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NEC、コアネットワーク仮想化のvEPCを動態展示、宅内端末の仮想化ソリューションも

2014.02.27

Updated by Naohisa Iwamoto on February 27, 2014, 20:13 pm JST

NECは、スペイン・バルセロナで開催されているMobile World Congress 2014(MWC 2014)に出展し、仮想化に関連した展示を行っている。商用利用が始まったパケットコアの仮想化をする「vEPC」のほか、加入者宅内に設置するADSLモデムやブロードバンドルーターなどの「CPE」の仮想化ソリューションも展示した。

コアネットワーク関連で力を入れた展示をしていたのが、vEPCのデモ。コアネットワークをハードウエアとソフトウエアに分けて仮想化し、スケーラビリティや柔軟性を高めるソリューションである。NECのvEPCは、2013年12月にミャンマーに導入した商用LTEネットワークで採用されており、今回のMWC 2014では採用実績をアピールしながらプレゼンテーションが可能になった。

▼vEPCが稼働するデモサーバー。上部がNEC製、中央がHP製のサーバーで、マルチベンダー環境で動くことを示した20140227_nec001.JPG

ブースにはNECとヒューレット・パッカード(HP)のサーバーをマルチベンダー環境で構築したラックを設置し、その上でvEPCを稼働。汎用サーバーで動くことを印象づけていた。LTE基地局を通じてスマートフォンに動画を配信するなどのデモを行っていた。NECでは、vEPCにより、2重化したシステムの1系統に故障が起きた時にもう1系統で処理を続ける「オートリカバリー」に加え、故障により1系統になったシステムに新たに1系統を自動的に加えて2重化を復旧させる「オートヒーリング」にも対応し、安定性の高い運用が可能なことを紹介していた。

vEPC関連では、ユースケースとしてM2Mサービスへの適用をパネルで紹介していた。M2Mサービスは、トラフィックのパターンが既存の音声やデータ通信サービスと異なるため、既存コアネットワークに収容すると通信事業者にとっては効率が悪くなる。NECでは、M2M用のコアネットワークをvEPCで構築する提案をしている。vEPCの場合、ハードウエアが汎用サーバーであるためコスト効率が高く、スケーラビリティも柔軟に確保できる。また、制御プレーンのトラフィックがデータプレーンのトラフィックよりも多くなるといった特性に合わせたコアネットワークをソフトウエア的に作れるため、M2Mサービスに最適なインフラを提供できるという。

▼CPEの機能の一部を仮想化してコアネットワークに移設する「vCPE」のコンセプト20140227_nec002.JPG

もう1つ、新しい試みがCPEの仮想化を実現する「vCPE」。これはテレフォニカと共同で進めているもので、ブラジルで2014年第4四半期に稼働する見込みという。ADSLモデムやブロードバンドルーター、ホームゲートウエイなどのCPEは、顧客の宅内や事業所内に設置されていて、故障対応に人件費がかさむ。CPEの機能のうち、DHCPサーバーやNAT、IPv4スタック、ファイアウォール、UPnPなどの上位レイヤの機能を仮想化してコアネットワーク側に移設する。これによって、故障の対応がコアネットワーク側で完結し技術者の出張を減らせるほか、新機能の提供なども宅内のCPEを交換せずに行えるようになるという。

▼TMSで制御しないと映像が表示されない状態(左)が、TMSによりスムーズなストリーミングが可能になる(右)20140227_nec003.JPG

このほか、モバイルネットワークのトラフィックを制御する「TMS」(Traffic Management Solution)の最新版のデモもあった。ユーザー体験を改善する仕組みで、ビデオなどの大量のデータを送信する際に回線状況に応じて送信量を制御するビデオペーシングという機能が中核にある。今回は、通信状況をリアルタイムに可視化するモニタリング機能や、回線状況に応じたビデオデータの圧縮機能を加えて、より効率的に使えるソリューションになったことを示していた。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。