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  • 「初めての現代アート鑑賞」虎の巻

    2025.07.02

    一番最初にしなくてはならないこと。それは「どこに行くかを決める」です。現代アートを見られる場所はあまたありますが、主に次の3つに大別されます。

  • スーパー書評「デカルトのJe pense, donc je suisに込められたもの」
    『方法序説』落合太郎訳 岩波文庫(旧版)、谷川多佳子訳(同新版、ワイド版)/『方法叙説』小泉義之訳、講談社学術文庫

    2025.06.30

    この書は、孰れ明らかにするように、内容からすれば、デカルトが自分の哲学体系を作り上げるに当たっての出発点を説くもの、また書物の体裁から言っても、実はこの書は光学、気象学、幾何学などに関する詳細な文章が大部分を占め、通常「方法序説」と言われる部分は、此の大著(原著では約500ページ)の初めの極短い部分だけを指すものです。

  • ラトゥール、CSI、そしてSTS

    2025.06.24

    ラトゥールにはどこか子供っぽいところがあり、「ブリュノは赤ちゃんみたい」(comme un bébé)」と複数の人が同じ表現を使うのを聞いて驚いたことがある。実際、この子供っぽさには両面があり、そのよい面は、快活なユーモア感覚という形で現れる。

  • 魔女裁判にも「エヴィデンス」はあった。呪文は危うさをはらんでいる

    2025.06.21

    エヴィデンスとは何のことだろう。「ファイザー社のワクチンには重症化を防ぐというエヴィデンスがある」。こんな風に使われたりする。あるいは「エヴィデンスはありますか?」と聞かれたりする。1990年頃まではほとんど使われない言葉だった。証拠とかデータで十分に意図が伝わったからである。それなのに、医学界を中心にエヴィデンスがなぜ流行したのか。

  • データの量だけで真理に近づけるわけではない。囲碁と認知症予防の現場から

    2025.06.19

    社会医学研究は、いっそう臨床的に意味あるものに向かっており、さらに量的研究だけから質あるいは量と質の混合研究に向かっており、複雑なテキスト分析もいいがシンプルで誰にも分かりやすい分析が好まれ、コミュニティのなかで(CBPR)現実的に(Realistic approach)研究が進むようになってきた。

  • スーパー書評「藤沢周平が描く人間の暗部」
    デビュー当時の鬱屈はなぜか

    2025.06.17

    藤沢は、昭和24年に湯田川中学(現在の鶴岡市)で、国語と社会の教師としての経歴を始めます。生徒たちからも慕われ(この時の同窓生たちは長く藤沢を囲む会を続けたこともよく知られています)、既にこの段階で、同人誌に参加していますが、間もなく、肺結核が発見され、勤めを辞めて、東京の西郊の医療機関でかなり大きな手術を経験し、その後暫くは術後の療養のための五年ほどの時間を、上京してくれた母親とともに、然るべき施設で過ごします。

  • スタジオジブリは、戦後の日本人が追い求めた「共同体」を映している

    2025.06.13

    宮崎の多くのアニメーション作品は、子どもたちを中心とした冒険譚がほとんどだ。そこで語られる生きることの喜びは個人的・実存的であり、物語は登場人物の自己解放のストーリーとして描かれる。他方、それらを生み出すスタッフたちは製作現場で働く労働者である。そして、もしかすると宮崎は、スタッフを抑圧する側に立っているかもしれない。

  • たらい回しの起源は専門家にある

    2025.06.11

    たらい回しはもともと大道芸の一つであったが、さほど歴史は古くない。見世物興行の演目の一つで天保二年(1831年)の辛卯見世物年表の図を見ると、床に寝そべった男子がたらいを縦にして両足に載せて回す芸だと分かる。

  • MCPが後押しするAIじかけのウェブ、AIが後押しするオープンなウェブの空洞化

    2025.06.09

    この連載でも何度か名前を引き合いに出しているオライリー・メディアのマイク・ルキダスが、重要ないし興味深いテクノロジーやビジネスのトレンドをリストアップするRadar Trendsシリーズは、ワタシも毎月必ずチェックしています。ルキダスはこの連載を5年ばかり続けており、2020年はCOVID-19がトップの話題になることが多かったですが、2021年以降は現在まで、トップの話題は一度の例外もなく人工知能(AI)だったりします。