グーグルアプリの提供をめぐるOEMメーカーとの契約が明らかに
2014.02.14
Updated by WirelessWire News編集部 on February 14, 2014, 14:22 pm JST
2014.02.14
Updated by WirelessWire News編集部 on February 14, 2014, 14:22 pm JST
グーグル(Google)がAndroid OSに付帯する同社製アプリの提供に関して主要な端末メーカー各社と結んでいる契約の一部が公にされ、一部の媒体などから注目を集めている。
米国時間13日に、ハーバード大学ビジネススクールのベン・エデルマン(Ben Edelman)准教授という人物が、グーグルが端末メーカーと結ぶ「Mobile Application Distribution Agreement」(MADA)という契約書に触れたブログ記事を公開した。MADAは、グーグルの「Search」「Youtube」「Google Maps」「Play Store」といった主要なアプリについて提供の条件などを定めたもの。同氏はこの文書について、グーグルとオラクル(Oracle)との特許訴訟のなかで証拠として提出されたものと説明、あわせてグーグルがHTCやサムスン(Samsung)と結んだ契約書のコピーもそれぞれ公開している。
グーグルが、オープンソースのAndroidについて、同社製アプリやAPIなどを使って実質的にOEMに対するコントロールを強化していることは、Ars Technicaなどで以前から何度か詳しく報じられていた。また、最近になってノキア(Nokia)やマイクロソフト(Microsoft)によるAndroidの「フォーク」(独自のカスタム版開発)の可能性が浮上した際にも、これに関連する話題が改めて注目を集めていた。
Ars Technicaによると、Androidにはグーグルの承認なしで利用できるAndroid Open Source Platformコードベース(AOSP) のほかに、「Google Mobile Services (GMS)」などと呼ばれるコードベースが存在し、また後者のなかには「Google Play Services」を利用するためにAPI(Google Maps、位置情報、アプリ内課金、リモートワイプなどを利用するためのAPI類)ならびにグーグル製のアプリ類(「Search」「Gmail」「Chrome」「Maps」「Play Store」「Google Now」などの主要なAndroidアプリ)が含まれるという。
AOSPは、アマゾン(Amazon)や中国のバイドゥ(Baidu)、アリババ(Alibaba)、それに多くの中国メーカーなどで利用されているもの。
ただし、グーグルが積極的に開発を進める自社アプリやGoogle Play Servicesなどに比べて、機能やUIなどの面で大きな差があるとの指摘もある。
ABIリサーチ(ABI Research)が1月下旬に発表したレポートによると、AOSP端末の出荷台数は2013年第4四半期にあわせて推定7110万台に達し、スマートフォン出荷台数全体の約25%を占めていたという。なお同調査では、グーグルの承認を受けたAndroid端末が1億5040万台(シェア52%)、アップル(Apple) 「iPhone」が5100万台(同18%)などとなっている。
今回明らかにされたMADA契約書は、この「GMS」に関するものと思われるが、エデルマン氏によると、そのなかにはグーグル側が指示するすべてのアプリ類を端末にプリインストールして出荷することや、グーグル検索をデフォルト設定にすること、グーグル検索や「Play Store」をホームスクリーンからすぐアクセスできる範囲に配置することなどを各メーカーに求める条項が含まれているという。
エデルマン氏はこれをふまえ、グーグルがMADAを使って課した制限が、他社サービス/アプリとの競合の阻害につながっている可能性を指摘している。
なお、WSJ記事では同氏について、マイクロソフトからコンサルティング業務を請け負っている人物とし、同氏自身もブログ記事の冒頭で「グーグルと競合する複数の企業のコンサルタントをしている」と明示している。
またこの話題に言及した米国時間13日付のWSJ記事には、欧州委員会(European Commission)がこの件について昨年から調査を開始しているとの話も出ている。これによると、欧州では市場で支配的なシェアを有する企業に対して競争を促進することが求められており、その点からグーグルのAndroidをめぐる商慣習が独禁法違反に該当する可能性もあるという。また欧州委員会でこの分野の責任者を務めるホアキン・アルムニア(Joaquin Almunia)氏が先週、グーグルに対する調査の重点をAndroid関連に移すと述べていたことなども記されている。EU当局とグーグルは先週、約3年間にわたって続けてきた検索サービス関連の独禁法違反問題で暫定合意に達していた。
いっぽう、この話題に触れたGigaOMブログでは、サムスン(Samsung)の例を引き合いに出しながら、グーグルのやり方は競争の阻害にはあたらないのではないかとの見方を示している。サムスンは同社のGalaxy端末に、グーグル製アプリと機能で重複する自社製アプリを多数搭載してきている。
【参照情報】
・Secret Ties in Google's "Open" Android - Benjamin Edelman
・Android's 'Open' System Has Limits - WSJ
・What you need to know about open Android and Google's Android apps - GigaOM
・New Android OEM licensing terms leak; "Open" comes with a lot of restrictions - Ars Technica
・Google's iron grip on Android: Controlling open source by any means necessary - Ars Technica
・Neither Microsoft, Nokia, nor anyone else should fork Android. It's unforkable. - Ars Technica
・Q4 2013 Smartphone OS Results: Is Google Losing Control of the Android Ecosystem? - ABI Research
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