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[Xi Watching Report #11]Xi開始1周年を迎えたNTTドコモの2012年LTE戦略を考察

2011.12.26

Updated by WirelessWire News編集部 on December 26, 2011, 17:00 pm JST

今月のXi Watching Reportは、引き続きXiの月次契約動向と会社計画に対する進捗状況を確認すると共に、今月24日でXi開始1周年を迎えたNTTドコモの来年のLTE戦略について考察したい。

2012年は、2月にイー・アクセス、夏〜秋にソフトバンクモバイル、12月にKDDIと各社がLTEを開始する見込み。2012年は我が国LTEが本格普及元年を迎えることとなろう。

この様な状況下、2010年12月から先行してLTEを提供しているNTTドコモはどのようにLTE戦略を描いているのか。現状、2GHz帯での運用に加え、1.5GHz帯・800MHz帯での運用を開始する予定のNTTドコモのLTE戦略を考察する。

11月の月次契約動向は10月に続きXi純増で、純増数稼ぐ構図に変化無し。

12月7日に公表された11月の契約動向では、Xi純増数は16万6,700件、累計加入者は64万8,900件となった(参考記事)。

▼表1:ドコモXi契約者数推移 ※画像をクリックして拡大
201112261700-1.jpg(出所):会社資料、取材などから筆者作成

前回(Xi Watching Report #10)でも報告したとおり、10月に続きドコモ全体の純増をXi純増数が上回っており、Xi純増で純増全体を稼ぐ構図に変化は無い様子だ。

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Xi純増は過去最高の16万超で、このペースを維持すれば年度末には130万契約超となる公算

11月の契約動向で注目したいのが、ドコモの純増数全体は11万1,600件であったのに対し、データカードはほぼ同数の約11万件。一方、Xiは先に触れたとおり16万6,700件であったので、この差分約5万件が、データカードやWi-Fiルータ以外のXi端末と見て間違いなさそう。

既に10月に、「GALAXY Tab 10.1 LTE SC-01D」(10月15日発売開始)と「ARROWS Tab LTE F-01D」(10月19日発売開始)のタブレット2機種を発売している他、11月24日にはLTE対応スマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」を発売しており、このあたりの機種がXI純増にも寄与し始めているのかもしれない。7月の全国での発売開始以降、概ね8万件〜9万件程度で推移していたXi純増が11月に入り過去最高の16万件超となったのだが、年度末の3月までこのペースで推移すれば、概ね130万〜140万程度の契約数となる公算だ。

基地局建設は引き続き高い進捗、10月比で350局ほどXi基地局が増加、5,200局超へ

加入者獲得状況と合わせて、毎回確認しているLTE基地局の設置状況だが、11月末時点では5,200局超まで、基地局数を増やしている。

前回(Xi Watching Report #10)でも報告した通り、今年度の基地局設置計画は既に7,000局へ修正されているが、月次で350-400局程度のXi基地局を設置していくペースで年度末7,000局となる見込みだ。

▼表2:ドコモLTE基地局数推移 ※画像をクリックして拡大
201112261700-2.jpg(出所):ドコモLTE基地局については総務省無線局情報検索にて電波形式「5M00X7W」を集計し、会社資料を参考にしながら、筆者作成
(注):ドコモ公表値と総務省無線局情報検索との差分は、ドコモ公表値は基地局設置場所数であり、免許数ではない事に起因すると想定している

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2012年 LTE本格普及元年における、NTTドコモのLTE戦略を考察

2012年は、2月にイー・アクセス、夏〜秋にソフトバンクモバイル、12月にKDDIと各社がLTEを導入し、全事業者がLTEを開始する。これにより、いよいよ我が国LTEが本格普及元年を迎えることとなる。全事業者がLTEを導入することで、端末ラインナップの充実も見込まれるであろうし、次期iPhoneはLTEに対応することがほぼ確実視されている中、2012年はLTE普及が本格的に進むと見てよいであろう。

他社に先行しLTEを開始し、今月24日に1周年を迎えたNTTドコモの2012年のLTE戦略について考察したい。

現状の2GHz帯に加え、1.5GHz帯と800MHz帯でLTEを導入する計画、1.5GHz帯は100Mbps超、800MHz帯は75Mbpsとなる見込み

現在、ドコモはXiを2GHz帯の5MHz幅(一部、屋内基地局では10MHz幅)で導入しており、最大通信速度は、37.5Mbps〜75Mbpsとなっている。対応端末もデータカード2機種、Wi-Fiルータ1機種、タブレット2機種、スマートフォン4機種とようやくラインナップが揃い始めた段階で、毎月報告している基地局設置状況からも、主力はまだまだ現行W-CDMAといった状況だ。

