あの警護の失態は、組織事故である 2025.05.02 組織がその内的な欠陥によって生み出す事故のことを「組織事故」と呼ぶ。この研究分野では、リーズン(J.Reason)のいう「スイスチーズモデル」という考え方がよく知られている。
語り継がれず消えてしまう、もうひとつの東京 2025.04.30 ホームレスの世界の歴史は貧困と排除の「もうひとつの東京史」であるが、デジタルにはなっておらず、いや紙にすらなっておらず、人々の記憶の中にだけあり、おそらく当事者が亡くなってしまうと消えてしまうナラティブであろう。デジタルトランスフォーメーションの及ばない、外部世界という意味でも興味深いのではないか。
オンラインショッピングは、近代の豊かな消費生活を壊すものだといえるのか 2025.04.28 日本における近代消費社会の勃興を考える上で無視できないのがデパート(百貨店)である。三越や白木屋、高島屋、大丸など、今日の大手デパートの多くは、江戸時代に呉服店として創業した。これら老舗呉服店は、1900年代から1910年代にかけて経営方針を大幅に変更し、欧米のデパートに倣って、呉服のみならず輸入品も含めた多種多様の商品を取り扱うようになった。後に店名から呉服店という称号も外し、名実ともに「デパート」として生まれ変わったのである。
自己耽溺から解放される方法としての創作 2025.04.25 ※当記事はModern Times 2022年7月に公開された記事の再掲載です。 美しいものは正しく優れた価値を持つという前提 宮崎駿のアニメ作品をフェミニズムの視点から批判することはたやすい。彼の作品の主人公の多くは、 […]
あいまいの政治学 2025.04.23 我々の社会はあそび、緩衝材、あるいは曖昧な媒介項で緩くつながっている、こう考えると、現在様々な分野で行われている多くの議論を見直すきっかけになるかもしれない。ひたすら無駄をなくし、曖昧さを消去することは、へたをするとこうした自由度を排除することにつながりかねないのだ。
人間と人間でないものを分かつ一線、そして「エンパシー」について 2025.04.22 ChatGPTはチューリング・テストに合格しているにもかかわらず、自身に意識があるのを否定するが、チューリング・テストは無効な基準なのか? チューリング・テストは飽くまで会話能力や機能的知能を評価するものであって意識のテストではない、とChatGPTは卒なく答えます。たとえチューリング・テストに合格できても、AIには主観的な経験や感情、人間のような自己認識はないというのです。
宗教と医療の協働は時代の要請である 2025.04.18 筆者の専門領域である認知症を例に、医療と宗教社会資源の協働が生まれている例を示そう。現在、認知症等の介護者のために介護者カフェを開催している寺院が、全国的に同時多発的に出現している。
ベテランITライターも騙された!SEOによる偽AIサービスにご用心 2025.04.15 今朝、平日ほぼ毎日AIのニュースを追いかけている突発型情報番組「デイリーAIニュース」にて、ベテランITジャーナリストのMさんが「GoogleのVeo2が使えるようになった」というので、早速試そうとしてみたところ、検索結 […]
単線的物語がもたらす理解の狭隘化 2025.04.14 実際のところほとんどの昔話やお伽話の類いは単線的であるため、当たり前すぎてこの構造の特異性は気づきにくいのである。ところが、単線的構造の物語の自明性は、もっと広い視野のもとで眺めれば、疑わしいことが容易に分かる。
ヴァーチャル世界が拡大する今日に、共感覚的な体験は作れるか 2025.04.10 確かに視覚に訴えるメディアが発達した消費社会の台頭により、視覚の質的変化がもたらされたのは事実である。だがそれは同時に、匂いや音など他の感覚の変化も伴うものだった。つまり、宮沢賢治が描き出したように、都市の風景をはじめ周辺環境は五感を通して感じとるものなのだ。