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日本のDXが直面する人材の問題

Japanese DX to face human resource issues

2021.02.18

Updated by Mayumi Tanimoto on February 18, 2021, 15:38 pm JST

最近、北米と欧州で最近注目を集めているのがコロナ禍後の人材不足です。

アメリカでは、2020年秋学期の大学入学者が2019年比で4%低下しています(Fall 2020 Undergraduate Enrollment Down 4% Compared to Same Time Last Year)。特に新入生が16%の低下で、人種的少数派のネイティブアメリカン、ヒスパニック、黒人は10.7%の低下です。東アジア人は4%減と最も低くなっています。

私大が2%の減少だったのに比べ、コミュニティカレッジは9.4%の減少で、お金がある層は進学を維持したのがよく分かります。一方で、オンラインのコースは成人に大人気で、学部は6.8%、大学院が7.2%の増加です。

アメリカではスキルをアップしようという成人は増えているわけですが、大学の新入生の数は減っており、これがあと5年から10年ほどのスパンで、じわじわと社会に影響を及ぼすのではないかと予測されています。

この傾向はアメリカだけではなく欧州でも同じで、日本でも大学進学を諦める高校生が出始めたりしていますから、 おそらく日本でも何らかの影響があるでしょう。

さらにこれに輪をかけるのがコロナ禍による人材不足です。

1918年のスペイン風邪の際には死亡率が高かった地域は人不足となり(Pandemics Depress the Economy, Public Health Interventions Do Not: Evidence from the 1918 Flu)、賃金が上昇、教育が中断されたりスキルが提供されなくなったために、全体として生産性が低下しました。

コロナ後も、これと同じような事が起きるのではないかと予測されています。特に今回問題となるのはデジタル人材の大幅な不足です。

アメリカ労働省の2019年の予測では、ソフトウエア開発者の雇用は2019年から2029年までに22%増加するとされています。コロナ以前でもこのように増加が予測されていたわけで、コロナ禍でデジタル化が急速に高まっているので、人材不足は益々悪化するでしょう。

これを見越して北米や欧州では、既にどのように人材を確保するかということが盛んに議論され始めています。

ところが日本の場合はこういった議論は全く起こらず、DXに関しても概念的なことに留まるばかりで戦術が足りていないなと感じます。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。