▼表3:Xi周波数の運用状況
201112261700-3.jpg
(出所):会社資料などから、筆者作成

表3の通り2012年は、現在の2GHz帯での運用に加え、2009年に割り当てを受けた1.5GHz帯の15MHz幅と800MHz帯の一部でもLTEを導入する計画で(参考記事:あらゆる帯域でLTE化を加速するNTTドコモ、100Mbps超LTEも(ITpro))、今後の端末ラインナップの拡充と共にいよいよ、LTE普及に加速が付く準備が整い始めた印象だ。

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▼表4:LTE端末カテゴリによるスループット理論値
201112261700-4.jpg
(出所):会社資料、取材などから筆者作成

現状、ドコモは2009年に割り当てられた1.5GHzは一切利用していない為、割当て済みの15MHz幅を連続してLTEに用い、表4の通り通信速度は最大100Mbps(カテゴリ3時)〜112.5Mbps(カテゴリ4時)となる見込みである。では、800MHzではどのような周波数運用となるのであろうか。現状の800MHz帯の運用状況から、LTE導入の戦略がある程度見えてきた。

表5は、現状ドコモの800MHz帯・W-CDMAで運用されている地域別の基地局数を示したもの。

▼表5:W-CDMAの800MHZ帯利用状況
201112261700-5.jpg(出所):総務省無線局情報検索より筆者作成

ドコモは、800MHz帯で15MHz幅×2の割り当てを受けているが、表5内で示す(C)は一部地域で数局程度運用されているものの、ほぼ全国的に全くと言って良いほど利用されていない。

まずは、当該帯域5MHz幅を用いて、LTEを導入するものと想定される。

つまり、LTEの端末カテゴリから最大通信速度は37.5Mbpsとなる見込みなのだが、それに加えて、筆者は(B)への依存度が小さい(表5内でグレーの網掛け)、関東・東海・近畿・九州・沖縄では、W-CDMAで運用されている(B)の5MHz幅をLTE運用に切り替え、(B)〜(C)の連続した帯域幅10MHzでLTE導入に踏み切るのではないかと見込んでいる。

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▼表6:2012年のXi周波数帯別通信速度
201112261700-6.jpg
(出所):会社資料、取材などから筆者作成

この様な運用にすることで、表6の通り800MHz帯で75Mbpsのカタログスペックとすることが可能なのだが、その効用として対KDDIへのカタログスペック上の競争力確保というものが挙げられよう。

[Xi Watching Report #8]Xiの加入者計画に対する月次進捗確認/KDDIのLTE立ち上げ本気度」で報告したとおり、KDDIは800MHzをLTEの基幹バンドと位置づけ10MHz幅での全国展開を急いでいる。

KDDIはドコモもと同様1.5GHz帯でもLTEを導入する計画なのだが、ドコモ・KDDIに共通の課題として、そもそも1.5GHz帯はグローバルでも基本的には利用されていない周波数である為、対応端末が期待しにくい状況だ。

既に、両者とも売れ筋端末はiPhoneやGalaxyといったグローバル流通モデルとなっており、1.5GHz帯のLTE対応は期待しにくい。1.5GHz帯への対応端末が少なければ、ドコモの100Mbpsというカタログスペックも全くの無意味になるのである。

とはいえ、比較的ドコモのグリップ力が効きやすい日系ベンダーは1.5GHzに対応したLTE端末を開発してくるものと想定するが、売れ筋端末であるグローバルモデルが1.5GHz帯に対応せず、800MHz帯のLTE運用を5MHz幅とした場合、「後から始めたKDDIより速度の遅いドコモのLTE」となってしまう可能性があるのだ。

そのような状況を避ける意味でも、上述の関東・東海・近畿・九州・沖縄といったW-CDMA運用での(B)への依存度が低いエリアでは800MHz帯で10MHz幅運用を行い、KDDIの基幹バンドとカタログスペックを合わせてくるのではないかと想定する。

このような運用にすることで、売れ筋のグローバル流通モデルは800MHzと2GHz帯でそれぞれ、75Mbps・37.5Mbpsとし、日系ベンダーを中心とした国内専用端末では(もちろん、800MHz・2GHzに対応させながら)、1.5GHz帯・100Mbps超の国内最高峰の通信速度のLTEを提供し、ハイスペック端末のラインナップを揃えることで、KDDIとの差別化を確保しようとの狙いがあるのではないかと筆者は見込む。

LTEの周波数ロードマップから、2012年は更にLTE対応端末が拡充されることとなりそうだ。
 

文・梶本 浩平(金融機関にてアナリストとして通信セクターを担当)

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