これを書いている二〇二〇年六月は、年初に始まったヴィルス禍の真っ最中です。「三密」を避けるという原則からすれば、オーケストラ活動は、まさしくそれに抵触する最たるものともいえます。ほとんどのオーケストラが、定期演奏会や予定されていたスケジュールがキャンセルされて、経営上も、また団員の音楽への構えの上でも、大きな危機にある状況です。
2020.07.16
ジョン・ヘンリー・マッケイ(John Henry Mackay, 一八六四~一九三三)という人がいます。あまり日本では知られていないと思いますので、少し詳しく紹介してみましょう。名前からすれば、誰もがイギリス人だと思うのではないでしょうか。
2020.07.09
昔、ネスカフェ ゴールドブレンドの名CMに「違いのわかる男」というシリーズがありました。それぞれの分野で道を究めたような有名人をフィーチャーしたもので、人々の憧れを誘ったものでした。今回は、情けないことに「違いの判らない男」としての私の話です。
2020.06.30
「光と塩」というのは、新約聖書の中の私の一番好きな言葉です。イエスが「自分に従う人は、世の光でもあり、塩でもある」と述べたことに由来します。「光」は、人の目にも鮮やかに輝くし、「塩」は料理に入ってはいても目には見えず、それでも、それがなければ料理にならないばかりか、人間の命にも関わるものです。
2020.06.25
マンの作品を取り上げるのであれば、誰もが『魔の山』や彼にノーベル文学賞をもたらしたとされる大作『ブッデンブローク家の人々』、あるいは『トニオ・クレーゲル』などから始めるのが順当だろう。それらの作品に対する敬意や共感は、誰にも劣らないつもりだ。
2020.06.13
漱石というと、国語の教科書などに取り上げられるのは、ほとんどの場合『こころ』のようです。実は、私にとって、漱石の小説のなかで、生涯繰り返し読むことに消極的な唯一のものが『こころ』なのです。
2020.06.05
高等教育を文系と理系に分ける、という制度上の仕組みは、日本ではすでに戦前からありました。旧制高等学校は、本来は大学予備門の役割を果たす組織として発足しました。つまり、今の高等学校と違って「高等教育に準じるもの」という位置づけであったことになります。
2020.05.26
かつて第二次世界大戦中のイギリスの首相ウィンストン・チャーチルは、「デモクラシーは最悪の政治形態である、ただし、過去折々に試されたすべての政治形態を除けば」という見事な警句を残しました。
2020.05.15
教養のあるなし、ということのなかに、知識のあるなしが、少なくともある程度含まれていることは、間違いありません。他書からの受け売りですが、ある翻訳書のなかに、「それはあたかも雪の中で聖ベルナルドゥスに出会った想いであった」という一文があったそうです。
2020.04.27
相手の正体が一向に判らないままに、日本は戦後初めて「非常時」を迎えている。すべての国民が、明日の自分の命を慮らなければならない事態である。
2020.04.23