CEATECに見るモバイルヘルス・モニタリング機器のトレンド
2013.10.09
Updated by Yuko Nonoshita on October 9, 2013, 17:00 pm JST
2013.10.09
Updated by Yuko Nonoshita on October 9, 2013, 17:00 pm JST
10月1日から5日間、アジア最大級のIT系総合展示会のCEATEC JAPAN 2013が幕張メッセで開催された。今年はテーマに「Smart Innovationー明日の暮らしと社会を創る技術力」が掲げられ、18カ国と地域から587の企業や団体が出展。11月に開催される東京モーターショーとも連携し、トヨタや日産に加えてホンダとマツダが新たに参加するなどモビリティ関連の出展が存在感を示していた。
▼今年CEATECは11月に開催される東京モーターショーと連携したことで自動車メーカーの出展が目立ち、ホール7・8全ては走行デモと試乗エリアで占められていた。
主役である家電メーカーは4K、8Kテレビがメイン。ドコモはドイツのIFAで出展されたサムスンの「ギャラクシー・ギア(GALAXY Gear)」とインテリジェントグラスを出展し、長蛇の列ができていたが、国内キャリアでは唯一の出展となった。全体的にもいささか華やかさに欠ける出展ブースの中で個人的に注目したのが、モバイル&デジタルヘルス関連の展示である。たとえば人気の腕時計型のデバイスは、オムロンヘルスケアやローム、日立システムズに加え、台湾や中国メーカーからも様々なタイプのものが出展されていた。
▼全体の来場者数は昨年より少なく約14万1千人にとどまったものの、ドコモの製品体験コーナーなどには長い行列ができていた。
▼日立システムズとエー・アンド・デイが開発した純日本製ライフレコーダー「UW-301BT」は、血圧計や体組織計などとBluetoothで連携し、iOS用アプリもリリースされている。
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ホール6にはデジタルヘルスケアプラザと題した専門のコーナーも設けられていた。健康と医療に関わるシステムやサービスをシームレスに扱うための国際ガイドラインを制定し、IEEE(ISO)11073に基づいた技術標準を進めているコンティニュア・ヘルス・アライアンスのコーナーで、関連企業がまとまって出展。インテルやソニー、東芝ら25の企業や組織が、さまざまなフィットネス機器や測定デバイス、ヘルスケアサービス、モニタリングシステムなどを紹介していた。
▼コンティニュア・ヘルス・アライアンス(デジタルヘルスケアプラザ)によるコーナーでは様々なモバイルヘルス関連の製品やサービスが出展されていた。
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▼東芝のヘルスケアサービス用インテリジェントセンサモジュールのSilmee(Smart healthcare Intelligent Monitor Engine & Ecosystem)は必要に応じてセンサーの組み合わせを変えられる。
そのうちの一つ、東芝のヘルスケアサービス用インテリジェントセンサモジュールのSilmee(Smart healthcare Intelligent Monitor Engine & Ecosystem)は、ヘルスケアサービス向けのデバイスに搭載する小型モジュールで、体温、体動、心電に加え脳波といった複数の情報を同時にセンシングし、無線で送出できる独自技術が搭載されている。会場では手のひらにのるサイズのウェアラブルセンサが試作品として展示されていたが、要望に合わせてセンサー機能は組み合わせを変えたりできるという。法人が社員の健康管理用にウェアラブルセンサを開発するという例もあり、そうした需要に応える機能と精度の高さが提供できるとしている。
▼デジタルヘルス製品に力を入れているオムロンヘルスケアのブースではいろいろなタイプの測定デバイスが並んでいた。
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▼シャープからは体のバランスを含む身体測定が座りながらできるヘルスケアサポートチェアが出展されていた。
コーナーの隣に出店していたオムロンヘルスケアも目立っていたが、ユニークだったのがシャープが出展していたヘルスケアサポートチェアで、頭上にモニタがぶらさがったまるで遊園地やゲームセンターにあるようなメカニカルなイスは、座るだけで体温や体重、脈拍、体のバランスなどが測定可能で、今後は独自のバイオテクノロジーとエレクトロニクス技術の融合で、新しいバイタルセンシング機器の開発にも取り組んでいくとしている。
今後、モバイルヘルス市場で、製品やサービスの開発ポイントとなるのがこうしたモニタリングの種類や精度だろう。個人が健康管理の参考程度に記録するライフログとは異なり、病院や医療機関で専門的にこうした技術を使う場合、センシングに高い精度が求められる。心臓や糖尿病の持病を持つ人向けの常時モニタリングともなればなおさらで、データの転送速度や安定性も必須となる。
もう一つは環境モニタリングで、海外では温度や湿度、紫外線といった周辺データを測定するデバイスやセンサーのモバイル化に向けた開発がはじまっている。今年の夏の気温を考えると、熱射病や紫外線予防などのニーズは高くなる可能性はあり、パーソナル向けのサービスとしてのビジネスにもなりやすいので、来年のCEATECではそうしたデバイスやサービスの出展が増えているかもしれない。
【関連URL】
・CEATEC JAPAN 2013
・コンティニュア・ヘルス・アライアンス
・ヘルスケアサービス用インテリジェントセンサモジュールの開発について(東芝)
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登録はこちらフリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。