○今回は前回の記事で最後に触れた中国国内携帯メーカーで特に最近注目を集めている企業を紹介したいと思う。
まず、下図はインターネット調査会社ZDCが2010年第3四半期の中国国内携帯メーカーに対象を絞り集計した関心度調査の結果である(シェアではない点に留意)。
▼2010年第3四半期中国国内携帯メーカー関心度調査
この調査結果を見て、まず目につくのが世界にその名を轟かせている中国携帯メーカーの明暗である。
レノボや多普達(※HTC社の中国大陸でのブランド)はそれぞれ22.8%、14.5%で第1位、第2位を占めており順当な結果を収めているのに対して、世界の携帯電話年間出荷台数でトップ10にも顔を出している2社については、中興(ZTE)が4.4%と8位に甘んじているばかりか、華為(Huawei)にいたってはランク入りすらしていないという結果になっている。
これは、中興(ZTE)、華為(Huawei)ともにヨーロッパを中心とした海外展開には非常に積極的で、中国国内は正直力を入れていないというのが今年第3四半期までの状況であった。
===
しかし状況は変わり始めている。最近の両社は共にAndroidスマートフォンの開発、発売に非常に力を入れており、お膝元の中国市場に対しても中興(ZTE)が中国電信(チャイナ・テレコム)からN600、中国聯通(チャイナ・ユニコム)からX850を発売し、華為(Huawei)はC8500を中国電信から発売するなど、1,000元前半のAndroidスマートフォンで積極的な攻勢をかけてきている。
▼中国電信の3GサービスのWebサイトでは、「990元スマートフォン」ZTE N600とHuawei C8500が販売されている。
中興(ZTE)、華為(Huawei)が世界に通じるブランド力を背景に各通信キャリアとの協業を積極的に行っているのに対し、家電販売店、直営店などの店頭やTV CM、Webなどで若年層や女性層などをターゲットとした携帯電話メーカーなどもここ1,2年非常に目立つ存在になってきている。
▼家電量販店店頭には、携帯電話メーカー各社の大きな垂れ幕がかかっている。
===
第3位から5位に名を連ねる3社のうち、OPPOや天語(K-touch)、酷派(Coolpad)などは店頭やTV CMなどでの露出が最近富に目立つようになってきた。
その中でもOPPOはWebやプロモーションに人気芸能人を採用していることや、店頭ディスプレイなどからもわかるとおり、はっきりと80后、90后と呼ばれる若年層にターゲットをしぼっており、急速に人気を高めてきている。
▼キャラクターに人気芸能人を採用し、店頭展開するOPPO
OPPOは携帯電話、スマートフォンのみならずE-bookも発売するなど事業を拡大しつつあり、今後、中国国内だけでなく海外展開も期待されるメーカーであると言える。
===
今回のランキングには顔を出していないが、最近「女性向けに携帯電話」と銘打ち急速に注目を集めているDooVというメーカーを紹介しておきたい。
▼DooVの売り場では、女性手机(※中国語で「手机」は携帯電話の意味)とはっきりうたわれている。
最近のDooVは、いくつかの人気番組で冠スポンサーになるなど積極的にプロモーションを行っているのと、ターゲットを女性に絞った戦略で展開しているので、第4四半期もしくは2011年の調査では必ずや上位にランクインしてくるものと見ている。
前回の記事で紹介した中国国内外の携帯電話メーカー関心度調査ではノキア、サムスン、モトローラなど海外勢に押され気味であった中国国内の携帯メーカーだが、WebやTV CM、店頭でのプロモーションで今後存在感を増して行くのは間違いなさそうである。
そして中国国内の携帯メーカーとして忘れてはならないのは山寨メーカーであるが、こちらは次回以降で詳細を紹介していきたい。
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら