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  • 研究の毛細血管を干上がらせる「選択と集中」への熱狂

    2025.05.27

    選択と集中で大量の資金を一部に投入し、そこだけに膨大な血流が増えても、現場の毛細血管は干上がっているという事態も十分ありえるのだ。実際、こうした交流の場がほとんどない職場を鑑みるに、論文ランキングが落ちるのもやむなしという印象が残る。

  • スーパー書評「ダーウィンが提起した生物の生存経過」
    『種の起原』番外編

    2025.05.22

    『種の起原』を巡る様々なエピソードの最初は、出版前に遡ります。その主役は、同じイギリスのウォレス(Alfred Russel Wallace, 1823~1913)という人物です。彼は昆虫類に興味を持ってマレー半島まで赴き、その地に滞在中、当時盛名の高かったマルサス(Thomas Robert Malthus, 1766~1834)の『人口論』(恐らくは1803年の第二版)を読んで、人間の生存のための条件(の過酷さ)から思い付いたと称する一つの論文を仕上げます。

  • つながりのテクノロジーはまたしても我々を引き裂く

    2025.05.21

    ニコラス・カーの新刊『Superbloom』の書名は、2019年にカリフォルニア州のウォーカー・キャニオンで大量のポピーが咲き乱れた現象に由来します。当初は地元住民だけがオレンジ色のポピーを楽しんでいましたが、数万人ものフォロワーを持つインフルエンサーが自撮り写真を投稿するや、ハッシュタグ「#superbloom」がバズります。しかし、写真を撮るために道路を渋滞させるほど多くの人が押し寄せた挙句、環境保護区域の花々が踏みつけられるなど自然破壊が問題となり、交通警官が負傷する事態となると、今度はポピーの写真の投稿者に激しい非難コメントが寄せられました。

  • 「賢明な消費」ははたして存在するか

    2025.05.20

    大量生産、大量消費、技術の発達に下支えされた消費資本主義の発展が、全体主義的な管理社会へとつながるという議論は、当時の時代の産物として理解する必要がある。ただこうした議論は、現代の消費社会を考えるための一つの道標として、有用な視座を与えてもくれる。

  • AIコーディングとデバッグ

    2025.05.15

    AIコーディング・アシスタントとプログラミングをしていると、よく「AIが生成するバグ」に遭遇します。バグなので直さなければならないのですが、AIが産み出したバグを人間が指摘して直してもらったり、またしばしば人間が直接修正したりするのは大変不本意で本末転倒な気がします。