れられる権利」に基づいて検索エンジンから消された記事リストを公開する方針
BBC to publish 'right to be forgotten' removals list
BBCは「忘れられる権利」の執行にともない、Googleの検索インデックスからリンクが削除された記事について、Googleからの通知に基づいたリストを公開することを明らかにした。BBCの編集ポリシー責任者のデビッド・ジョーダン氏は「人々の『記憶する権利』が尊重されるべき」で、また「抗議のプロセスがないのは不当」とコメント。これまでBBCには46件の削除通知があり、明らかに削除が不適当だと思われるものも含まれているという。
データ・プライバシーに関するEUと欧州との温度差が明確になってきている。
「忘れられる権利」を筆頭に、EUのプライバシー保護は事業者側の負担が重すぎるとの声は少なくない。
単なる規制強化ではなく、官民でパートナーシップを組むことによって、一種の共同規制の枠組みでのビッグデータ新興を目指す動き。
金融機関のサイバーセキュリティについて、当局が懸念を表明。
調査・ケーススタディ
匿名性や秘匿性を謳い文句にしたサービスへの注意喚起が続いている。
匿名や「消えるメッセージ」などのサービスは、実際には匿名や秘密が維持できていない
Le grand bluff des applications ≪ anonymes ≫ et ≪ ephemeres ≫
スナップチャットなどのサービスは投稿がすぐ消える、匿名で利用できるといった、秘密性が売りだったが、その評判が崩れつつある。多くのメッセージや写真が消えるサービスは、実際にはサードパーティのアプリによって消滅前にメッセージなどを保存可能だった。また、位置情報を取得しないというオプションを用意していたサービスが、実際はサービス側で利用者の位置を知ることができる状態だった。こうした秘密や匿名を売りにしたサービスであっても、その謳い文句の実効性は不透明なのが現実だ。
個人に関する不正確な情報や、関連性が薄い情報による不当な扱いは、今後より大きな問題になっていくだろう。
個人の信用情報は売買され就職や融資に利用されるが、間違っていても訂正の機会がない
The Dark Market for Personal Data
個人の評判に関する情報ビジネスは新しい段階に入り、金融機関が融資、企業が雇用の際に使うケースが増加。しかし、これらのデータには間違いが多く、そもそも第三者に開示されるべきものではないし、また誤っていても訂正する機会がないといった問題がある。データによる雇用判断は差別に繋がる恐れがあるが、現行法では完全には解決できない。したがって、プライバシー保護法の適用分野を拡大して消費者データをカバーし、また議会はデータブローカーのFTCへの登録を義務づけ、消費者からの削除手順を確立すべき。
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