昨年のMWC(MWC2010)にて設立が発表された「Wholesale Applications Community(WAC)」であるが、1年経って実際にアプリケーションの開発がどの程度進んでいるのかが、展示会場「App Planet」内のWACブースで確認できる。
世界の大手通信事業者・機器メーカー等20社以上が参画して設立が発表されたが、その後ソフトバンク、中国移動、ボーダフォンが進めてきた「JIL」と統合するなど、MWC2011開催時点の加盟数は68にまでなっている。
WACは2月14日の会見でWAC2.0の発表、WAC3.0へのロードマップが示された。その軸は「HTML5+WACランタイム」による実行環境であり、マルチOS対応となることから、アプリケーションを使える端末の幅が広い。またアプリはJava Scriptで書けることから、開発者のすそ野の広がりも期待できそうだ。
ブースでは、サムスン、富士通、KWAC(韓国版WAC)などがそれぞれにデモを見せてくれる。
富士通のデモでは「REGZA Phone」をベースとした端末を使い、1台の端末で撮影した画像が他の端末に同期するクラウド型のアプリケーションのデモを実施していた。
また韓国ではモバイル通信事業者3社がWACポータルを「KWAC」として共同構築する動きがあるが、これは今年の5月に公開されるとのこと。公開時からWAC2.0ベースのアプリが提供される。OS対応は、まずはAndroid2.2、2.3から始まり近い将来ウィンドウズOSにも対応する計画とのこと。
サムスンの説明員によれば、Android搭載「Galaxy S II」とbada搭載「Wave II」において端末にWACランタイムがプリインストールされるとのこと。また市場投入される同社スマートフォンのほぼすべての機種でWAC対応になるとしている。
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登録はこちら情報通信総合研究所上席主任研究員。1990年一橋大学卒業、NTT入社。1997年より現職。海外・国内のモバイル通信業界に関して、サービス動向から企業戦略まで広く調査研究を行っている。「通信事業者はどこへ行く」(「情報通信アウトルック2011」共著)「アプリケーション・ストア・ブームの衝撃」(「情報通信アウトルック2010」共著)「LTEの提供エリアはスムーズに広がるのか-世界におけるLTE普及への展望」(日経コミュニケーション2009年7月15日号)など、記事執筆・講演多数。