[2011年第45週]10月はiPhone効果でau躍進、イーモバLTE試験運用、FeliCa入りNFC用LSI登場
2011.11.14
Updated by Naohisa Iwamoto on November 14, 2011, 10:30 am JST
2011.11.14
Updated by Naohisa Iwamoto on November 14, 2011, 10:30 am JST
2011年第45週には、電気通信事業者協会(TCA)から2011年10月末の携帯電話・PHSの契約数の発表があった。携帯電話の純増数は、ソフトバンクモバイルの首位は相変わらずながら、iPhone 4Sをラインアップに加えたKDDIが2位で首位に急接近した。
ソフトバンクモバイルが前月から2万7400減らして24万7600だったのに対して、KDDIは逆に前月に7万1600を上乗せして19万6900となった。8月には3倍以上、9月でも2倍以上の差があった両社の純増数は、かなり近い数値まで寄ってきた。その一方でiPhone騒動に取り残された感のあるNTTドコモは、KDDIの半分以下の8万9600の純増と大人しい数値を残すことになった(関連記事:iPhone 4S効果で10月は2社が純増首位争い、ドコモは蚊帳の外)。
NTTドコモのXiが利用者を着実に増やしているLTE。そのLTEのサービス開始に向けて、イー・モバイル通信サービスを提供するイー・アクセスは2011年11月1日に、LTE商用ネットワークによる試験運用を開始した。イー・アクセスでは1.7GHz帯を利用したLTEサービスを2012年3月に開始する計画で、屋内外ともに最大75Mbpsのサービスを提供する予定である。試験運用は東京都内、茨城県内、神奈川県内の各エリアで開始した。将来は75Mbpsの1.5倍に当たる112Mbpsへの高速化を目指すことを明らかにした(関連記事:イー・アクセス、屋外75MbpsのLTE試験運用開始、将来は112Mbpsへ)。
ソニーは、モバイルFeliCaにも対応した近距離無線通信規格NFCの無線通信LSIを開発したと発表した。型名はNFC無線通信LSI 「CXD2235AGG」で、日本やアジアで採用されているモバイルFeliCaと、欧米で利用されているISO/IEC14443 Type A/Type Bのいずれにも対応する。2011年11月に出荷を予定、サンプル価格は600円。日本の交通チケットや電子マネーだけでなく、海外のサービスも1台のスマートフォンで使えるようになる可能性が高くなってきた(関連記事:ソニー、FeliCaにも対応したモバイル機器用NFC通信LSIを開発)。
災害対策に関連するトピックもあった。NECは、災害時などに音声のメッセージをパケット通信を使うことで確実に届けられるスマートフォン向けのソリューションである「音声配信ソリューション」(NC7000-RX-VM)を発売した。NECでは、国内の通信事業者としてはKDDIが2012年春以降に開始予定の「災害時の音声メッセージお届けサービス (仮)」に、音声配信ソリューションを採用したと説明している(関連記事:NEC、音声をパケット通信で届ける災害時向けソリューションを発売)。
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携帯電話事業者各社は、スマートフォン普及によるトラフィックの急増対策として、Wi-Fiを使った公衆無線LANサービスへのオフロード策を推進している。その一環としてKDDIは、スマートフォンでの利用に向けて提供している公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SOPT」が4万局を突破した。au Wi-Fi SPOTは6月30日に開始したばかりのサービスである。2012年3月末までに一気に10万局へとスポットを展開することを公表しており、今回は途中経過として4万局の設置を発表したものだ(関連記事:au Wi-Fi SPOT、4万局を突破)。
海外でのサービス提供の話題もあった。KDDI Americaは、米国内で展開する携帯電話サービス「KDDI Mobile」に、SIMカード用のプランとして月額40ドルの「MONTH PLAN 40」と同60ドルの「MONTH PLAN 60」の2種類を追加する。月額40ドル、同60ドルのプランで、制限なく米国内の通話とテキストメールが利用できる。国際無料通話と無料データ通信の量が異なる(関連記事:KDDI America、月額40ドルで米国内通話無制限のSIMカードプランを提供)。
スマートフォンの活用法を広げる試みも始まる。NTTドコモと学研ホールディングスは、スマートフォンやタブレット端末を使った新しい学習スタイルの推進に向けて、業務提携に合意したと発表した。ICTを活用して、幼児から大人までの教育に役立てる。NTTドコモのサービス基盤と学研の教育サービスのノウハウを融合させて、スマートフォンなどを活用した学習スタイルの推進を目指す(関連記事:ドコモと学研、「スマホで学習」推進で業務提携)。
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その他の、この週のトピックを紹介する。IT市場専門の調査会社であるノークリサーチは、中堅・中小企業の業務システムにおけるスマートフォンやタブレット端末の利用状況の調査結果を発表した。業務システムにおけるスマートフォンの活用割合を尋ねたところ、上位はCRMが10.0%で1位、ワークフローとグループウエアが9.2%で2位に並んだ。活用割合が高いシステムでも、10%以下の数値であり、普及しているとは言いがたい。その結果からの分析で、これらのモバイル端末を業務システムで活用するための障壁として「活用シナリオ不足」「端末管理コスト」「システム対応」の3点が浮かび上がってきた(関連記事:中堅・中小企業のスマホ業務活用は10%以下、障壁は「シナリオ不足」)。
ウィルコムは法人向けの3G通信サービスを拡充する。ソフトバンクモバイルの3G回線を利用した法人向けの3Gサービスで、以下の3サービスを新たに提供する。1つはULTRA SPEED対応のモバイルWi-Fiルーター「HX009ZT」(ZTE製)の提供。2つ目は、企業向けのゲートウエイサービス「3G閉域接続サービス(S)」の提供。3つ目がウィルコムの端末を使って海外でデータ通信を可能にする「国際アウトローミングサービス」の提供である(関連記事:ウィルコム、42Mbpsモバイルルーター提供など法人向け3Gサービスを拡充)。
「国内のトップシェアを目指したい」。富士通は2011年冬春モデルの携帯電話新商品発表会を開催し、開発方針や「ARROWS」ブランド構築戦略を説明した。その中で国内トップシェアを目指すとの目標を披露した。フィーチャーフォン時代からのモノづくりの経験から、国内ユーザーのターゲットに合わせた製品を作ることで、さらに広くユーザーに受け入れてもらうことを目指す。時期としては、2012年にトップシェアを目指すとしている(関連記事:富士通、2012年にスマホで国内トップシェアを目指す)。
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