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  • スーパー書評「私学と平等への想い」
    『学問のすすめ』福沢諭吉(岩波文庫)

    2025.08.13

    書物『学問のすすめ』は、冒頭の最も著名な「初編」に始まり、第十七編「人望論」までを合本とし、さらに現在の岩波文庫本は、広く読者を獲得したこの自著に対して、後年福澤が書いた短い文章(『福澤全集』に収録)を「付録」として加え、小泉信三の「解題」、さらに校訂者としての昆野和七の「後記」を載せている。

  • 「測定」には隠れた仮定が存在する

    2025.08.13

    データは、日常に得られる感覚データであれ、メディアでは信憑のシンボルとされることのある測定データであれ、そのデータを読み込むときの仮定や科学理論を知らなければ、適切に事実を判断することができない。

  • GPT-5は本当に求められていたものなのか?

    2025.08.11

    満を持して発表されたGPT-5に対し、「GPT-4o返して運動」が巻き起こっているらしい。 確かに、GPT-5はベンチマーク上は高性能なのかもしれない。 しかし、実際に使ってみると、言われているほど高性能とも思えない。 […]

  • 連続起業家が見たNetflixの起業家ドラマ

    2025.08.04

    テレビドラマのカメラマンをやっている友人から、「面白いから是非見てよ」と言われたNetflixのテレビドラマがある。 タイで制作された作品で、日本語タイトルは「マッド・ユニコーン」 タイに実在する、タイ初のユニコーン企業 […]

  • 理想的な共同体と相対する者は、しばしば強烈に魅力的である

    2025.07.22

    高畑勲監督作品『太陽の王子ホルスの大冒険』(1968年)は、アイヌの伝承をモチーフにした長編アニメーションである。宮崎駿が初めて本格的に製作に関わった作品でもあった。興行成績は振るわなかったものの、自主上映会を通してアニメーターやファンの間で知られるようになった。

  • 「AIファースト」と「人間ファースト」は両立しうるか?

    2025.07.15

    AIが我々の仕事の存在自体に現実的に影響を既に及ぼしているのは確かです。今月、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された「就職面接にようこそ。面接官はAIです」は、AIが採用の現場で面接官を務めているのを取材した記事ですが、「人工知能があなたの仕事を奪いに来ると思ってました? まずは面接官の置き換えからです」という副題がなかなか奮っています。

  • スーパー書評「クーンが提示したパラダイムという基礎概念」
    『科学革命の構造』(中山茂訳、みすず書房、青木薫訳『科学革命の構造【新版】イアン・ハッキング序説』みすず書房)

    2025.07.12

    今では、政治家や文筆業の方々まで、日常的に使われる表現となった「パラダイム」<paradigm=英語>という語を、かくも流行らせた原点がこの書にあります。もともとは、古代ギリシャ語ですが、<para>つまり「一緒に」、「並んで」、<digm>「見せる」という熟語で、最も簡潔には「範例」という訳語が使われます。「模範」という漢語が運ぶ「優れた」、「立派な」というニュアンスはなく、「一つのグループに属するものを示す実例」といった感じの語です。

  • 認知症を自認したりしなかったりする人々が集う「本人ミーティング」。彼らは未来を語りうる

    2025.07.07

    当事者参加は、医学においてはかなり前から大きなうねりになっている。最近は、海外の一流学術誌でもPatient involvement(患者の関与)の記載も散見される。ここには「この研究を計画するにあたり、この疾患を持つ人を含めた委員会で方法の妥当性を検討した」などが記載される。
    今回は、認知症における当事者参加について掘り下げてみたい。