翻弄されるWebOS - HP幹部が「復活」の可能性示唆、TouchPadも再度販売へ
2011.08.31
Updated by WirelessWire News編集部 on August 31, 2011, 17:29 pm JST
2011.08.31
Updated by WirelessWire News編集部 on August 31, 2011, 17:29 pm JST
先ごろ経営戦略の大幅な方向修正を発表したヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard:以下、HP)で、一時は生産中止が打ち出され、それに伴う在庫処分まで進められていたWebOS搭載タブレット「TouchPad」だが、ここに来て同製品の販売が急遽再開されることになったと複数のニュース媒体が伝えている。
HPは今月18日に、PC部門の切り離しや、WebOS関連のハードウェア開発・生産の中止を発表。これを受け、7月に米国で発売されたばかりのTouchPadは、ベストバイ(Best Buy)など一部の小売店では99ドル(16GB版Wi-Fiモデル)で在庫処分されていた。なお、当初499ドルで発売されたTouchPadの価格は、売れ行き不振から今月には399ドルまで引き下げられていた。
ところが、この「在庫処分価格」でTouchPadの人気に火が付き、同製品はたちまち売り切れとなったため、一部では同勢品の在庫を探し求める動きさえ生まれていた。HPの広報担当は今回、TouchPadの生産再開を知らせるブログ記事のなかで、こうした「応え切れていない需要」に対応するために一時的な措置として同製品をもう一度だけ台数限定で生産することにした、と説明している。
同社では、TouchPadの生産時期について同社の第4四半期(8-10月)中としつつ、販売台数や時期については「未定」とし、「購入希望者全員に行き渡るだけの数を確保できるかどうかは約束できない」と記している。
なお、この話題を採り上げたComputerworldでは、TouchPadへのAndroid OSの移植の動きに言及している。この記事によると、HPによるWebOSのサポートに不安を感じてTouchPadの購入を思いとどまっていた潜在購入者の一部が、「破格の値段で手に入るメーカーブランドのAndroidタブレット」として同製品を買い求める動きもあったという。いっぽう、Wall Street Journal(WSJ)の記事では、同製品の製造原価を306ドル(16GB版Wi-Fiモデル)とするIHS iSuppliの推定を引き合いに出しながら、「HPはいったいいくらでTouchPadを販売するつもりなのか」というアナリストらの当惑の声が紹介されている。
また、同社PC部門のトッド・ブラッドレー(Todd Bradley)氏(パーソナル・スシテムズ・グループ、エグゼクティブ・バイス・プレジデント)は、Reutersとのインタビューのなかで、「タブレット・コンピューティングの分野は間違いなく重要な市場のセグメント」と発言。さらに同氏は、HPがTouchPadを復活させるか、新たなタブレット製品をいずれ投入する可能性があるとし、同時にWebOSの他社へのライセンス提供の可能性も模索していると述べている。
なお、HPが他社への売却もしくは切り離しの意向を示したPC事業については、可能性のありそうな事実上唯一の引き受け手としてはサムスンの名前が一時は浮上していたが、同社幹部がこの可能性を否定したことで、いまのところは単独の企業として切り離される公算が高まっているという。
【参照情報】
・HP to make more TouchPads - Computerworld
・Losing $207 a Pop, H-P Brings Back Its iPad Rival - WSJ.com
・HP may resurrect TouchPad, weighs PC spinoff - Reuters
・More TouchPads on the Way - HP
・ライセンス提供に生き残りの期待をかけるWebOS - 行く手にははやくも暗雲(編集担当メモ)
・HP、PC事業切り離しとWebOS部門閉鎖を発表 -「ビッグデータ」分野に重点シフト
・HP「TouchPad」が売れ行き不振 - 小売大手のベストバイから在庫の引き取り要求も
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