中国メーカーOPPOのスマートフォンがタイで存在感を増してきている。OPPOは2004年に設立された中国の家電メーカーで設立して10年が経過し、現在は中国とタイの他にもアメリカや欧州、ほかのアジア地域でもスマートフォンを販売している。2014年1月末にはインドのモバイル市場にも参入した。
OPPOはタイで800人の従業員がいるが、今後1000人にまで増加する予定。タイ市場にフラグシップモデルの端末を投入し、グローバルメーカーの端末に対抗している。たしかにバンコクのあらゆるところでビルボード広告が出ていたり、テレビ広告をやっている。携帯電話売り場にはサムスンやソニー、LGといったグローバルメーカーと同列に並んで販売されている。価格は10,000円から65,000円くらいのものまで幅が広い。特に最新のスマートフォン「OPPO N1」は独創性的な回転式カメラが搭載されていて人気がある。
バンコクでは老若男女のほぼ全員がスマートフォンを利用している。iPhoneやサムスン、ソニーといったグローバルブランドと同列にOPPOのスマートフォンも浸透しつつある。かつてフィーチャーフォンの時代にはタイではノキアや地場メーカー「i-mobile」の人気が高かった。i-mobieはスマートフォンも出しているが、以前のような存在感は無くなってしまった。OPPOにその座を奪われてしまったようだ。
日本では馴染みのない中国メーカーOPPOだが、タイ以外にもインドネシア、ベトナムでもよく見かける。マレーシアでも新機種を販売開始した。東南アジアではメジャーなブランドになりつつある。
但し、タイ市場でも順風満帆とは言い切れない。2013年11月にはタイで有名なITブロガーFord AntiTrustにおいてOPPOのカスタマーサポートやソフトウェアに欠陥があるということ書かれてから、それらに同調するタイのギークたちの間では評判がよくない。今後はそのような評判の克服もOPPOの課題である。
誰もがスマートフォンを持つようになり、コモディティ化してくると、端末の性能、デザインでの差別化が難しくなる。そうなるとこのようなカスタマーサポートやソフトウェアなどの評判が命取りになりかねない。それでもタイを中心とした東南アジア市場でのOPPOの勢いは物凄い。そしてある程度のポジションを築いたOPPOも今後は追われる立場になってくる。これからOPPOがタイ市場だけでなく、全世界においてどのような戦略で製品投入をしてくるのか注目である。
▼バンコクの携帯電話販売店でのOPPOの陳列棚。
▼バンコクの携帯電話ショップ。OPPOのスマートフォンはローエンドからハイエンドまでそろっている。
▼バンコクの駅にあるOPPOのビルボード
【参考動画】
▼タイでのモバイルExpoに出展したOPPO
▼タイでのOPPOのテレビ広告
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。