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[2012年第13週]movaが終了、出荷過半数がスマホに、首都圏の鉄道でエリア拡充

2012.04.02

Updated by Naohisa Iwamoto on April 2, 2012, 17:30 pm JST

年度末を迎えた2012年第13週、年度末でサービスを終了するNTTドコモのmovaと、新年度からサービスを始めるmmbiのNOTTVの新旧交代があった。首都圏では山手線内全駅でのWi-Fiサービス提供や東京の地下鉄での携帯電話サービス開始など、利便性に直結するエリア拡充のニュースが多く流れてきた。

movaが終わりNOTTVが始まる

movaサービス終了にともなう重要なお知らせ
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時代の遷移はひっそりと。NTTドコモの携帯電話サービス「mova」が、3月31日にそのサービスを終了した。第2世代(2G)デジタル方式のPDC以前の方式によるサービスで、iモードなど携帯電話が普及するためのインフラだったが、3GのFOMAから3.9G(4Gとも言う)のXiへと移り変わる中で、その使命を終えた。movaのサービスが終了したことにより、mova契約のユーザーは4月1日以降には自動的に解約扱いとなる(告示資料:movaサービスをご利用いただいているお客様へ)。

入れ替わりでサービスが始まったのはmmbiのスマートフォン向け放送局「NOTTV」。V-Highマルチメディア放送「モバキャス」のサービスとして4月1日に開局した。専用の端末が必要なこと、月額420円の有料サービスであることなどのハードルを超えてどこまで普及するのか、これからの健闘に注目したい。

こうした中で、いくつかのデータも発表されている。IDC Japanは、2011年第4四半期(10月〜12月)と2011年通年の国内モバイルデバイス市場の実績などの調査結果を発表した。これによると、2011年第4四半期のスマートフォン出荷は前年同期比184.4%増の689万台に達し、2011年通年では前年比約3.6倍の2010万台となった。全携帯端末出荷台数に占めるスマートフォン比率は53.0%に上った(関連記事:2011年のスマホ出荷は前年比3.6倍の急増で2010万台、比率も53%に--IDC Japan調べ)。

数十Mbpsの通信速度をうたった新サービスの実力はいかに。MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)は各社の高速データ通信サービスの実行速度を計測し、その結果を発表した。それによると、実行速度が高かったのはUQコミュニケーションズのUQ WiMAXとソフトバンクモバイルのULTRA WiFi 4G。その中でもUQ WiMAXは測定した全国の各地点で、安定して高速な実行速度を得た。一方のULTRA WiFi 4Gは、場所により実効速度が不安定な一面を見せた。NTTドコモとイー・アクセスのLTEサービスは、実行速度としては物足りない結果に甘んじた(関連記事:「UQ WiMAXが全国的に安定して高速」、MMD研究所の高速サービス実行速度調査)。

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鉄道関連のエリア拡大で便利に

エリアの拡大は利便性に直結する。東日本旅客鉄道(JR東日本)は、山手線内の全駅で公衆無線LANサービスを利用できる設備を設置し3月30日にサービスを開始した。利用できるサービスは、NTTドコモの「docomo Wi-Fi」、ソフトバンクモバイルの「ソフトバンクWi-Fiスポット、ワイヤ・アンド・ワイヤレスの「Wi2 300」、KDDIの「au Wi-Fi SPOT」である。山手線の全駅と中央線の御茶ノ水〜千駄ヶ谷の各駅の合計36駅でサービスを提供する(関連記事:山手線内全駅で、3月30日から公衆無線LANサービスが利用可能に)。

無線LAN設備設置駅 [PDF]
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NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの4社は、東京メトロ南北線の「本駒込駅〜赤羽岩淵駅間」と、都営新宿線の「新宿駅〜九段下駅」で携帯電話サービスを3月30日に開始した。サービスを開始する区間では、駅構内や駅に停車中の列車の中だけでなく、トンネル内を走行中の列車の中でも携帯電話サービスを利用できるようになる。東京では一部私鉄の地下鉄区間で携帯電話サービスが使えるようになっていたものの、東京メトロと都営地下鉄の路線で利用できるようになったのは初めてで、今後のエリア拡大に伴い利便性は大きく向上する(関連記事:東京メトロ南北線と都営新宿線の一部で3月30日に携帯サービス開始)。

KDDIは2012年3月29日、公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」のスポット数が10万を達成したと発表した。KDDIでは2012年3月までにスポット数を10万にするとの公約を掲げてサービスを開始しており、目標の期限内に達成した(関連記事:KDDIの「au Wi-Fi SPOT」、目標通り3月末までに10万スポット達成)。

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新しいLTE端末やサービスの登場、通信事故対策を報告

そのほか、この週のトピックスを紹介する。NTTドコモは、5.3インチの大型有機ELディスプレイ「HD SUPER AMOLED」を搭載したXi対応スマートフォン「docomo NEXT series GALAXY Note SC-05D」(サムスン電子製)を発売する。4月6日にドコモ全取扱店で発売する。指先の入力はもとより、付属のタッチペン「Sペン」で細かい操作や描画などが正確にできる。(関連記事:ドコモ、5.3インチ有機ELを搭載したXiスマートフォン「GALAXY Note SC-05D」

サムスン電子ジャパン
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NTTドコモのLTE網を利用した新サービスも登場。日本通信は、LTEに対応したSIM製品とモバイルルーターを発売した。NTTドコモのLTE網と3月15日にレイヤー2接続を実施したことにより、サービスの提供が可能になった。SIM製品は「カメレオンSIM」と名付けた。複数のプランを用意し、利用状況に応じてプランを変更しながら使える。同時に発売したLTE対応のモバイルルーター「b-mobile4G WiFi2」は、LTEと3Gの双方に対応しながら、持ち運びに適した55cc、95gと小型軽量な筐体を採用した(関連記事:日本通信がLTEサービスを開始、プランを変更できるSIMと軽量ルーターを提供)。

相次いだ通信事故への対策の動きもあった。NTTドコモは、一連の通信障害に対する総務省からの行政指導および携帯電話通信障害対策連絡会で指示のあった「設備及び体制の総点検」について、総務省に報告書を提出した。発生した通信障害への対策16項目(稼動3940人日)を完了させ、再発防止のための17項目の対策(稼動6万5640日)を実施。また、ドコモの通信ネットワーク設備に対して、全145項目、25万6966件の総点検(総稼動9万450人日)を実施したとしている(報道発表資料:「携帯電話サービスにおける事故防止、通信の秘密の保護及び個人情報の適正な管理の徹底」に係る報告書の提出について)。

KDDIも、2011年4月から2012年2月に発生した計5件の重大事故に対し、総務省の指導と帯電話通信障害対策連絡会からの報告の要求に対して、総務省に報告している。KDDIでは社長を委員長とする「調査委員会」を設置し、改善策の策定とその実施に取り組んだという。快適な通信環境を提供するため、設備の点検・確認や監視・検証の体制の構築などを含めた対策を実施していく(報道発表資料:重大事故への対応について)。

昨年の第13週のできごと

・震災後も堅調なスマートフォン関連の動向
・WiMAXのMVNOサービス、SMSによるビジネスソリューションなども展開
・震災からの復興、集めよう善意、注意しよう悪意

[2011年第13週]桜とともに通信業界が活動再開、スマホシフトへの動きも続々

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。