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サムスン、インドネシアでスマートフォン組立工場の運営開始

Support Indonesia by making smartphones

2015.05.29

Updated by Hitoshi Sato on May 29, 2015, 18:51 pm JST

サムスンは、ジャカルタ東部のチカランに、スマートフォン組立工場の運営を開始した。1か月に150万台のスマートフォン組立てを目標としている。 ミドルエンドの端末だけでなく、最新の4G LTEスマートフォンも製造していく。

サムスンは2014年には3億台以上のスマートフォンを販売し、携帯電話やスマートフォンの組立てを、ベトナム、中国、韓国で行っている。ベトナムの工場では周辺諸国への輸出を目指して、約85億ドルを投資してきた。

サムスンは2014年8月に急成長のインドネシア市場に工場を設立することを明らかにした(参考記事:サムスン、インドネシアに携帯電話工場建設へ)。サムスン以外にも多くの携帯電話メーカーがインドネシアで工場を建設し、人口2億5,000万人超で急成長しているインドネシア市場でのスマートフォン販売を目指している。

インドネシアにとっても工場が設置されることによって、端末の輸出コストがかからないので安く販売される以外にも、地元の雇用創出につながるメリットがある。またインドネシア政府では2017年までにインドネシアで販売する4Gスマートフォンの40%は地場の部品を利用することを要請している。

サムスンは世界のあらゆる地域で、そのシェアと売上を落としている。インドネシアでもかつてサムスンは強力なプレーヤーだったが、現在ではSmartfren、Evercoss、NexianやMitoなど地場メーカーのスマートフォンが低価格で大量に流通してきたため、サムスンの存在感は小さくなってきている。インドネシアでのサムスンのシェアは1年前(2014年Q1)では38%だったが、2015年Q1では30%まで落ちている。

かつてフィーチャーフォン時代にはインドネシアではノキアが圧倒的に人気だった。その後ブラックベリーの人気が高まった。それ以降スマートフォンでサムスンが台頭してきたが、それもサムスンくらいしかスマートフォン端末がなかったので、サムスンを利用していただけで、そもそもインドネシア人はサムスンに対して、かつてのノキアやブラックベリーのような愛着は持っていない。

サムスンはインドネシアに工場を建設して、急成長するインドネシア市場で生き残っていけるのだろうか。

▼インドネシアにおける2014年Q4でのスマートフォン市場シェア
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(Counterpoint発表資料を元に作成)

▼インドネシア(ジャカルタ)にはサムスンの中古端末のみを専門に扱っている中古ショップがある。
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【参照情報】
Samsung Begins Smartphone Assembly in Indonesia

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。