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アマゾンのスマートフォン開発、「量産開始は今年後半以降」の可能性(WSJ報道)

2012.07.12

Updated by WirelessWire News編集部 on July 12, 2012, 14:09 pm UTC

アマゾン(Amazon)が自社ブランドのタブレット「Kinlde Fire」につづいて、スマートフォンの導入準備を進めているとする話が、ここに来てまた目立ってきているが、先週6日のBloombergに続いて、今度はWall Street Journal(WSJ)が「製品のテストが現在進められており、今年後半から来年初めには量産が始まる可能性がある」とするアジアの部品メーカー関係者の話を伝えている。

アマゾンは昨年秋に「Kindle Fire」を199ドルという低価格で投入し、一定の成果を挙げていることが伝えられている。しかし、タブレット市場では依然としてアップルの「iPad」が6割以上のシェアを占めるとされ、また先月中旬にはマイクロソフト(Microsoft)が、また下旬にはグーグル(Google)がそれぞれ自社ブランドの製品を発表している(グーグル「Nexus 7」については、まもなく米市場などで発売開始)。

ユーザー利用の中心がモバイル端末へと移行するなかで、このユーザー接点をアップルやグーグルといった競合他社に押さえられてしまうことは、自社サイトでのeコマースを収入の柱とするアマゾンにとっていわば「死活問題」。そのため、Kindle Fire投入に際しては、ほぼ赤字に等しい価格設定で製品を提供し、その後に期待される商取引からの売上で利益を回収するという事業モデルを採用。スマートフォンでもこれと同様のやり方が採られるようだと、少なくとも低〜中価格帯の製品を中心に展開する他のメーカー各社に影響が出る可能性が高い。

さらに、タブレットと異なり、携帯通信網への接続が必須となるスマートフォンでは、アマゾンがどういう形で端末とサービスを提供してくるかにも注目が集まる。たとえば米スマートフォン市場ではベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)とAT&Tの大手2社が市場シェアの約3分の2を握っているが、いずれもデータ通信の従量制課金に移行するなど価格の高さが指摘されつづけている。同時に、景気回復の遅れなどから、より低価格の端末や通信サービスを求めるニーズも高まっており、このニーズに応えようとプリペイド事業者がiPhoneの取り扱いに踏み切ったり、あるいはWi-Fiを軸に据えた新たな形のMVNO事業者がいくつか登場してきていることは既報の通り。

かつてグーグルが自社ブランドの「Nexus One」を投入した際には、マーケティング面で強い力を持つ通信事業者の影響力を嫌って、オンライン経由の直販を試みたことが裏目に出る結果となった。それに対し、アマゾンはすでにウォルマートらとならぶ最大手の小売事業者となっているため、このマーケティングに関する心配は少ない。また「最終的に物販で利益回収・全体の帳尻を合わせる」という考え方を踏襲すれば、端末だけでなく、通信サービスも原価で提供、という選択肢も見えてくる。たとえば、スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)やTーモバイル(T-Mobile USA)といった下位の大手事業者のネットワークを使って、他のプリペイド事業者やMVNO事業者の加入者をターゲットにするといったオプションも想定できよう。

おそらくまだ時期尚早ということで、いまのところこうした通信事業者との取り組み方に触れた報道は見かけていないが、IT・ウェブ企業との争いとならんで、いずれこの点についても注目が集まることになろう。

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